2018年 12月 22日
2018年12月22日(土) 13歳の時にホワイトハウスでリンカーンに御前演奏を披露したというぐらいだから、時代を感じさせ、のちにアントン・ルビンシテインの門下になり、ヨーロッパ各地で演奏活動を展開した。1890年代、40歳代で名声を確立、男性遍歴も華麗で20世紀初頭には2度の世界的な演奏旅行を行なったとある。 そんな凄いピアニストがいたというのも驚きだが、さらに驚くのは彼女の演奏が今も聴けるということである。1905年4月に、自動再生ピアノ「ウェルテ・ミニョン」を通じてベートーヴェンの「ワルトシュタイン」やショパンの夜想曲、リストのピアノ曲、さらには自作の曲まで20曲近くピアノロールを録音した。 いわゆる自動ピアノと称するものだが、当初のものは音の強弱がうまく表現できないとされ、話題性だけにとどまった。しかし、1904年のセントルイス万国博覧会に改良されたものが出品され、「ウェルテ・ミニョン」という自動ピアノが発売された。 NMLでこの演奏が聴けるが、ただただ驚くばかりの澄んだ音質で、110年以上前の演奏が蘇る。聴いていても信じられないくらいだが・・・ ![]() テレーサ・カレーニョ - Teresa Carreno (ピアノ) (ヴェルデ=ミニョン・ピアノ・ロール・レコーディング) ▲
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| 2018-12-22 07:30
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2018年 11月 29日
2018年11月29日(木) 期待のイタリア人若手指揮者のひとりミケーレ・マリオッティの新録音が出た。しかも嬉しいことに彼が得意とするオペラ作品で、ロッシーニの序曲集、オーケストラは手兵のボローニャ市立劇場管弦楽団 とくれば、これはもう聴かないわけにはいかない。 2007年11月、ボローニャ市立劇場でのヴェルディの「シモン・ボッカネグラ」公演の成功を皮切りに、その翌2008年2月より、ボローニャ市立劇場の首席指揮者を務めることに、それは弱冠29歳の若さでの就任となった。 前にも書いたが、イタリアは若手指揮者の宝庫だ。アンドレア・バッティストーニ(31歳)、ダニエーレ・ルスティオーニ(35歳)、そして39歳のミケーレ・マリオッティ。バッティストーニがスカラ座、ベルリン・ドイツ・オペラ、バイエルン国立歌劇場で活躍すれば、ルスティオーニはロイヤル・オペラ・ハウスで、そしてマリオッティはボローニャということになる。三人ともオペラから出発したことも共通点でいかにもイタリア人指揮者である。さらに前二人はそれぞれ日本のオーケストラとも親しい関係にあって、東京フィル・ハーモニー、東京交響楽団といったあんばい。マリオッティは日本での知名度はまだ二人に及ばないかも知れないが、さすが最も年長だけのことはある、懐の広い音楽を聴かせる。上品な軽やかさに加えて溌剌とした愉しいロッシーニが満喫できる。 ![]() ロッシーニ:序曲集 ボローニャ市立劇場管弦楽団 - Bologna Teatro Comunale Orchestra ミケーレ・マリオッティ - Michele Mariotti (指揮) 録音: May 2018, Library of the Convento San Domenico, Bologna, Italy ▲
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| 2018-11-29 20:00
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2018年 11月 17日
2018年11月17日(土) 2週間ほど前、イルゼ・フォン・アルペンハイムの素敵なメンデルスゾーンの「無言歌集」を聴き、彼女の夫が指揮者のアンタル・ドラティであると知った。そこで久々にドラティの演奏も聴いてみたいと思っていたところ、今日NMLの新着タイトルでチャイコフスキーの交響曲集など3枚の音源が新たに配信されていた。 オーケストラ・ビルダーで知られるアンタル・ドラティ、チャイコフスキー序曲集のなかでも祝典序曲「1812年」は初めて実際の大砲音を収録したことで知られる名演・珍演盤である。 それと同じくチャイコフスキーの交響曲第4番 ヘ短調 Op. 36、これはドラティのおはことも言うべきシンフォニーで、1963年4月にロンドン交響楽団が初めて日本にやって来た時、ドラティ57歳、二日目の大阪フェスティバルホールでの演奏会でこの曲を披露している。この時88歳のピエール・モントゥー、51歳のゲオルク・ショルティが一緒に来日しており、3人が日替わりで15日間にわたり、日本各地で演奏会を繰り広げた。ドラティは大阪での1公演、広島、福岡、名古屋、そして東京の2公演を受け持った。 デトロイト交響楽団 - Detroit Symphony Orchestra アンタル・ドラティ - Antal Doráti (指揮) チャイコフスキー: コンセルトヘボウ管弦楽団 - Concertgebouw Orchestra アンタル・ドラティ - Antal Doráti (指揮) 録音:1956年9月(モノラル) チャイコフスキー第4番、”真っ向勝負”のドラティの真骨頂ともいえる名演である。 ▲
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| 2018-11-17 08:59
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2018年 10月 20日
2018年10月20日(土) 1960年代のステレオ録音、マイクの位置が少しピアノから離れ、しかもオケの響きもそれを外から柔らかく包み込むように聴こえる。現在の鮮明過ぎる録音に聞き慣れた耳には、より優しく、より懐かしく、より自然と耳に入り込む。その響きは”新鮮”でもある。 名ピアニストゲザ・アンダが遺したモーツァルトピアノ協奏曲集。その演奏水準の高さから模範的な名演奏として古くから名高い銘盤とされている。彼の名を初めて知ったのもこの演奏からではないだろうか。![]() 今朝のNMLの新着タイトルに顔を出していた。さっそく6番、8番、そして「ジュノーム」と聴き始めている。初期後半と中期の作品がとくに味わい深い。「ジュノーム」のAndantinoなど最高! ![]() モーツァルト: ゲザ・アンダ - Géza Anda (ピアノ・指揮)ピアノ協奏曲第1番 - 第6番, 第8番, 第9番, 第11番 - 第27番 Piano Concertos Nos. 1-6, 8-9, 11-27 カメラータ・ザルツブルク - Camerata Salzburg
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| 2018-10-20 07:41
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2018年 10月 13日
2018年10月13日(土) 今朝のNMLの新着ラインナップから一つ目にとまった。”最後の巨匠 - マックス・エッガー追悼アルバム”とある。今までに一度も名を聞いたことがないピアニストだ。興味半分に聴いてみて驚いた。 ショパンの第2番「葬送」、この力強いタッチのうらに、一転秘められた美しすぎるピアニシモ。これはただ者ではない・・・ 数少ない資料から次のことが分った。 ![]() マックス・エッガー(1916~2008) スイス・ロールシャハの生まれ。チューリヒ大学音楽部を卒業後、1943年スイス音楽協会賞を受賞。同年チューリヒ音楽院のピアノ科主任教授となり、多くの優れたピアニストを養成し、コンクールの審査員やピアノ奏者として活躍した。54年スイス文化使節として初来日。59年には武蔵野音楽大学の教授として再来日した。以降、東京芸術大学、洗足学園大学教授を歴任、日本の若手ピアニストを多数育てた。長く日本に住み、最後は京都市北区鷹峯土天井町の自宅で日本人妻庸子さんに看取られて91歳の生涯を閉じた。 さらに驚いたのは、録音はかなり旧いがシューベルトやトスティの声楽曲の弾き語りが収められており、これがまた素晴らしい美声なのである。 そしてアルバムの最後に、彼の肉声で紹介されたショパンの「告別」が入っている。1999年2月の録音でエッガー83歳の演奏である。 マックス・エッガー - Max Egger (ピアノ)
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| 2018-10-13 11:27
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2018年 10月 03日
2018年10月3日(水) 新しく出たティルソン・トーマスのチャイコフスキー。 一言でいえば”クールななかにも凝縮された燃焼”そんな「悲愴」である。 チャイコフスキー: 交響曲第6番 ロ短調 「悲愴」 Op. 74 Symphony No. 6 in B Minor, Op. 74, "Pathétique" サンフランシスコ交響楽団 マイケル・ティルソン・トーマス(指揮) 録音: 1-4 March 2017, Live recording, Davies Symphony Hall, San Francisco, USA ▲
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| 2018-10-03 08:22
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2018年 09月 08日
2018年9月8日(土) Ott, Alice Sara Nightfall 2年ぶり8枚目のアルバム
20代最後の録音。 今までにない彼女の新境地だ。 録音: March 2018, Meistersaal, Berlin, Germany ベルガマスク組曲Suite bergamasque Debussy 3つのジムノペディ - 第1番 ゆっくりと悩める如く 3 Gymnopédies: No. 1. Lent et douloureux Satie夜のガスパールGaspard de la nuit 亡き王女のためのパヴァーヌ(ピアノ版)Pavane pour une infante défunte (version for piano) Ravel ▲
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| 2018-09-08 22:55
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2018年 09月 01日
2018年9月1日(土) ![]() 交響曲第6番 ロ短調 Op. 54 Symphony No. 6 in B Minor, Op. 54 エストニア祝祭管弦楽団 - Estonian Festival Orchestra パーヴォ・ヤルヴィ - Paavo Järvi (指揮) 録音: 17-19 July 2016, Pärnu Concert Hall, Pärnu, Estonia チャイコフスキーの「悲愴」とこの曲は共に交響曲第6番でロ短調である。「悲愴」は音楽史上初めて、長くゆったりとした終楽章を持ってきており、ショスタコーヴィチの第6番は、音楽史上初めて、長くゆったりとした第1楽章になっている。 第二楽章の出だしなど、まるでチャイコフスキーの「くるみ割り人形」なる旋律を彷彿させる。たしかに全曲を通してチャイコフスキーを意識している。 ▲
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| 2018-09-01 08:03
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2018年 07月 26日
2018年7月26日(木) 北村陽子。井口基成やフランス人ピアニストのイヴ・ナット、ピエール・サンカンに師事したとあるから、時代を感じさせる。 1957年にパリ国立音楽院ピアノ科を卒業、1960年にはジュネーブ国際コンクール最高位に入選、帰国後、桐朋学園で教鞭をとり多くのピアニストたちを育てた。 この4月にも紀尾井ホールでリサイタルを開き、シューベルトの即興曲集やラヴェルを聴かせた。 それにしても、今まで受けつけなかったドビュッシーが・・・ほんとにどうしたことだろう。 北村陽子 - Yoko Kitamura (ピアノ) (録音: 5-7 September 2016, Inagi Municipal i Plaza, Tokyo, Japan)
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| 2018-07-26 03:27
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2018年 07月 04日
2018年7月4日(水) ![]() その「春の声」を演奏会用パラフレーズのピアノ曲としてアルフレート・グリュンフェルト(1852~1924)が作曲し、1905年ウィーンで自作自演した貴重な録音が残っている。 グリュンフェルトは革職人の息子としてプラハに生まれたが、今日が誕生日であった。彼の友人にヨハン・シュトラウスII世がいて、シュトラウスのワルツの演奏会用パラフレーズの公開演奏で名を馳せた人物である。そんなところからこの「春の声」を献呈されている。 NMLでも聴けるが「作曲家による自作自演と歴史的音源集」(Naxos Historical)のなかに収録されている。 ほかにサン=サーンスのアルジェリア組曲より『夕べの夢想』や、グリーグの人びとの生活の情景 Op.19より第2番『婚礼の行列』、あるいはシャミナードのへつらう女 Op.50など・・・楽しい一枚である。 (Walzer-Paraphrase über „Frühlingsstimmen Op. 410“ von Johann Strauß) アルフレート・グリュンフェルト - Alfred Grünfeld (ピアノ) 録音: late 1905, Vienna, Austria ▲
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| 2018-07-04 06:39
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![]() 信州の名峰蓼科山麓の女神湖近くの山荘"tutti”は標高1650mにある。これほどの高地にある別荘は日本でもそう多くはない。だから平地とは気温が10℃も違うのです。 by kirakuossan カレンダー
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