2017年 10月 30日
作曲家大澤壽人に再び光が。 |
2017年10月30日(月)
NMLで代表作の一つ、1938年に作曲されたピアノ協奏曲の「神風協奏曲」を聴いているが、完成度が高いもので、斬新さも持ち合わせ、聴くものを退屈させずに惹きつけるものがある。第二楽章のアンダンテがまたなんと美しいことよ。残念ながら、コントラバスやサクソフォンの曲は配信されていないので聴くことはできないが、「神風協奏曲」一曲でもその一端がうかがえる。”神風”というのがまたいかしてる。
「因みに、”神風”は特攻隊ではなく、朝日新聞が発注し三菱航空機がつくった純国産の2人乗り機。当時東京―ロンドン間の最短飛行時間記録をたてた」とNMLのレヴュアーで俵孝太郎氏が紹介している。
ボストン交響楽団を日本人として初めて指揮した作曲家大澤壽人のことが、先週27日の日経新聞夕刊の「カルチャー」で紹介されたが、その記事を松井くんがメールで送ってくれた。
神戸生まれの作曲家、大澤壽人(1906~53年)にスポットライトが当たっている。約600ページ立ての評伝が出版され、特集演奏会が東京に次いで阪神間でも開かれるなど、関連事業が目白押し。早すぎる死に、再評価の機運が追いついてきた。
大澤の音楽は戦前の作品にしてはあか抜けたモダンさが特徴だ。コントラバスやサクソフォンなど、日本人作曲家が普通は手がけない楽器に光を当てた協奏曲を作曲していることにも一端をうかがえる。それは大澤が東京音楽学校(現在の東京芸術大学)といった音楽の専門教育から距離を置いて育った経歴と無関係ではない。関西学院を卒業後、音楽修業で留学先に選んだのは米国とフランス。1930年から34年にかけてボストンに留学、パリを経て36年帰国した。
「戦前の日本では西洋音楽といえばドイツ・オーストリア系が主流。その一辺倒に染まらなかったのが先駆的」。こう語るのは評伝『天才作曲家 大澤壽人』をみすず書房から出版した生島美紀子(神戸女学院大学非常勤講師)
by kirakuossan
| 2017-10-30 18:08
| クラシック
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