ホンマ!気楽おっさんの蓼科偶感

"音楽の絵"を描くイタリア人ピアニスト

2018年5月17日(木)

3年に一度、イングランド北部のリーズで開催される国際的なピアノコンクールにリーズ国際ピアノコンクールというのがある。1963年に地元のピアニスト、ファニー・ウォーターマンにより創設され、長時間かけるのと多くの課題を課せ、過酷なコンサートとして知られる。過去に、マイケル・ロール(1963年)、ラファエル・オロスコ(1966年)、ラドゥ・ルプー(1969年)、マレイ・ペライア(1972年)、アルトゥール・ピサロ(1990年)などが優勝を飾り、日本人では1975年に内田光子が2位、1987年には小川典子が3位に、そして2003年には大崎結真が3位に入った。今年は第19回目にあたり、4月3日にファーストラウンドがベルリンのヨアキム・ホールではじまり、シンガポール、ニューヨークと舞台を移したあと、9月6日から再開されるリーズラウンド、リーズ大学での第2ラウンドと準決勝、そしてリーズタウンホールでの最終ファイナルで優勝者が9月15日に決まるというロングランのコンクールである。アート・ディレクターにポール・ルイスが就き、ランランやマレイ・ペライアがスタッフをつとめるが、ただ、ウォーターマンが高齢になり引退することもあって、これを機に今年開催される大会から大幅な改良がなされるという。

d0170835_16510541.jpgこのコンクールで2012年の大会で優勝したピアニストにイタリア人のフェデリコ・コッリがいる。日本ではまだそう知られていないが、2013年に来日公演をはたし好評を博している。音の強弱を仔細に表現し、輪郭のはっきりとした物語り風のピアノを聴かせる、といった印象だ。現在Chandosレーベル専属のアーティストとして活躍するが、「知的で想像力豊かな解釈、世界が認める完璧なテクニック」といった評価が下されている。彼の弾く「展覧会の絵」がいい。
リーズコンクールでのセミファイナルでも、前半はモーツァルトのパイジェッロの歌劇「哲学者気取り」による変奏曲、ショパンのスケルツォ第3番、スクリャービンのソナタ第10番などを弾き、そして後半にはムソルグスキーの「展覧会の絵」を披露した。"音楽の絵"を描くことをモットーにする彼にとって、この「展覧会の絵」は最も表現に適した作品と言えよう。ただ、この楽曲の難しさは一歩間違えば退屈な凡演に終わってしまう。ただある男が美術館にやってきて、次から次へと絵画を鑑賞する、そこで感じた印象を綴ったというだけに終わってしまう。でも、この作品を通して人生そのものを語り、様々な感情の変遷を経て、最終的に平和で穏やかな地に到達する、それを「展覧会の絵」を通して表現する。といったことは誰にでもできる芸当というわけにはいかない。コッリのピアノはただ力強いだけでなく、輪郭のはっきりとしたなかにも、人生そのもののドラマも浮き彫りにさせる。まだ30歳のピアニストである。

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d0170835_16554608.jpgムソルグスキー:
フェデリコ・コッリ - Federico Colli (ピアノ)
録音: 25-27 June 2013, The Music Room, Champs Hill, West Sussex, United Kingdom

by kirakuossan | 2018-05-17 13:53 | クラシック | Trackback
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信州の名峰蓼科山麓の女神湖近くの山荘"tutti”は標高1650mにある。これほどの高地にある別荘は日本でもそう多くはない。だから平地とは気温が10℃も違うのです。


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