2016年6月20日(月)
1970年代前半に
ラファエル・クーベリックが完成させた
ベートーヴェン交響曲全集は全9曲をそれぞれ別々のオーケストラで録音したユニークなものだった。レコード8枚組になった豪華な化粧箱入りの全集、当時高価なもので買うときどうしようか躊躇したような記憶があるが、思い切って買っておいてよかった。今こうして蘇るのだから。。。










3つの大陸の9つの偉大なオーケストラが奏でるベートーヴェン。このアイデアはクーベリック自らが提案した。彼のオーケストラに対する優れた経験によって、そして芸術的な意向とインスピレーションによってこの全集は生まれた。まるで夢のような企画であった。
交響曲第1番ハ長調 Op.21 ロンドン交響楽団(74年6月)
交響曲第2番ニ長調 Op.36 アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団(74年2月)
交響曲第3番変ホ長調「英雄」 Op.55 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(71年10月)
交響曲第4番変ロ長調 Op.60 イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団(75年9月)
交響曲第5番ハ短調「運命」Op.67 ボストン交響楽団(73年11月)
交響曲第6番ヘ長調「田園」 Op.68 パリ管弦楽団(73年1月)
交響曲第7番イ長調 Op.92 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(74年9月)
交響曲第8番ヘ長調 Op.93 クリーヴランド管弦楽団(75年3月)
交響曲第9番ニ短調「合唱付き」Op.125 バイエルン放送交響楽団(75年1月)
指揮者:ラファエル・クーベリック
この組み合わせをみてパリ管の「田園」など絶妙に考えられた納得のいくものであるが、ただちょっとこんな考えもある。コンセルトヘボウが2番では少し物足りないのではないかというのが率直な印象で、意気に感じて「英雄」を演奏するベルリン・フィルとちがって、心なしか演奏にも元気がないような気がする。コンセルトヘボウとボストン、もしくはイスラエルとの入れ替えがあってもよかったのではないか。また自身が長く首席を勤めたバイエルン放送交響楽団を9番に据えたのは理解できるにしても、5番は音楽監督に就いたこともあるシカゴ交響楽団でもよかった。それに関係が薄かったのかもしれないが、シュターツカペレ・ドレスデンは是非とも入れて欲しかったというのが偽らざる心境である。ドレスデンが入れば、7番を任せて、ウィーン・フィルが5番に回るという手もあった。まあ、いずれにしてもあれやこれやと無責任に考えるだけでも楽しい企画である。
選に洩れたシュターツカペレ・ドレスデンのためにこんな企画をしてみた。
「60~70年代9人の指揮者によるドレスデンのベートーヴェン交響曲全集」交響曲第1番ハ長調 Op.21 コリン・デイヴィス
交響曲第2番ニ長調 Op.36 ラファエル・クーベリック
交響曲第3番変ホ長調「英雄」 Op.55 ヘルベルト・フォン・カラヤン
交響曲第4番変ロ長調 Op.60 エフゲニー・ムラヴィンスキー
交響曲第5番ハ短調「運命」Op.67 カルロス・クライバー
交響曲第6番ヘ長調「田園」 Op.68 カール・ベーム
交響曲第7番イ長調 Op.92 オットー・クレンペラー
交響曲第8番ヘ長調 Op.93 レナード・バーンスタイン
交響曲第9番ニ短調「合唱付き」Op.125 ハンス・シュミット=イッセルシュテット
管弦楽:シュターツカペレ・ドレスデン
意表をついてイッセルシュテットの第九なんて。。。憎いね~、でもこれウィーン・フィルとの演奏だけど隠れた名盤である。とくに第四楽章の冒頭から新しい動機がでてくるAllegro assaiにかけての 美しさといったらまさに絶品である。そして圧巻のフィナーレ。。。
交響曲第9番 ニ短調 「合唱付き」 Op. 125ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ハンス・シュミット=イッセルシュテット(指揮)
ジョーン・サザーランド(ソプラノ)
マリリン・ホーン(メゾ・ソプラノ)
ジェイムズ・キング(テノール)
マルッティ・タルヴェラ(バス)
ウィーン国立歌劇場合唱団
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