2020年 06月 30日
☆秀盤 -53 気どらない、親しみやすいベートーヴェンのソナタ |
2020年6月30日(火)
1978年、19歳でブリュッセル国際エリザベト王妃コンクールを制し、一躍世に出る。ここで普通のピアニストであればすぐさま世界へ羽ばたこうとするが彼は違った。そこで演奏活動から遠ざかり、数年自己研鑽につとめ、レパートリーを増やすことに専念した。
それが功を奏し、60にも及ぶ協奏曲をこなし、バッハ、モーツァルト、ベートーヴェンからプロコフィエフにいたるまで、自由自在に弾きこなす。このベートーヴェン全集は2013年、50歳半ばに出したものだが、すでに独自の境地に達しているように見える。しかもそれはなにも特別なものではなく、ごく自然な、気どらない、いかにも小気味のよいベートーヴェンである。このことは日本の公演で、乞われればどんな小さなホールにでも出向いて弾くといったそんな親しみやすさが演奏にも現れているのだろう。
ベートーヴェン:
ピアノ・ソナタ全集
BEETHOVEN, L. van: Piano Sonatas (Complete)
アブデル・ラーマン・エル=バシャ
- Abdel Rahman El Bacha (ピアノ)
録音: April 2012 - January 2013, Ferme de Villefavard, France
第18番など、気どらないメヌエットでリラックスし、第4楽章で乗ってきて、思わずニヤリとするのです。
by kirakuossan
| 2020-06-30 08:48
| 注目盤◎
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