信州の名峰蓼科山麓の女神湖近くの山荘"tutti”は標高1650mにある。これほどの高地にある別荘は日本でもそう多くはない。だから平地とは気温が10℃も違うのです。 当ブログ名は2018年7月1日をもって「のんきなとうさんの蓼科偶感」に変更いたしました。


by kirakuossan
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2018年11月14日(水)
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スペインの作曲家フェデリコ・モンポウ(1893~1987)はカタルーニャ地方のバルセロナに生まれた。15歳で接したフォーレの演奏会で作曲家になる決心をする。彼の作品はフランス近代音楽、とりわけ印象主義音楽に影響された作風、いずれも小品でピアノ曲と声楽曲が主体である。どれも「繊細」かつ「内省的」な面を持ち合わせ、エリック・サティの作品に類似しているところから「スペインのサティ」と呼ばれた。

d0170835_13590894.jpgモンポウのピアノは一方でショパンとも接する。1957年に書いた「ショパンの主題による変奏曲」は、実は遡ること20年近く前に友人ガスパール・カサドから、ショパンの「24の前奏曲」第7番を主題に用いてチェロとピアノための変奏曲を共同で作曲しようと提案されていた。その後、実現せず長く放置されたが、これがきっかけとなって徐々に作曲が始められ、64歳時に完成する。
来年1月名古屋の宗次ホールで催されるホアキン・アチュカロのピアノリサイタル。モンポウの代表作である「前奏曲」、そしてこの「ショパンの主題による変奏曲」、後半にはショパンの「24の前奏曲」が披露されることになっている。


86歳のスペイン人ピアニストを聴いていっぺんに好きになった。
”ホラキミ、暑ちゅかろ”と名前も覚えたし、名古屋までなら近い、ますます”聴きに行きたい”モードになってきた。



モンポウ:
フェデリコ・モンポウ - Federico Mompou (ピアノ)
録音: 1974, Casino l'Alianca del Poblenou, Barcelona, Spain
(モンボウ、82歳の自作自演CD)



by kirakuossan | 2018-11-14 12:54 | 知られざる作曲家 | Trackback
2018年11月13日(火)

例年多くのピアニストが来日するが、2019年はどんな顔ぶれが聴けるのか。注目のピアニストも多勢やってくる。最近では名も知らぬピアニストも多いので、ここで月刊雑誌「音楽の友」9月号を参考に来日順に一度整理しておきたい。
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イリヤ・ラシュコフスキー(ロシア 1984)
ソヌ・イェゴン(韓国 1989)
クシシュトフ・ヤヴウォンスキ(カナダ 1965)
1985年のショパン・コンクールで第3位に入り、この時は優勝者のブーニンと共に注目された。
ゲルハルト・オピッツ(ドイツ 1953)
ベートヴェン、シューベルトのソナタを得意とする。
d0170835_20531554.jpgサスキア・ジョルジーニ(イタリア♀ 1985)
2016年モーツァルト国際コンクールで優勝、女流のホープ。
ホアキン・アチューカロ(スペイン 1932)
サイモン・ラトルも「彼が創り出す非常に独特な音色は、今ではほんの僅かなピアニストしか持っていない」」と絶賛するスペインの巨匠。
レミ・ジュニエ(フランス 1992)
2013年のエリザベート王妃国際コンクールで2位入賞。
ソン・ヨルム(韓国♀ 1986)
2011年のチャイコフスキー国際コンクールで2位入賞。
ジャン=エフラム・バヴゼ(フランス 1962)
バドゥラ=スコダに師事、1986年の国際ベートーヴェン・ピアノ・コンクールで第1位を獲得。
セルゲイ・カスプロフ(ロシア 1979)
アファナシエフが「彼は他のピアニストとはまったく違う弾き方をします。集中力の高さ、強度、時間の扱い方からして違う」と評するユニークなピアニスト。
クリスティアン・ツィメルマン(ポーランド 1956)
今さら説明不要の現代の巨匠。
ユリアンナ・アヴデーエワ(ロシア♀ 1985)
彼女は今年もやって来る。さて何を弾いてくれるのか。
キット・アームストロング(アメリカ 1992)
師でもあるブレンデルはキットについて「これまでに出会った最も偉大な才能の持ち主」と評している。
マルタ・グヤーシュ(ハンガリー♀ 1953)
リーズ・ドゥ・ラ・サール(フランス♀ 1988)
毎年のように来日する妖精ピアニストも30歳を迎えた。
クレール=マリ・ルゲ(フランス♀ 1974)
現代フランスを代表するピアニストの一人。
セドリック・ティベルギアン(フランス 1975)
1998年のロン=ティボー国際コンクールで優勝。
アンジェラ・ヒューイット(カナダ♀ 1958)
バッハ演奏に精力的に取り組む。
クレア・ファンチ(アメリカ♀ 1990)
2011年のミュンヘン国際音楽コンクールに最年少で出場、第2位に輝いた。
レイフ・オヴェ・アンスネス(ノルウェー  1970)
彼も毎年常連組の一人。
ピエール=ロラン・エマール(フランス 1957)
今や巨匠に域に入って来たピアニスト。
サリーム・アシュカール(イスラエル 1976)
ニコライ・ルガンスキー(ロシア 1972)
正確無比な技巧のうえに豊かな情緒が特徴的で、ラフマニノフ作品の解釈に秀でる。
d0170835_20453187.jpgアレクセイ・ヴォロディン(ロシア 1977)
非常に繊細なタッチと華麗な技巧が高く評価され、世界の一流オーケストラから常に引っ張りだこの存在。
エリソ・ボルクヴァゼ(グルジア♀ 1967)
アンヌ・ケフェレック(フランス♀ 1948)
今年も健在。
バリー・ダグラス(北アイルランド 1960)
1986年チャイコフスキー国際コンクールの優勝者。
アンナ・ヴィニツカヤ(ロシア♀ 1983)
2007年のエリーザベト王妃国際音楽コンクール優勝者。
エフゲニー・スドビン(ロシア 1980)
ロナルド・プラウティハム(オランダ 1954)
ウラディーミル・アシュケナージ(ロシア 1937)
息子ヴォフカと来日する。
エリック・ル・サージュ(フランス 1964)
エリソ・ヴィルサラーゼ同様、シューマンが得意。
牛牛(中国 1997)
ギュウギュウではない、ニュウニュウ。
ロジェ・ムラロ(フランス 1959)
フランソワ・デュモン(フランス 1985)
イリーナ・メジェーエワ(ロシア♀ 1975)
現在、京都市立芸術大学音楽学部専任講師でもある。
ミハイル・プレトニョフ(ロシア 1957)
もうかなりの歳と思っていたら、ロシアでは還暦とは言わないだろうが、まだ還暦を過ぎたばかり。
ヴァディム・ホロデンコ(ロシア 1986)
2013年のヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで優勝。
アンドレア・バッケッティ(イタリア 1977)
アンドレイ・ガヴリーロフ(ロシア 1955)
1974年、19歳でチャイコフスキー国際コンクールで優勝する。
ケヴィン・ケナー(アメリカ 1963)
実績のある中堅ピアニスト。そういうとケビン・コスナーという好きな俳優がいたが今どうしてるのだろう?
リュカ・ドゥバルグ(フランス 1990)
クリストファー・ヒンターフーバー(オーストリア 1973)
アルセーニ・タラセヴィッチ=ニコラーエフ(ロシア 1994)
ロシアの新星。
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フレディ・ケンプ(イギリス 1977)
父親はヴィルヘルム・ケンプの遠縁、母親は日本人。
アリス・紗良・オット(ドイツ 1988)
彼女に注目して7~8年が経つ、もう30歳を迎えました。年々表現力が増す。
エフゲニー・ボジャノフ(ブルガリア 1984)
ポール・ルイス(イギリス 1972)
現在の中堅ピアニストでは3本の指に入ると思う。
パスカル・ロジェ(フランス 1951)
サン=サーンス、フォーレ、サティ、ドビュッシー、ラヴェル、プーランクらフランス近代の作曲家のピアノ曲を全曲録音している。
ルドルフ・ブーフビンダー(オーストリア 1946)
ベートヴェンの専門家として定評がある。
d0170835_20495740.jpgグロリア・カンパネル(イタリア♀ 1986)
いま最も注目を集めるピアニストのひとり。名前がイイ。
ティル・フェルナー(オーストリア 1972)
1993年のクララ・ハスキル国際コンクール優勝者。
ニコラ・アンゲリッシュ(アメリカ 1970)
ダン・タイ・ソン(ベトナム 1958)
1980年にアジア人で初めてショパン国際ピアノコンクールで優勝。
ジャン=クロード・ベヌティエ(フランス 1942)
ピーター・ゼルキン(アメリカ 1947)
言わずと知れたルドルフ・ゼルキンの息子。
シブリアン・カツァリス(フランス 1951)
カツァリスといえばやはりベートーヴェン交響曲全集(フランツ・リスト編曲)
ルーカス・ユッセン(オランダ 1993)
アルトゥールと兄弟で来日。
アドリアン・コックス(イギリス 1952)
ラファウ・ブレハッチ(ポーランド 1985)
2005年のショパン国際ピアノコンクール優勝者でもあり、いま最も注目されているショパンにもどこか似たピアニスト。
アレクサンドル・タロー(フランス 1968)
犬の名ではありません。バッハとラヴェルを得意とする名ピアニストです。
マーティン・ジェームス・パートレット(イギリス 1996)



62人のピアニストの顔ぶれをみて、まず気づいたのが、フランス人ピアニストが15人、ロシア人ピアニストが13人と圧倒的に多いことだ。最年長は86歳のスペイン人ピアニスト、ホアキン・アチューカロ、最年少は22歳のジェームス・パートレットとさまざま。
ここではやはり是非アチューカロの演奏を聴いてみたいと思い、NMLを物色、あった!あった! ショパンのピアノ曲集が聴ける。昨年9月、アチューカロ85歳での演奏、これは愉しみだ。
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ショパン:
24の前奏曲/舟歌 Op. 60/幻想即興曲
ホアキン・アチューカロ - Joaquín Achúcarro (ピアノ)
録音: 7-8 September 2017, St. Stephen's House, Oxford, UK


全体にゆっくりとしたテンポでじっくりと聴かせる。そのタッチの軽妙さと表現力は単に年輪だけではない、一種独特の深みと優しさがある。なかでも幻想即興曲、夜想曲第2番 変ホ長調 Op. 9、夜想曲第20番 嬰ハ短調(遺作)、そして舟歌 嬰ヘ長調 Op. 60は絶品である。
こんな素晴らしいピアニストがいたんだ。知らなかった。来年1月の演奏会は東京と名古屋だけなので残念ながら聴く機会はなさそうだが・・・


単に美音というのではなく、その人の信条、美学、思想、そして人間性などが自ずからにじみ出てくるような音。ピアノはときにたくさんの音をあやつるが、たったひとつの音でも人を泣かせることができる。そこまでの背景をもった音。ホアキン・アチュカロの音がそうだった。
(青柳いづみこ/ピアニスト。文筆家)




by kirakuossan | 2018-11-13 15:15 | クラシック | Trackback
2018年11月3日(土)
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ラドゥ・ルプ(Radu Lupu 1945~)はルーマニアのピアニストである。やや抑えた繊細なニュアンスから詩情豊かに、しかも生き生きと・・・シューベルト弾きとして名高い。
彼もまた、リヒテルやギレリス、あるいはヴィルサラーゼと同様にスタニスラフ・ネイガウスの門弟である。1966年第2回ヴァン・クライバーン国際コンクール、1967年エネスコ国際コンクール、1969年リーズ国際ピアノ・コンクールにおいてそれぞれ優勝者となった。しかし身体が弱い?こともあるのか、その輝かしい実績に比して、リリシストとしての活躍はまだまだ不完全燃焼ではないだろうか。もっともっと評価されるべきピアニストのひとりだろう。

d0170835_11593036.jpg「レコードは文化財」ということで今日は「レコードの日」らしい。
で、ルプのシューベルトが聴きたくなって引っ張り出してきた。「即興曲全集」だ。

リサイタルを一度耳にした音楽評論家の小林利之氏がライナノーツで語る。

いつまでもつづいてほしいと思うそんな演奏を、ルプーの「即興曲集」は響かせていた。あれはあのときだけで、永久に虚空の中に消えて行ったのだと思い、幾度となく、後日それを思い出そうとしていたのだが、ここに1982年6月のハンブルクで録音されたレコードが出されることになり、ルプーの絶妙のタッチでシューベルトの傑作が聴けることになった。~
このレコードを聴きながら、こんなすばらしいピアノを聴けるまで生きていられて、何と嬉しいことだろうと、ぼくはルプーに感謝したい気持でいっぱいだった。

4つの即興曲作品142の変ロ長調など、ほんと、いつまでもこの音楽が永遠に続いて欲しいという思いにかられる名演である。


シューベルト:
ラドゥ・ルプー - Radu Lupu (ピアノ)
録音: June 1982, Friedrich-Ebert-Halle, Hamburg, Germany


by kirakuossan | 2018-11-03 11:57 | ピアニスト列伝 | Trackback
2018年10月13日(土)

今朝のNMLの新着ラインナップから一つ目にとまった。”最後の巨匠 - マックス・エッガー追悼アルバム”とある。今までに一度も名を聞いたことがないピアニストだ。興味半分に聴いてみて驚いた。
ショパンの第2番「葬送」、この力強いタッチのうらに、一転秘められた美しすぎるピアニシモ。これはただ者ではない・・・

数少ない資料から次のことが分った。d0170835_11422873.jpg
マックス・エッガー(1916~2008) スイス・ロールシャハの生まれ。チューリヒ大学音楽部を卒業後、1943年スイス音楽協会賞を受賞。同年チューリヒ音楽院のピアノ科主任教授となり、多くの優れたピアニストを養成し、コンクールの審査員やピアノ奏者として活躍した。54年スイス文化使節として初来日。59年には武蔵野音楽大学の教授として再来日した。以降、東京芸術大学、洗足学園大学教授を歴任、日本の若手ピアニストを多数育てた。長く日本に住み、最後は京都市北区鷹峯土天井町の自宅で日本人妻庸子さんに看取られて91歳の生涯を閉じた。

さらに驚いたのは、録音はかなり旧いがシューベルトやトスティの声楽曲の弾き語りが収められており、これがまた素晴らしい美声なのである。
そしてアルバムの最後に、彼の肉声で紹介されたショパンの「告別」が入っている。1999年2月の録音でエッガー83歳の演奏である。


最後の巨匠 - マックス・エッガー追悼アルバム
マックス・エッガー - Max Egger (ピアノ)

by kirakuossan | 2018-10-13 11:27 | 注目盤◎ | Trackback
2018年9月27日(木)

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ロシアのスヴャトスラフ・リヒテルは親日派で知られたが、飛行機嫌いやスタジオでの録音を嫌う気難しい面を持ち合わせた。同世代に同じように親日家でもあったイタリア人ピアニストにアルトゥーロ・ミケランジェリ(Arturo Michelangeli, 1920~1995)がいる。気難しさも似通っていたが、ミケランジェリは完璧を求めるあまり調子が出ないと演奏会を急遽キャンセルするといった困った面を持ち合わせた。そしてもうひとつ二人の共通点はピアノのコンディションに神経質でもあり、そしてどちらもヤマハのピアノを高く評価した。
完璧主義を求める姿勢は、当然ピアノのテクニックにも現れ、一音一音が計算尽くされミスタッチは皆無であった。それはまさに”神がかり”的でさえあった。
ショパン、ドビュッシー、さらにはラヴェルを得意とした。
指揮者と違って不思議と著名なピアニストはイタリア人に少ない。ミケランジェリ以外に、大御所フェルッチョ・ブゾーニとアルド・チッコリーニ、そして弟子のマウリツィオ・ポリーニぐらいか。
弟子を数多く持ったが、門下という雰囲気はなく、本人たちの自主性に任せ、ミケランジェリはわが道を歩んだ。ポリーニのほかに有名な門下生にマルタ・アルゲリッチ、ワルター・クリーンなどがいる。




d0170835_22410681.gifショパン:
マズルカ集/前奏曲第25番/バラード第1番/スケルツォ第2番
アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ - Arturo Benedetti Michelangeli (ピアノ)
(1971年)

by kirakuossan | 2018-09-27 21:18 | ピアニスト列伝 | Trackback

妖精10年の足跡

2018年9月9日(日)


妖精から小悪魔へ、そして大人の女性へ・・・

Ott, Alice Sara



☆リスト:超絶技巧練習曲集(全12曲)
 録音:2008年6月、ハンブルク
☆ショパン:ワルツ全集 
 録音:2009年8月、ベルリン、テルデックス・スタジオ
☆チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 作品23
リスト:ピアノ協奏曲第1番 変ホ長調 S.124
ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団 トーマス・ヘンゲルブロック(指揮) 
 録音:2009年11月 、ミュンヘン
☆ベートーヴェン:ピアノ作品集
 録音:2010年8月、ハンブルク
☆ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」ほか
 録音:2012年7月、サンクト・ペテルブルク、マリインスキー劇場
☆ストラヴィンスキー:春の祭典(作曲者による2台ピアノ版)
 録音:2013年9月、ベルリン
☆グリーグ:ピアノ協奏曲イ短調 op.16、抒情小曲集ほか
バイエルン放送交響楽団 エサ=ペッカ・サロネン(指揮)
 録音:2015年1月(1)ミュンヘン、ヘルクレスザール、2016年4月(2)ベルリン、マイスター・ザール
☆ドビュッシー・サティ・ラヴェル作品集
 録音:2018年3月、ベルリン



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by kirakuossan | 2018-09-09 08:19 | クラシック | Trackback
2018年9月8日(土)

Ott, Alice Sara Nightfall

d0170835_22544690.jpg夕暮、アリスの新盤を聴く。

ドビュッシー、サティ、ラヴェル、
2年ぶり8枚目のアルバム
20代最後の録音。
今までにない彼女の新境地だ。

録音: March 2018, Meistersaal, Berlin, Germany






夢想Rêverie
ベルガマスク組曲Suite bergamasque
Debussy

3つのジムノペディ - 第1番 ゆっくりと悩める如く
3 Gymnopédies: No. 1. Lent et douloureux
Satie

夜のガスパールGaspard de la nuit
亡き王女のためのパヴァーヌ(ピアノ版)Pavane pour une infante défunte (version for piano)
Ravel



by kirakuossan | 2018-09-08 22:55 | 注目盤◎ | Trackback
2018年7月26日(木)

d0170835_03271093.jpg あれほど苦手だったドビュッシーが、どうしたことだろう、不思議とすーっと耳に入ってきて、心地よい響きを感じたとった。
4年前に傘寿記念ピアノリサイタルを開いた女流ピアニストによるドビュッシー。
北村陽子。井口基成やフランス人ピアニストのイヴ・ナット、ピエール・サンカンに師事したとあるから、時代を感じさせる。
1957年にパリ国立音楽院ピアノ科を卒業、1960年にはジュネーブ国際コンクール最高位に入選、帰国後、桐朋学園で教鞭をとり多くのピアニストたちを育てた。
この4月にも紀尾井ホールでリサイタルを開き、シューベルトの即興曲集やラヴェルを聴かせた。
それにしても、今まで受けつけなかったドビュッシーが・・・ほんとにどうしたことだろう。


ドビュッシー:
北村陽子 - Yoko Kitamura (ピアノ)
(録音: 5-7 September 2016, Inagi Municipal i Plaza, Tokyo, Japan)

by kirakuossan | 2018-07-26 03:27 | 注目盤◎ | Trackback(1)
2018年7月21日(土)

Orfeo 1979年にミュンヘンで設立されたレーベルで、カルロス・クライバーのベートーヴェンで馴染み深い。紺色ジャケットがスタジオでの自主録音、赤色ジャケットが放送局等の歴史的ライブレコーディングと分かれているが、とくに赤色ジャケットが充実している。古典から現代音楽まで幅広いレパートリーを持っていて、名盤のうえに音質の良さとくるから捨てがたいレーベルである。今朝のNMLで一堂50枚が新着配信されている。
ではその中から1枚、1965年7月に行われたゲザ・アンダのショパンリサイタルの演奏を。

d0170835_08043999.jpgハンガリー人なので本来ならアンダ・ゲーザ(Anda Géza 1921~1976)なのだが、来日時の紹介でどういうわけかゲザ・アンダと公表され、日本ではそのままこの名が定着してしまった。
いまショパンの「24の前奏曲」を聴いているが、第7番や第11番など短いフレーズのなかにアンダの心温まる響きが凝縮されているようだ。
ブダペストに生まれた彼は13歳でフランツ・リスト音楽院に学びメンゲルベルクやフルトヴェングラーのよって才能を認められた。大戦後にチューリヒに亡命、世界的に知られるようになる。バルトークとモーツァルトを得意としたが、ロマン派の演奏も捨てがたい。
ショパン、モーツァルト・・・聴くにつれて彼がヴィルトゥオーゾ・ピアニストとされたわけがよく理解できてくる。わずか55歳で他界してしまったために巨匠と称されないままに終わってしまったまことに惜しいピアニストである。


ショパン:
ゲザ・アンダ - Géza Anda (ピアノ)
(録音: 27 July 1965, Österreichischen Rundfunks 1, Solistenkonzert, Mozarteum, Austria)

モーツァルト:
ゲザ・アンダ - Géza Anda (ピアノ)
バーデン・バーデン&フライブルク南西ドイツ放送交響楽団
エルネスト・ブール - Ernest Bour (指揮)
(録音: 13 March 1963)



これは1963年の録音、この翌年に東京オリンピックが開催されたが、ところで今度の東京オリンピックまで今日で丸2年に迫った。開会式は2020年7月24日だが、日程の都合でサッカーだけが2日早く7月22日から始まる。余談だけど。


そしてこのピアノを鳴らし切ったスケールの大きなラヴェルを聴くと、もうただ者ではなかったことがよく解るのです。


ラヴェル:
ゲザ・アンダ - Géza Anda (ピアノ)
バーデン・バーデン&フライブルク南西ドイツ放送交響楽団 ハンス・ロスバウト - Hans Rosbaud (指揮)
(録音: 15 March 1952)



by kirakuossan | 2018-07-21 06:23 | ピアニスト列伝 | Trackback

「本当の音楽」

2018年6月18日(月)

d0170835_21404877.jpgスヴャトスラフ・リヒテルの最後の来日公演は1994年2月、彼が亡くなる3年半前の79歳の時である。飛行機嫌いは有名で、なかなか来日を果たせなかった(もちろん他に大きな理由はあったが)そして彼の初来日もまた例の1970年大阪万博の時であった。それ以降は度々日本を訪れることとなり、調子が悪いとキャンセルを繰返し、何かと話題性の多いピアニストでもあった。しかし「20世紀最大のピアニストのひとり」と日本での人気は高く、リヒテルの名を不動のものにした。


1924年2月、リヒテル最後の来日公演での、サントリーホールのピアノ・リサイタルで聴いたグリーグの「抒情小曲集」のことをいまもときどき思い出す。
なぜなら、あのときの演奏こそ、数少ない「本当の音楽」だと強く思ったからだ。
当日になるまでプログラムはわからないという気まぐれが許される数少ない巨匠だったリヒテルは、いつもの習慣として会場全体の照明を落とし、ピアノの上だけに明かりを置いて、スコアを広げながら、静かにグリーグを弾いた。
それは多くのファンが期待したような華やかな作品とは似ても似つかないものだった。が、淡々とした地味な小品たちを一曲また一曲と弾き進むにつれて、ずっとここでリヒテルの弾くグリーグを聴いていたいと思うほど、強い幸福感に襲われた。
グリーグの「抒情小曲集」は、そういう外面的な世界の正反対の何物かである。言い換えれば、それは詩そのものである。ひけらかしやエゴの表出とは無縁に、四季折々の情景、素朴な暮らしの一場面が、個人の日記のように記されている。その背後には、人はいかにして生きるべきかというグリーグの省察がある。

「リヒテルが教えてくれた本当の音楽」(林田直樹著クラシック新定番より)


d0170835_22135248.jpg私の悪い習癖で、物事を決め込んでしまうところがある。それは自分なりに根拠を持ったものであるが、しかし厳密に考えなおせば、必ずしもそれが根拠といえるだろうか、単なる思い込みではなかろうかといった所詮曖昧なものなのである。
北欧の作曲家といえばやはりシベリウスであり、ほかのライバルは見当たらない。しいて言えばグリーグなのだろうが、彼の音楽はいかにも「通俗的」であり、真の音楽性からすればすこし外れたものである。ピアノ協奏曲イ短調を聴けば感じるが、あの一見してとっつきやすさがそのことを物語っている。(これ自体がそもそも偏見なのだろう)
ところがここでの林田直樹氏のグリーグ観を読むにつけ、その偏見は一瞬にして覆されたのである。


自然は、人間をさまざまな属性から解放し、純粋な一個人へと還元する。そして人を謙虚にさせる。この謙虚さが、グリーグの音楽の持っている「徳」の源なのだろう。

ここに出てくるリヒテル最後の来日公演のわずか4か月ほど前に、同じグリーグの「抒情小曲集」アテネでのライヴで録ったディスクがある。林田氏が数少ない「本当の音楽」と評した演奏を想像しながら、いま聴いているのである。



グリーグ:
スヴャトスラフ・リヒテル - Sviatoslav Richter (ピアノ)
録音: 19 October 1993, Athens, Greece



by kirakuossan | 2018-06-18 20:07 | クラシック | Trackback