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珍盤 ―4 4人の指揮者によるブルックナー全集

2019年4月15日(月)

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 以前に9つのオーケストラを一人の指揮者(ラファエル・クーベリック)が振るといったベートーヴェン交響曲全集があったが、これは逆に一つのオーケストラ(バイエルン放送交響楽団)を4人の指揮者でまかなうといったブルックナー交響曲全集がある。今朝NMLから配信された。
 その4人の指揮者というのが、ロリン・マゼール、マリス・ヤンソンス、ベルナルド・ハイティンク、ヘルベルト・ブロムシュテットといったいずれもブルックナー演奏に長け、定評のある指揮者ばかりというところにこの全集の価値がある。しかも1999年から2017年の18年以内に収録されたもので、その演奏時期もほぼ統一され、曲が違うので単純には比較できないが、それぞれの指揮ぶりが比べてみることが出来るのも魅力となっている。BR-Klassikレーベルだからなせる企画といえる。
d0170835_06594768.gif ということで、先日のマーラー全曲試聴につづき、今日はブルックナーの全曲連続演奏を聴くことになりそうだ。終演は夕刻5時ごろになりそうである。

聴き比べはのちほどに・・・


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

バイエルン放送交響楽団 - Bavarian Radio Symphony Orchestra

交響曲第1番 ハ短調 WAB 101 (1877年リンツ稿・ノヴァーク版)
ロリン・マゼール(指揮)
録音: 22-23 January 1999, Philharmonie im Gasteig, Munich, Germany

交響曲第2番 ハ短調 WAB 102 (1877年稿・ノヴァーク版)
ロリン・マゼール (指揮)
録音: 27 January 1999, Philharmonie im Gasteig, Munich, Germany

交響曲第3番 ニ短調 WAB 103 (1889年稿・ノヴァーク版)
マリス・ヤンソンス (指揮)
録音: 20-21 January 2005, Philharmonie im Gasteig, Munich, Germany
マリス・ヤンソンス (指揮)
録音: 26-28 November 2008, Philharmonie im Gasteig, Munich, Germany

交響曲第5番 変ロ長調 WAB 105 (1878年稿・ノヴァーク版)
ベルナルド・ハイティンクk (指揮)
録音: 12 February 2010, Philharmonie im Gasteig, München, Germany

交響曲第6番 イ長調 WAB 106 (1881年稿・ハース版)
ベルナルド・ハイティンク(指揮)
録音: 4-5 May 2017, Philharmonie im Gasteig, Munich, Germany

交響曲第7番 ホ長調 WAB 107 (1885年稿・ノヴァーク版)
マリス・ヤンソンス(指揮)
録音: 4 November 2007, Großer Saal des Musikvereins, Vienna, Austria

交響曲第8番 ハ短調 WAB 108 (1890年稿・ノヴァーク版)
マリス・ヤンソンス(指揮)
録音: 13-18 November 2017, Philharmonie im Gasteig, Munich, Germany

交響曲第9番 ニ短調 WAB 109 (1894年初稿・ノヴァーク版)
ヘルベルト・ブロムシュテット(指揮)
録音: 7-8 May 2009, Philharmonie im Gasteig, Munich, Germany


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by kirakuossan | 2019-04-15 06:42 | 注目盤◎ | Trackback

クラシック雑記帳 10 交響曲第4番に関する一考察

2019年3月31日(日)

d0170835_12290178.jpg 交響曲第4番のもつ不思議な共通点。どういうわけかそれらは比較的小ぶりでどれを取って見ても、明るく軽快でそれでいて穏やかな一面も持ち合わせた曲想である。ただ見方によっては少々軽るんじられる点がなきにしもあらずだが、しかしよくよく聴いてみると、そんなことは大きな間違いであることに気づくはずである。
 そして9曲を作曲したベートーヴェン、ブルックナー、マーラーにとっては中間点をなす重要な立ち位置にある作品ともいえる。d0170835_12341218.png









ベートーヴェン交響曲第4番変ロ長調
 第3番と第5番の間ということでシューマンが「2人の北欧神話の巨人の間にはさまれたギリシアの乙女」と例えたとされるこの曲は、1806年夏ごろから作曲が始められ、10月には完成した。この年は創作意欲も旺盛で、ほかにピアノ協奏曲第4番やのヴァイオリン協奏曲なども作曲された。
 全体を通して古典的な均整のとれた、きびきびした爽快な作品である。楽器編成は二管編成よりさらにフルートが1本少なく、ベートーヴェン交響曲の中で最小である。

メンデルスゾーン交響曲第4番イ長調「イタリア」
 1831年から1833年にかけて作曲された。イタリア旅行中に書き始められたこの曲は、躍動的なリズムでカーンと晴れたイタリアをイメージさせる明るい曲。とくに最初の生き生きとした出だしは印象的である。
 ただメンデルスゾーンは書き上げたあとでもすぐに初演しなかったことで、作曲順がてれこになっている。4番はあくまでも出版順であって、作曲順では実は3番目であった。

ブラームス交響曲第4番ホ短調
 推敲が重ねられ作曲に20年余年という長きを費やした第1番とは違い、第3番を作曲した直後の1884年から1885年にかけての1年たらずで作曲された最後の交響曲。
 一般的に古い様式に独創性とロマン性を兼ね備えた作品と評されるが、ブラームス自身はこの作品をもっとも気に入っており「最高傑作」と自負した。技法が複雑すぎる点、また一種官能的で生々しさが漂うところはいかにもブラームスらしくもある。

マーラー交響曲第4番ト長調
 ぼくはこの曲が大好きである。1番もいいし、5番もいい、でもこの4番の持つ”天上の優しさ”は別物でこの曲独特のものだが、他の作曲家の作品を見わたしてもこれ以上のものは見つからない。軽快さもさることながら、とくに第4楽章のソプラノの独唱に入るや、まさに天にも昇る心境になる。
 1900年に完成している。ちょうどベートーヴェンが交響曲第1番を世に出してから100年の歳月が過ぎたころだった。

ブルックナー交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」
 1874年年初に作曲を開始し、その年の11月下旬には書き上げられた。もちろんこの曲もその後何度も改訂がなされ、1878年稿、1878/1880年稿と辿るが、今日よく演奏されるのは、1878/80年稿に基づくハース版またはノヴァーク版第2稿である。いずれにしても初稿は1年足らずで一気に書き上げられた。
 「ロマンティック」という表題が付いているためか親しみやすい。ブルックナーの作品にしては比較的短めで版によっては1時間そこそこのものもある。美しいメロディと活き活きとしたリズムが特徴的である。



177.pngベートーヴェンに始まり、メンデルスゾーンを知り、ブラームスにはまり、一転マーラーに飛び、またいずれベートーヴェンに戻るのだが、その道すがら、ブルックナーの虜になったりもするのである。これは自分が今までに歩んできた道のりだが、でもこのことはおそらく多くのクラシックファンが辿る道順だとも思っている。そして言えるのはそのどれもが魅惑的で個性的で、独自の光を発し続けていることである。


ここではまとめてベルナルド・ハイティンクの指揮で聴く。ほかにカラヤン、アバドでも聴けるが、ハイティンクの演奏が最もメリハリが効いて良い。とくに晩年の指揮が。




ベートーヴェン:
ロンドン交響楽団
録音: 19-20 April 2006, Barbican, London, United Kingdom

メンデルスゾーン:
交響曲第4番 イ長調 「イタリア」 Op. 90
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団

ブラームス:
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

マーラー:
シルヴィア・マクネアー (ソプラノ)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

ブルックナー:
ロンドン交響楽団
録音: 14 and 16 June 2011, Barbican, London



by kirakuossan | 2019-03-31 12:39 | クラシック雑記帳 | Trackback(3)

久々にクリュイタンスの第九を聴く

2019年3月26日(火)

 さてさて今日はベートーヴェンの192回目の命日にあたる。なにか聴かないわけにはいかないだろう。
1957年から1960年にかけてベルリン・フィルハーモニー管弦楽団が初めてベートーヴェン交響曲全集の録音を行なった。この時の指揮者が当時の常任指揮者であったヘルベルト・フォン・カラヤンではなく、どういうわけかフランス系指揮者の印象が強いアンドレ・クリュイタンスであったことは有名。

このことは当ブログに以前にも書いたことがあるので、2012年4月8日の「指揮者100選☆28 クリュイタンス」の記事から抜粋を掲載。





アンドレ・クリュイタンス(André Cluytens, ベルギー、1905~1967)
ベルギーのアントウェルペン出身の名指揮者である。彼のことは巨匠と呼ぶより”名指揮者”と呼ぶ方が何故か相応しいように思う。1964年、日本を訪れ鮮烈な印象を残してくれた。これが最初で最後の来日であった。彼をてっきりフランス人と思いこんでいたが、実はベルギーの人なのだ。それはもともとフランス音楽に秀でたものがある上に、来日したオケがパリ音楽院管弦楽団であったということに起因しているのだろう。彼の、フォーレの「レクイエム」やビゼーの「アルルの女」などを聴いていると純粋のフランス音楽そのものである。イーゴリ・マルケヴィチがウクライナ生まれでスイスの指揮者であるのにフランスの匂いがするのと似ている。クリュイタンスという名、発音がしにくく覚えにくいが、”古いタンス”といって覚えたものだ。

1964年の大阪国際フェスティバル協会によるパリ音楽院管弦楽団との来日公演となる。4月27日午後1時20分、パリ音楽院管弦楽団ら一行105名はKLM特別機で羽田に到着、直ちに日航機にに乗り換えて大阪に向かった。公演は全部で5種類のプログラムからなり、4月28日から5月11日にかけて、初日から前半は大阪(フェスティバルホール)で、途中、福岡を挟んで後半は東京(東京文化会館)で、全部で11公演が行われた。ラヴェル/管弦楽曲集、ベルリオーズ/幻想交響曲、ベートーヴェン/交響曲第3番「英雄」、ブラームス/交響曲第4番などがメーンプログラム。この公演は歴史に残るもので、当時の日本のファンを魅了し「あまりの素晴らしさに、日本のオケに絶望すら感じさせる」とまで言わしめた。なおクリュイタンスの亡き後、パリ音楽院管弦楽団は発展的解散を遂げ、パリ管弦楽団へと改組された。



d0170835_16343482.jpgベートーヴェン:交響曲全集
グレ・ブロウェンスティーン(ソプラノ)
ケルステン・マイヤー(メゾ・ソプラノ)
ニコライ・ゲッダ(テナー)
フレデリック・ガスリー(バリトン)
ベルリン聖ヘドヴィヒ大聖堂合唱団
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
アンドレ・クリュイタンス(指揮)
録音:1957~1960年(ベルリン、グリューネヴァルト教会)


この録音、2,4,6,8番の偶数番号が昔から人気が高く、特に第6番「田園」はワルター、ベームと並んで同曲屈指の名演として支持を受けている。確かにそうなんだが、今日、1番~7番まで聴いてみたが、3、5、7番も力強くメリハリが効いて、ベートーヴェンらしくスケールの大きな音楽を展開する。要するに全部良いのだ。カラヤン色に染まる以前のベルリン・フィルならではの音色を生かしきった素晴らしい演奏だと思う。以前からもそのことは分っていたが、今日また再認識した。(オケの違いもあろうが、やはりクリップスよりはだいぶ上だわ、これは・・・)それに50年以上も前の録音とはとても信じられない鮮明な音だ。これが実はベルリン・フィル初めてのベートーヴェン交響曲全集の録音で、フルトヴェングラーやカラヤンを差し置いてクリュイタンスが行った、ということは楽団からどれだけの評価と信頼を勝ち得ていたかが覗える。目を変えて見ると、ばりばりのドイツ人指揮者カール・シューリヒトがパリ音楽院管弦楽団とベートーヴェン全集を収録するかと思えば、片方ではフランスの色彩が強いクリュイタンスがばりばりのドイツのオーケストラのベルリン・フィルと全集を組むとはまことに面白い話だ。また、「田園」第4楽章でのコーダでのフルートの澄んだ旋律、また「英雄」第1楽章では 、冒頭の2回和音が響き、シンプルな第1主題はチェロにより提示され、tutti(全合奏)に至り、その後、下降動機のところでオーボエ、クラリネット、フルートが奏でられる。これらのフルートは当時ベルリン・フィルの首席フルート奏者を務め、59年まで在籍した名匠オーレル・ニコレが多分吹いているはずだ、・・・と想像するのも面白い。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

d0170835_16471217.jpgところでクリュイタンスは、実は1905年の今日26日に生まれている。これはちょうどいい。ということで、彼の指揮で第9番「合唱付き」を聴いてみる、と相成った次第。

ゆったり堂々とした演奏、やはりこれも名演です。しみじみそう思います。



by kirakuossan | 2019-03-26 16:13 | クラシック | Trackback

一年の聞き納めはやはり格調高い第九で

2018年12月31日(月)

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 一年の締めくくりはやはり第九。今年は第九演奏会に行くチャンスがなかったが、イッセルシュテットの最高の演奏で聞き納めができる。開演は午後1時30分である。
 このレコードは1965年12月に名匠ハンス・シュミット・イッセルシュテットがサザーランドをはじめ、ホーンやキング、タルヴェラと、時の一流ソリスト陣を従え、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮した、格調高い知る人ぞ知る「第九の名盤」である。
 色んなことで乱高下した平成最後の年、これで無事終えそうである。明日から始まる新しい時代。どんな夢を叶えてくれるのだろう、愉しみだ。


ベートーヴェン:
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 - Vienna Philharmonic Orchestra
ハンス・シュミット=イッセルシュテット - Hans Schmidt-Isserstedt (指揮)
ジョーン・サザーランド - Joan Sutherland (ソプラノ)
マリリン・ホーン - Marilyn Horne (メゾ・ソプラノ)
ジェイムズ・キング - James King (テノール)
マルッティ・タルヴェラ - Martti Talvela (バス)
ウィーン国立歌劇場合唱団 - Vienna State Opera Chorus




by kirakuossan | 2018-12-31 13:44 | クラシック | Trackback

クラシック雑記帳 3 あのチェリビダッケも真っ青? の「運命」

2018年12月14日(金)

 ベートーヴェンの9つの交響曲でどれも完成度が高いが、そのなかでも非の打ち所がない完璧な作品は第5番ハ短調だと僕は思う。もうこの曲は第一楽章冒頭の”ダダダダ~ン”から始まって、最後の第四楽章では彼の交響曲中で唯一”ジャーン”とフェルマータの音で終わるまで、全くムダな箇所が見当たらない。

 で、NMLで新たに配信された名指揮者フェレンツ・フリッチャイがベルリン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮した1961年9月の録音を聴いてみた。そこですぐさま気がついた。”ダダダダ~ン・ダダダダ~ン”がこの演奏では”ダ―ダ―ダ、ダ~ン・ダ―ダ―ダ、ダ~ン”なのである。これほどにゆっくりとしたテンポで始まるのは今まで知らない。遅い演奏で有名なあのセルジュ・チェリビダッケでさえ、”ダ、ダ、ダ、ダ~ン・ダ、ダ、ダ、ダ~ン”で、8秒、フリッチャイは9秒とそれより1秒長い。一方、あの軽快な名演奏で知られるカール・シューリヒトがパリ音楽院を指揮したものなどはなんと6秒で済ませている。
 冒頭からこの調子なので、結局第一楽章は、チェリビダッケでさえ7分31秒なのに対して、フリッチャイに至っては9分10秒と1分40秒も長い、シューリヒトなどは7分8秒だから、その遅さがわかる。
 これは続く第二楽章のアンダンテも当然ゆったりとしたペースで、チェリビダッケは12分09秒だが、フリッチャイはチェリビダッケも顔負けの13分18秒も要している。もうこれは尋常ではない。
 でもさすがにこれではあまりなので、ということでもないだろうが、最終楽章は逆に9分29秒で切り上げている。チェリビダッケは10分41秒、この人もゆっくりとした演奏で知られるオットー・クレンペラーなどはアレグロに13分19秒もかけている。

《全曲演奏時間》
フリッチャイ(ベルリン・フィル) 38分20秒
チェリビダッケ(ミュンヘン・フィル) 37分36秒
バーンスタイン(ウィーン・フィル)35分37秒
クライバー(ウィーン・フィル74年)33分22秒
フルトヴェングラー(ベルリン・フィル47年)33分10秒
モントゥー(ロンドン響)30分11秒
カラヤン(ベルリン・フィル77年)30分10秒
シューリヒト(パリ音楽院) 29分56秒

 指揮者の解釈で同じ曲がこれほどまでに違ったかたちで演奏される、しかもそのどれもが終始一貫して弛緩することなく、独自のテンポで聴かせる。これはどれもが神技と言えよう。ここに挙げた、指揮者たちは申すまでもなく当代きっての名指揮者ばかりである。
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 フェレンツ・フリッチャイ(1914~63)はハンガリー出身の将来を嘱望された指揮者だったが、惜しくも道半ばにして早世した。罹病してからのフリッチャイは同一人物によるとは思えない程大きな解釈の違いをみせたとされるが、この第5番の演奏も発病してから3年後のものである。
 もし彼がもっと長く指揮棒を握っていたら、おそらく同年代の巨匠ラファエル・クーベリックをも凌駕した実力と人気を博していたことだろう。



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ベートーヴェン:
交響曲第5番 ハ短調 「運命」 Op. 67
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
フェレンツ・フリッチャイ - Ferenc Fricsay (指揮)
録音: September 1961, Jesus-Christus-Kirche, Berlin, Germany




by kirakuossan | 2018-12-14 14:26 | クラシック雑記帳 | Trackback

リヒャルト・シュトラウス、来たるべき管弦楽手法の巨匠を予知させる秀作

2018年12月8日(土)

いい曲、なんの曲。

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今年の6月にも「リヒャルト・シュトラウス、絶対音楽から標題音楽への過渡期の作品」と題して、リヒャルト・シュトラウスが22歳の時に書いた交響的幻想曲「イタリアから」のことにふれたが、その「イタリアから」の2年前の20歳のとき、これはまちがいなく、将来大作曲家になるであろうことを暗示させる交響曲をすでに書き上げている。
交響曲第2番 ヘ短調 作品12は、1883年から1884年にかけて作曲された。
第一楽章のアレグロこそは、これからどのように書き進めて行こうか、と少し戸惑うような頼りなさを感じるが、でも第二楽章スケルツォではそれも吹っ切れて、徐々に伸びやかさが出てくる。そして第三楽章アンダンテになると、もうこれは美しすぎて、二十歳の青年が書いた音楽とはとても思えないような滋味さえ感じさせ、途中にはさまれる金管楽器の断片的なモチーフなどはすでにリヒャルト・シュトラウス特有の管弦楽手法そのものを予知させる。そして最終楽章フィナーレのアレグロでは、もうすでに確信に満ちたアプローチである。



リヒャルト・シュトラウス:
バイエルン放送交響楽団
カール・アントン・リッケンバッヒャー(指揮)


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ところでここでの指揮者がまた初耳で興味を惹く。リッケンバッヒャー (1940~2014)はスイスの指揮者で、珍しいドイツ物のレパートリーを掘り起こすことに定評があったらしい。主だったオーケストラのポストには就かなかったが、バイエルン放送響を始め、ベルリン放送響、バンベルク響などとの録音をいくつか残した。


by kirakuossan | 2018-12-08 08:51 | いい曲、なんの曲 | Trackback

新盤☆秀盤 NO28 ヤルヴィの創った故郷のエストニア祝祭管弦楽団でショスタコーヴィチの「悲愴」を聴く

2018年9月1日(土)

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いよいよ巨匠の領域に達しつつあるパーヴォ・ヤルヴィ。彼が創った故郷におけるオーケストラ、エストニア祝祭管弦楽団とのショスタコーヴィチを聴く。

d0170835_08024576.jpgショスタコーヴィチ:
交響曲第6番 ロ短調 Op. 54
Symphony No. 6 in B Minor, Op. 54
エストニア祝祭管弦楽団 - Estonian Festival Orchestra
パーヴォ・ヤルヴィ - Paavo Järvi (指揮)
録音: 17-19 July 2016, Pärnu Concert Hall, Pärnu, Estonia





ショスタコーヴィチ最大の交響曲第5番ニ短調に次いで1939年に書かれたこの3楽章からなるシンフォニーは叙情的な作品である。レナード・バーンスタインは、ショスタコーヴィチの第6番は「悲愴」を受け継いでいるとしてこの曲を評した。

チャイコフスキーの「悲愴」とこの曲は共に交響曲第6番でロ短調である。「悲愴」は音楽史上初めて、長くゆったりとした終楽章を持ってきており、ショスタコーヴィチの第6番は、音楽史上初めて、長くゆったりとした第1楽章になっている。

第二楽章の出だしなど、まるでチャイコフスキーの「くるみ割り人形」なる旋律を彷彿させる。たしかに全曲を通してチャイコフスキーを意識している。



by kirakuossan | 2018-09-01 08:03 | 注目盤◎ | Trackback

マーラーは歯がゆくなって自らペンをとった?

2018年7月7日(土)

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今日はグスタフ・マーラー(1860年7月7日~1911年)の生誕日である。よって何も聴かないわけにはいかぬ。ということでさしずめ交響曲の何番を聴こうかなあ?ということになるわけだが、はてはてこれが迷ってしまうのである。そんなわけで今日はひとつ毛色の変わったところでということで彼が編曲した作品を聴こうということになった。
あまり知られていないがマーラーは自らのオーケストレーションの技を駆使して幾つかの他人の交響曲を編曲している。1878年28歳の時、ブルックナーの交響曲第3番 ニ短調「ワーグナー」を4手ピアノ用に編曲したものを書いている。ほかにシューベルトの「ザ・グレート」やベートーヴェンの第九交響曲の編曲版まで遺している。
そこでもうひとつ目に付いたのがシューマンの交響曲全曲の編曲版である。そういうとシューマンはピアノ曲や室内楽、あるいは歌曲では非凡な才能を示したが、交響曲については賛否両論あるが、確かにオーケストレーションそのものについては物足りなさを感じるのは否めない。
そこでマーラーもこれを聞いていて、歯がゆくなって自らペンをとったのだろう、おそらくそうに違いない。
シューマンの場合一例をあげるならばどれを取ってみても最終楽章での尻すぼみは、幾度かの演奏会で体験しているところで、どうも締らないのである。そこでオーケストレーションに秀でたマーラー先生がどう修正するのか、これは一聴に価する。一番親しみやすくてわかりやすい第1番「春」を同じシャイー の指揮で聴き比べてみた。
やはりホルンなどの管の扱い方が巧いうえに、最も感じられるのは、シューマンの場合はあれもこれもと欲張りすぎて持って回り過ぎたり、音が重なり合い濁って聴こえるようなところがあるが、マーラー版はすっきりと整頓され見通しがよくなった印象を持つ。マーラーは何もガンガンと鳴らしまくるばかりではないのである。


d0170835_19292687.jpgシューマン:

マーラー版(30:19)
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
リッカルド・シャイー (指揮)

オリジナル版(32:09)
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
リッカルド・シャイー(指揮)



by kirakuossan | 2018-07-07 18:22 | クラシック | Trackback

みな同じに聞こえる不思議な指揮者、ジンマン

2018年6月26日(火)

今朝はアメリカ人指揮者デイヴィッド・ジンマンメンデルスゾーンを聴く。
この人の手にかかるとやはり響きというか音色というか音楽そのものが軽く感じられる。この軽いという表現は、なにも悪い意味だけで言っているのではないが、確かに他の指揮者とは異なった音楽に聴こえるから不思議だ。そのことを一言で表現するならば、たとえばメンデルスゾーンの交響曲第3番「スコットランド」、そう、最も重厚さが感じ取れる音楽にしてもまるで第4番の「イタリア」を聴いているのとつい錯覚するぐらいだ。あの軽快で、いわゆる”軽い”音楽に仕上がっているのだ。
さらに、メンデルスゾーンの交響曲のなかでもっとも渋さが表に出た曲であると思う第5番「宗教改革」にしたって、管の響かせ自体、どことなく「イタリア」的なのである。たしかに奏でるオーケストラがロチェスター・フィルハーモニー管弦楽団。あまり聞き慣れない団体で、そのせいかも知れないけれど。
そして最後に「イタリア」を聴いてみた。うん、確かにこれも「イタリア」だ。早い話、3曲とも同じ曲調に、僕には聞こえた。でも朝食前に、”軽く”聞き流すのにはこれはこれで別段抵抗がないようである。
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そしてまた思い起こした。彼が古楽奏法を採用したモダン・オーケストラによるグレツキで好評を博し、次に世に出したのがベーレンライター新全集版採用のトーンハレ管弦楽団とのベートーヴェン交響曲全集。一時期評判になった全集なのに僕にはまったく魅力を感じなかった。ジンマンの棒から引き出される音楽は、どのオケであれ、誰の作品であれ、どの曲であれ、みな同じに聞こえる不思議な指揮者なのである。


d0170835_06173035.jpgメンデルスゾーン:
ロチェスター・フィルハーモニー管弦楽団 - Rochester Philharmonic Orchestra
デイヴィッド・ジンマン - David Zinman (指揮)
(録音:1979~80年)

by kirakuossan | 2018-06-26 06:19 | クラシック | Trackback

マゼールのあの夜を懐かしく思い起こしながら・・・

2018年5月31日(木)

ロリン・マゼールが手兵ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団を引きつれて最後の来日を果たしたのが2013年春であった。ちょうどフェスティバルホールが改装になったその年にやってきた。早いものでもうあれから丸5年の月日が経った。
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2013年4月16日、3階席の真新しい椅子に座り酔いしれたのは、ブルックナーの交響曲第3番二短調(1889年第3稿 ノーヴァク版)であった。大熱演で終わったのは9時43分、まさか今日は遅いのでアンコールはないだろうと思っていたらニュルンベルクをやった。これだけでも10分ほどある。83歳のマゼールにはきつかったはずだが、過去から何度もやって来た大阪公演だけに一層の思い入れがあったのだろう。ファンに大サービスをしてくれたマゼールはそれから1年後の夏に突然帰らぬ人となった。あれだけ元気だったのに。
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昨夜訪れたフェスティバルホールの入口には「新装5周年」とあった。その横には、ロンドン響、ウィーン・フィルらと並んで今秋来日するゲルギエフとミュンヘンのポスターがかかってあった。
2015年からミュンヘン・フィルの首席に就いた ヴァレリー・ゲルギエフ、彼の指揮する、同じブルックナーの第3番をいま聴いている。マゼールのあの夜を懐かしく思い起こしながら・・・


ブルックナー:
ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
ヴァレリー・ゲルギエフ(指揮)
録音: 25 September 2017, Stiftsbasilika St. Florian, Austria
(本日、NMLの新着タイトルで配信)


d0170835_21571147.jpgそしてマゼールの演奏はないかと探せば、ミュンヘンではなかったが、これも今秋聴きに行くことにしているバイエルン放送響のものがあった。さっそく続けて聴くことに。

交響曲第3番 ニ短調 WAB 103 (1889年稿・ノヴァーク版)
バイエルン放送交響楽団
ロリン・マゼール(指揮)
録音:1999年1月

by kirakuossan | 2018-05-31 21:23 | クラシック | Trackback