2018年 12月 22日
珍盤 ―3 ピアノロールの信じられない音 |
2018年12月22日(土)
今日はベネズエラの女性作曲家でピアニスト、マリア・テレサ・カレーニョ・ガルシア・デ・セナ(María Teresa Carreño García de Sena, 1853~1917)の生誕日ということだが、19世紀生まれの女流ピアニストといえば、エリー・ナイ(1882~1968)やマイラ・ヘス(1890~1965)、あるいはクララ・ハスキル(1895~1960)の名が出るが、さらに古くといえばフランスの著名な作曲家でもあったセシル・シャミナード(1857~1944)を思い浮かべる。テレサ・カレーニョはその彼女と同世代の音楽家であった。
スメタナ/リスト/シューベルト/ショパン:ピアノ作品集(カレーニョ)
13歳の時にホワイトハウスでリンカーンに御前演奏を披露したというぐらいだから、時代を感じさせ、のちにアントン・ルビンシテインの門下になり、ヨーロッパ各地で演奏活動を展開した。1890年代、40歳代で名声を確立、男性遍歴も華麗で20世紀初頭には2度の世界的な演奏旅行を行なったとある。
そんな凄いピアニストがいたというのも驚きだが、さらに驚くのは彼女の演奏が今も聴けるということである。1905年4月に、自動再生ピアノ「ウェルテ・ミニョン」を通じてベートーヴェンの「ワルトシュタイン」やショパンの夜想曲、リストのピアノ曲、さらには自作の曲まで20曲近くピアノロールを録音した。
いわゆる自動ピアノと称するものだが、当初のものは音の強弱がうまく表現できないとされ、話題性だけにとどまった。しかし、1904年のセントルイス万国博覧会に改良されたものが出品され、「ウェルテ・ミニョン」という自動ピアノが発売された。
NMLでこの演奏が聴けるが、ただただ驚くばかりの澄んだ音質で、110年以上前の演奏が蘇る。聴いていても信じられないくらいだが・・・
テレーサ・カレーニョ - Teresa Carreno (ピアノ)
(ヴェルデ=ミニョン・ピアノ・ロール・レコーディング)
by kirakuossan
| 2018-12-22 07:30
| 注目盤◎
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