2017年 08月 31日
最終回はマーラー9番 |
2017年8月31日(木)
松井くんから例の日経夕刊の「クラシック名演・名盤」(福島章恭・文)記事のメールが入ってきた。今回で最終回ということだが、やはりブルックナーの次は最後にマーラーだ。
ジョン・バルビローリ (指揮)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
マーラーの交響曲第9番を中心に語られていく。ジョン・バルビローリがベルリン・フィルの団員たちから乞われて肝いりで収録された演奏がもっともよく知られた名演奏だが、福島氏もごたぶんにもれずマーラーはこの演奏から入ったようだ。ただ最近では心の変化が生じていて、「マーラーの心の葛藤を共有しながらも、表に出さずじっと耐える演奏により魅かれるようになって来た」と語る。
そもそも思うに、マーラーは第1番のあのセンセーショナルな音楽に始まり、清楚な4番、5番でひとつの頂点を迎え、6番から混迷の音楽へと向かう。7番でさらに深遠な部分に立ち入り、最後は9番で「別れ」や「死」を連想させる暗い音楽でしめる。
福島氏は苦手なマーラーのシンフォニーにあってこの9番がお気に入りとあるが、ボクはむしろこの9番が最も苦手な曲である。いつも思い直して聴こうとするがやはり最後までよくわからない。7番の「夜の歌」が一番理解しにくいものと思ってきたが、今ではこの9番である。とにかくこういった類の暗さは苦手だ。
そこでまず紹介されるのはカレル・アンチェル指揮チェコ・フィルハーモニー管弦楽団盤、1966年の収録である。彼はナチスに妻子を奪われる悲惨な体験をするが、これはさすがアンチェルといった演奏だが、そういった自らの体験を思い起こさせるのかさすがにその暗さは増すのである。
カレル・アンチェル - Karel Ančerl (指揮)チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
録音: 15 April 1966, The Dvořák Hall of Rudolfinum, Prague, Czech Republic
ほかにクーベリックの演奏が語られ、クレンペラーも出て来るが、やはりクレンペラーのは、別の凄みがある。
5回のシリーズだった「クラシック名演・名盤」、単なる上辺だけの解説文と違って福島氏自らの体験や思いが凝縮されて愉しい読み物だった。
毎度記事を送ってくれた松井くんに感謝。
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by kirakuossan
| 2017-08-31 06:29
| クラシック
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