2021年 02月 20日
さるまたと春一番 |
2021年2月20日(土)
今日は風がきつい。
春一番か。
「こがね蟲」を書いた二十代の頃は、大変なお洒落だった金子光晴。それが変われば変わるもので、三十過ぎたころから身なりを構わなくなった。
「さるまたを穿いて、まだ肌に馴染まないうちに洗われちゃ困る。さるまたは少なくとも一週間は穿いていないと、馴染まない」(光晴)
ワカル...
三月
金子光晴
あゝ 三月が近づいた。
金晴の曙の空は、
紅色の樹林は夢見つつ唄ふ。
緑樹の季節が近づいた。
草叢に鈴蘭の揺れる日は近づいた。
空気が花花の賦粉と沒薬(もつやく)に咽び、
五官を持つ者の歌ひ、且つ歎く時は近づいた。
少年の物思の日は近づいた。
あゝ此身の記念の三月、美しい三月。
(詩集「こがね蟲」から)
by kirakuossan
| 2021-02-20 13:23
| 偶感
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