信州の名峰蓼科山麓の女神湖近くの山荘"tutti”は標高1650mにある。これほどの高地にある別荘は日本でもそう多くはない。だから平地とは気温が10℃も違うのです。 当ブログ名は2018年7月1日をもって「のんきなとうさんの蓼科偶感」に変更いたしました。


by kirakuossan

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2018年9月1日(土)

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いよいよ巨匠の領域に達しつつあるパーヴォ・ヤルヴィ。彼が創った故郷におけるオーケストラ、エストニア祝祭管弦楽団とのショスタコーヴィチを聴く。

d0170835_08024576.jpgショスタコーヴィチ:
交響曲第6番 ロ短調 Op. 54
Symphony No. 6 in B Minor, Op. 54
エストニア祝祭管弦楽団 - Estonian Festival Orchestra
パーヴォ・ヤルヴィ - Paavo Järvi (指揮)
録音: 17-19 July 2016, Pärnu Concert Hall, Pärnu, Estonia





ショスタコーヴィチ最大の交響曲第5番ニ短調に次いで1939年に書かれたこの3楽章からなるシンフォニーは叙情的な作品である。レナード・バーンスタインは、ショスタコーヴィチの第6番は「悲愴」を受け継いでいるとしてこの曲を評した。

チャイコフスキーの「悲愴」とこの曲は共に交響曲第6番でロ短調である。「悲愴」は音楽史上初めて、長くゆったりとした終楽章を持ってきており、ショスタコーヴィチの第6番は、音楽史上初めて、長くゆったりとした第1楽章になっている。

第二楽章の出だしなど、まるでチャイコフスキーの「くるみ割り人形」なる旋律を彷彿させる。たしかに全曲を通してチャイコフスキーを意識している。



by kirakuossan | 2018-09-01 08:03 | 注目盤◎ | Trackback
2018年7月7日(土)

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今日はグスタフ・マーラー(1860年7月7日~1911年)の生誕日である。よって何も聴かないわけにはいかぬ。ということでさしずめ交響曲の何番を聴こうかなあ?ということになるわけだが、はてはてこれが迷ってしまうのである。そんなわけで今日はひとつ毛色の変わったところでということで彼が編曲した作品を聴こうということになった。
あまり知られていないがマーラーは自らのオーケストレーションの技を駆使して幾つかの他人の交響曲を編曲している。1878年28歳の時、ブルックナーの交響曲第3番 ニ短調「ワーグナー」を4手ピアノ用に編曲したものを書いている。ほかにシューベルトの「ザ・グレート」やベートーヴェンの第九交響曲の編曲版まで遺している。
そこでもうひとつ目に付いたのがシューマンの交響曲全曲の編曲版である。そういうとシューマンはピアノ曲や室内楽、あるいは歌曲では非凡な才能を示したが、交響曲については賛否両論あるが、確かにオーケストレーションそのものについては物足りなさを感じるのは否めない。
そこでマーラーもこれを聞いていて、歯がゆくなって自らペンをとったのだろう、おそらくそうに違いない。
シューマンの場合一例をあげるならばどれを取ってみても最終楽章での尻すぼみは、幾度かの演奏会で体験しているところで、どうも締らないのである。そこでオーケストレーションに秀でたマーラー先生がどう修正するのか、これは一聴に価する。一番親しみやすくてわかりやすい第1番「春」を同じシャイー の指揮で聴き比べてみた。
やはりホルンなどの管の扱い方が巧いうえに、最も感じられるのは、シューマンの場合はあれもこれもと欲張りすぎて持って回り過ぎたり、音が重なり合い濁って聴こえるようなところがあるが、マーラー版はすっきりと整頓され見通しがよくなった印象を持つ。マーラーは何もガンガンと鳴らしまくるばかりではないのである。


d0170835_19292687.jpgシューマン:

マーラー版(30:19)
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
リッカルド・シャイー (指揮)

オリジナル版(32:09)
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
リッカルド・シャイー(指揮)



by kirakuossan | 2018-07-07 18:22 | クラシック | Trackback
2018年6月26日(火)

今朝はアメリカ人指揮者デイヴィッド・ジンマンメンデルスゾーンを聴く。
この人の手にかかるとやはり響きというか音色というか音楽そのものが軽く感じられる。この軽いという表現は、なにも悪い意味だけで言っているのではないが、確かに他の指揮者とは異なった音楽に聴こえるから不思議だ。そのことを一言で表現するならば、たとえばメンデルスゾーンの交響曲第3番「スコットランド」、そう、最も重厚さが感じ取れる音楽にしてもまるで第4番の「イタリア」を聴いているのとつい錯覚するぐらいだ。あの軽快で、いわゆる”軽い”音楽に仕上がっているのだ。
さらに、メンデルスゾーンの交響曲のなかでもっとも渋さが表に出た曲であると思う第5番「宗教改革」にしたって、管の響かせ自体、どことなく「イタリア」的なのである。たしかに奏でるオーケストラがロチェスター・フィルハーモニー管弦楽団。あまり聞き慣れない団体で、そのせいかも知れないけれど。
そして最後に「イタリア」を聴いてみた。うん、確かにこれも「イタリア」だ。早い話、3曲とも同じ曲調に、僕には聞こえた。でも朝食前に、”軽く”聞き流すのにはこれはこれで別段抵抗がないようである。
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そしてまた思い起こした。彼が古楽奏法を採用したモダン・オーケストラによるグレツキで好評を博し、次に世に出したのがベーレンライター新全集版採用のトーンハレ管弦楽団とのベートーヴェン交響曲全集。一時期評判になった全集なのに僕にはまったく魅力を感じなかった。ジンマンの棒から引き出される音楽は、どのオケであれ、誰の作品であれ、どの曲であれ、みな同じに聞こえる不思議な指揮者なのである。


d0170835_06173035.jpgメンデルスゾーン:
ロチェスター・フィルハーモニー管弦楽団 - Rochester Philharmonic Orchestra
デイヴィッド・ジンマン - David Zinman (指揮)
(録音:1979~80年)

by kirakuossan | 2018-06-26 06:19 | クラシック | Trackback
2018年5月31日(木)

ロリン・マゼールが手兵ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団を引きつれて最後の来日を果たしたのが2013年春であった。ちょうどフェスティバルホールが改装になったその年にやってきた。早いものでもうあれから丸5年の月日が経った。
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2013年4月16日、3階席の真新しい椅子に座り酔いしれたのは、ブルックナーの交響曲第3番二短調(1889年第3稿 ノーヴァク版)であった。大熱演で終わったのは9時43分、まさか今日は遅いのでアンコールはないだろうと思っていたらニュルンベルクをやった。これだけでも10分ほどある。83歳のマゼールにはきつかったはずだが、過去から何度もやって来た大阪公演だけに一層の思い入れがあったのだろう。ファンに大サービスをしてくれたマゼールはそれから1年後の夏に突然帰らぬ人となった。あれだけ元気だったのに。
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昨夜訪れたフェスティバルホールの入口には「新装5周年」とあった。その横には、ロンドン響、ウィーン・フィルらと並んで今秋来日するゲルギエフとミュンヘンのポスターがかかってあった。
2015年からミュンヘン・フィルの首席に就いた ヴァレリー・ゲルギエフ、彼の指揮する、同じブルックナーの第3番をいま聴いている。マゼールのあの夜を懐かしく思い起こしながら・・・


ブルックナー:
ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
ヴァレリー・ゲルギエフ(指揮)
録音: 25 September 2017, Stiftsbasilika St. Florian, Austria
(本日、NMLの新着タイトルで配信)


d0170835_21571147.jpgそしてマゼールの演奏はないかと探せば、ミュンヘンではなかったが、これも今秋聴きに行くことにしているバイエルン放送響のものがあった。さっそく続けて聴くことに。

交響曲第3番 ニ短調 WAB 103 (1889年稿・ノヴァーク版)
バイエルン放送交響楽団
ロリン・マゼール(指揮)
録音:1999年1月

by kirakuossan | 2018-05-31 21:23 | クラシック | Trackback
2018年5月26日(土)

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なにを思ったか、久々にアバドを引っ張り出して聴いてみる。これほどまでに鮮明だったかな?と再認識したりする。アバド52歳、元気溌剌のウィーン・フィルを振っての「英雄」は名演とされている。正直今までそこまでは思わなかったが、こうしてなんの心の準備もせずに聴いてみると、すっと心地よく入ってくる。やっぱしこれは名演奏だったのだ。
こうなると、彼がその15年後に、今度はベルリン・フィルと共演した演奏が聴きたくなった。で、こちらはNMLで続けて聴いてみたりしている。出だしのあの和音からして違う。後の方は人生を経て丸みを帯びているのがこの2音だけでわかる。でも僕は若い方のこちらの演奏の方が好きだ。


ベートーヴェン:
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団クラウディオ・アバド(指揮)1985年5月、ウィーン、ムジークフェラインザール

交響曲第3番 変ホ長調 「英雄」 Op. 55
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 - Berlin Philharmonic Orchestraクラウディオ・アバド - Claudio Abbado (指揮)録音: March 2000, Grosser Saal, Berlin Philharmonie, Germany


by kirakuossan | 2018-05-26 10:18 | myライブラリー | Trackback
2018年5月20日(日)

2013年はミュンヘン・フィル(4月)チェコ・フィル(10月)パリ管(11月)ウィーン・フィル(11月)
2014年はゲヴァントハウス管(3月)イスラエル・フィル(11月)
2015年はベルリン放送響(3月)モスクワ・フィル(5月)フランクフルト響(11月)
2016年はフィラデルフィア管(6月)サンフランシスコ響(11月)
2017年はハンブルグ響(3月)フィルハーモニア管(5月)ウィーン響(11月)
ということで毎年海外の著名オケの演奏会を最低でも2度は聴いて来た。ところが今年は3月にニューヨーク・フィルを聴いただけで、ほかに予定がなかった。どうしたもんかな、と思っていた矢先、今日蓼科から帰ってきた直後に、庵原氏からバイエルン放送交響楽団演奏会の誘いを受けた。このオーケストラも一度は聴いておく必要があると思っていただけにちょうどいい機会だ。

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11月の来日公演、指揮者は2003年から同楽団の首席の地位にあるマリス・ヤンソンス、演目も渋いところでマーラーの第7番「夜の歌」ということで申し分ない。マーラーの7番は4年前にリッカルド・シャイーの指揮でライプツィヒ・ゲヴァントハウス管で耳にし記憶の新しいところである。はたしてバイエルンはどんな響きを聴かせてくれるのだろう。今から大いに愉しみである。


マーラー:
バイエルン放送交響楽団 - Bavarian Radio Symphony Orchestra
マリス・ヤンソンス - Mariss Jansons (指揮)
録音: 5-9 March 2007, Live recording, Philharmonie im Gasteig, Munich, Germany




ところで今回バイエルンを聴ければ、昔、クリーヴランド管やコンセルトヘボウ、レニングラード・フィルも聴いたし。これでほとんどを網羅したことになる。あとどうしても聴きたいオーケストラといえば、いまだ一度も耳にしたことのないイギリスの名門ロンドン交響楽団、アメリカのボストン交響楽団とシカゴ交響楽団、それにBBC響・・・ぐらいか。それと、あとペトレンコのベルリン・フィルは是非一度は聴いておきたい。(なにせベルリン・フィルを聴いたのは40年以上前のカラヤンのベートーヴェンが一度だけなのだから)



by kirakuossan | 2018-05-20 19:56 | クラシック | Trackback

unCLASSIFIED

2018年5月3日(木)


選考を任されたザンデルリンクがもうひとりの選考委員ノリントンに言った。
「アーベントロート翁の推薦もあったから1番と2番をミュラー=ブリュールという男に任すことにしたよ」
「はい、わたしもよく知りませんが手堅いらしいですね」
そして言った。
「ノリントン君、君には4番をたのむよ、僕は6番に回るから」
「えッ!? 先生が6番だって、意外だなあ、てっきり3番か5番かと思いました」
「いやそれでいいんだ、意外性が面白いんだよ、きみ」
「なるほど」
ノリントンが続けた。
「じゃあ3番と5番をドホナーニ先輩にお願いしますよ」
「それでいいんだ」
「ところで、少し気難しいギーレンだが、彼には7番を頼んだよ」
「あの人、受けました?」
「そら、受けるよ。渋い7番って、彼にもってこいだよ」
さらにザンデルリンクが、
「今回若手をひとり選んだが、イラン人のラハバリ君だ、彼には8番がいいだろう、ちょっと若々しくて青そうで」
「はい、ごもっともです」
「それじゃ、やはり〆はブロムシュテットさんですね」
「まあ、そうじゃろ、このメンバーでは」

ということで、無事、ベートーヴェンの9曲の指揮担当が決まりました。
(打順じゃなかった)


9曲が指揮者、オーケストラがばらばらに組み合わされた交響曲全集というのは珍しい。レーベルがunCLASSIFIED、まさに”分類されていない”全集だ。今朝、NMLで他の曲と合わせてたくさん新着タイトルで登場していた。


指揮者▼
ヘルムート・ミュラー=ブリュール(1939~2012)1番&2番
クリストフ・フォン・ドホナーニ(1929~)3番&5番
クルト・ザンデルリンク(1912~2011) 6番
ミヒャエル・ギーレン(1927~)7番
ロジャー・ノリントン(1934~)4番
アレクサンダー・ラハバリ(1948~)8番
ヘルベルト・ブロムシュテット(1927~)9番

オーケストラ▼
ケルン室内管弦楽団、フィルハーモニア管弦楽団、シュトゥットガルト放送交響楽団、西ドイツ放送交響楽団、バーデン・バーデン&フライブルク南西ドイツ放送交響楽団、ベルギー放送フィルハーモニー管弦楽団、シュターツカペレ・ドレスデン

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by kirakuossan | 2018-05-03 09:15 | クラシック | Trackback

ビルロートとブラームス

2018年4月26日(木)

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オーストリア南部のケルンテン州にあるヴェルター湖は避暑地として知られる。ちょうど諏訪湖をひと回り大きくしたほどの広さであるが、その南岸にマーラーが交響曲第5番や「亡き子をしのぶ歌」を作曲したマイアーニックがある。そして北岸にはペルチャッハと呼ばれる寒村があって、ブラームスが交響曲第2番を作曲した場所として知られる。

d0170835_08124722.jpgd0170835_08251935.jpg「この曲はすべてが青い空、川のせせらぎ、太陽の光と涼しい森の木陰だ。ペルチャッハとはどれほど美しいところだろう」とブラームスの4歳年上の親友テオドール・ビルロート(1829~1894)が語っている。彼は胃癌切除手術に世界で初めて成功した名高い外科医でもあった。189年前の今日生まれている。

1878年、ビルロートとブラームスはイタリア旅行をした。以後二人は1882年までに3回も一緒にイタリアに旅行するほどの親しさだった。
ブラームスは彼に自らの作品、弦楽四重奏曲第1番と第2番を献呈している。
どちらがブラームス? ふたりはよく似ている。



by kirakuossan | 2018-04-26 07:16 | クラシック | Trackback

週末の価値ある配信

2018年3月31日(土)

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2018年度も今日が最終日。NMLの新着配信、土、日曜日にはないことがほとんどだが、今日は価値あるアルバムが一つ配信されていた。ブーレーズのマーラー全集だ。
ピエール・ブーレーズ(1925~2016)は、何といっても1963年にフランス国立管弦楽団との「春の祭典」で鮮烈なデビューをした印象が強いが、もともとはヴェーベルンやシェーンベルクなどの音楽に端発し、自らも現代音楽作曲家として活動するなど、正直、ロマン派や古典派の音楽を熱心に聴く我々にはもうひとつ馴染めない存在だった。せめて近寄れるとすればドビュッシーぐらいであった。(これすらいまだに馴染めない難しい音楽ではあるが)彼はストラヴィンスキー音楽の再評価に努めたことでも知られ、d0170835_08131225.jpg1969年には再度、翌70年から3年間、ジョージ・セルをサポートするかたちで音楽顧問をつとめることになったクリーヴランド管弦楽団を指揮して2枚目の「春の祭典」を出している。どういうわけかこのレコードを手に入れ、初めてストラヴィンスキーの音楽と出会い、少なからずカルチャーショックを受けたものである。

指揮者としては1971年からはBBC交響楽団首席指揮者とニューヨーク・フィルハーモニック音楽監督を兼ねたこともあって、アメリカかイギリスの人と思いがちであるが、フランス人である。その彼が、69歳から晩年にかけて意欲的にマーラーの交響曲を録音した。それをまとめたのがこのDeutsche Grammophonから出ているものだが、ここでのオーケストラがまた魅力的なのである。第4番や第7番などはクリーヴランド管弦楽団と、第1番と第9番はシカゴ交響楽団と、そして第2番、第3番、第5番、第6番や「大地の歌」などはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団と、さらには第8番ではシュターツカペレ・ベルリンが出てくる。この「千人の交響曲」が2007年、ブーレーズ82歳の最晩年の録音となり、マーラー交響曲全集は完結した。こうしていくつかの一流オーケストラの音色を聴き比べられるのもこの全集の楽しみである。
これは週末に楽しみが増えたというものだ。


マーラー:
クリーヴランド管弦楽団
シカゴ交響楽団
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
シュターツカペレ・ベルリン
ピエール・ブーレーズ (指揮)
録音:1994~2007

ストラヴィンスキー:
フランス国立管弦楽団
ピエール・ブーレーズ (指揮)
録音: 18 June 1963



by kirakuossan | 2018-03-31 07:05 | クラシック | Trackback
2018年3月2日(金)

何度も書くが、クラシック音楽界の七不思議のひとつとして、どういうわけか音楽の世界でも先進国であったイギリスから、ベートーヴェンやモーツァルト級の大作曲家が誕生しなかった。その中ではエドワード・エルガーが最も優れたイギリス人作曲家として評価されるだろう。彼の「エニグマ変奏曲」を最近愛聴しているが、知的で、洒落ていて、何よりも独創性に富んでいる。ちょうど居間でエルガーがピアノで奏でる旋律を聴いていて、奥さんが大変気に入り、それがきっかけとなって生まれた作品だが、正直最初のうちは、代表作の「威風堂々」や「愛の挨拶」と比べて、難しい印象を持った。でも聴けば聴くほどに味わいが出てくるのがこの”謎”の変奏曲である。(エニグマとは「謎」の意)
あっ、そう、ここではエルガーの話でなかった。

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⁅第九伝説 その8⁆


レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ(1872~1958) は、イギリスの作曲家である。最大の代表作は管弦楽曲「グリーンスリーヴスによる幻想曲」を置いて他にない、といったら言い過ぎだろうか。実は交響曲を9曲も書いたのに、これら全部をあわせても、この4、5分足らずの「グリーンスリーヴス」の人気にはかなわないのである。
交響曲を最初に書いたのが、1910年に完成した「海の交響曲」で、はじめ管弦楽曲とされたが、これを第1番と呼ぶようになった。そして1912年から13年、40歳になってから第2番「ロンドン交響曲」を書き、1918年から21年にかけて書いた第3番「田園交響曲」、以降、20年余の間に第4番から第8番までを完成させ、交響曲第9番ホ短調を書き上げたのは1957年、すでに85歳の年齢に達していた。
彼の作品には、声楽が出てくるのが多い。「海の交響曲」は大編成だし、「田園交響曲」そして第7番、これも本来は番号をつけずに「南極交響曲」と呼ぶべき作品だが、これにも合唱やソプラノが登場する。
あるイギリスの音楽評論家がヴォーン・ウィリアムズの音楽を評して「聴いていて非常に古い音楽なのか非常に新しい音楽なのか分からなくなる」といったそうだが、まさにポイントをついた指摘である。というより、単刀直入に言えば、とりとめがないと言おうか、つかみどころがないと言おうか・・・そんな音楽である。9番もさることながら、声楽つきの「海の交響曲」や「南極交響曲」などにおいてもそうである。

d0170835_19451965.jpg交響曲第9番ホ短調の初演がマルコム・サージェント指揮のロイヤル・フィルハーモニック管弦楽団で、完成の翌年である1958年4月2日にロンドンで行われた。そして、僅か4か月半後にヴォーン・ウィリアムズは帰らぬ人となった。彼もまた、9番が最後の交響曲となった。



詩人で小説家のアーシュラ・ヴォーン・ウィリアムズは2番目の妻であり、夫の伝記を記した。




レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ :
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団 - London Philharmonic Orchestra
エイドリアン・ボールト - Adrian Boult (指揮)
録音: August 1958, Walthamstow Assembly Hall, London, UK


「グリーンスリーヴス」による幻想曲
アカデミー室内管弦楽団 - Academy of St. Martin in the Fields Orchestra
ネヴィル・マリナー - Neville Marriner (指揮)



by kirakuossan | 2018-03-02 17:38 | クラシック | Trackback