2020年 06月 13日
クラシック雑記帳 44 「ホルンの響き」のつづき |
2020年6月13日(土)
父はオーブリー・ブレイン。戦前BBC交響楽団の首席ホルン(1928~1945在籍)
父の演奏は、アドルフ・ブッシュ(ヴァイオリン)、ルドルフ・ゼルキン(ピアノ)と共演のブラームス「ホルン三重奏曲」というレコードに残っている。
そんなことを、レコードのライナーノーツ(上野一郎:文)から知る。
ホルン三重奏曲 変ホ長調 Op. 40
オーブリー・ブレイン - Aubrey Brain (ホルン)
アドルフ・ブッシュ - Adolf Busch (ヴァイオリン)
ルドルフ・ゼルキン - Rudolf Serkin (ピアノ)
録音: 1933
デニス・ブレインの一枚のディスクのなかに一緒に併録されていた。
ライナーノーツをもう少し読み進めていくと・・・
デニス・ブレインは応召、英空軍の中央音楽隊に入隊した。戦時中デニス・ブレインはその音楽隊に所属、各地を慰問して腕を磨いたが、そのときいまなお伝わっている有名な話がある。英空軍中央音楽隊がはるばるアメリカに渡って、演奏旅行をしたことがあった。たまたまそれを聴いたストコフスキーが、すっかりデニス・ブレインに惚れ込み、戦争が終わったらぜひフィラデルフィア管弦楽団の首席ホルンに来てくれと、頼みこんだというのである。この話は、まだ20歳そこそこのデニス・ブレインが、すでに第一級のホルン奏者であったことを物語っている。
戦後、英国ではEMIのレコード録音用としてフィルハーモニア管弦楽団が結成され、デニスに同楽団のホルン首席に指名があり、彼はこれに参加し、同時に、トーマス・ビーチャムが創立したロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団からも要請があり、掛け持ちをするようになる。そんなこともあって、ストコフスキーの願いは叶わなかった。
デニスは大の自動車好きであった。当時、フィルハーモニア管弦楽団によく客演したカーマニアのカラヤンとは話が合い、よくうまが合った。
フィルハーモニア管弦楽団がスイスを訪れたとき、カラヤンはご自慢のメルセデス・ベンツ300SLをデニス・ブレインに貸してくれた。その日こそわが生涯の最良の日だったと、彼はのちのちまでなつかしんだ。その趣味が皮肉にも彼の若い命を奪ったのは、惜しんでもあまりある悲しいことである。
そういえば、このモーツァルトのホルン協奏曲のレコード、ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮フィルハーモニア管弦楽団との共演である。
by kirakuossan
| 2020-06-13 15:58
| クラシック雑記帳
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