2017年 04月 06日
世界のオーケストラ/第28回 <ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団> 金管の響きが冴える。 |
2017年4月6日(木)
ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
ベートーヴェンの時代から戦前まで存在したロイヤル・フィルハーモニー(ロンドン・フィルの前身が中心)とは別団体。1946年に英国の巨匠トーマス・ビーチャムによって創設されたオーケストラということで、印象からしても個人的な色彩が先に立ち、その存在を軽んじる傾向にあったが、どうしてどうしてこのオケの響きに驚いたのである。それは例のリーダーズ・ダイジェスト社が1961年に出したルネ・レイボヴィッツ 指揮のベートーヴェン交響曲全集を聴いたからだ。ベートーヴェン自身のオリジナルなメトロノーム記号に従った演奏ということで、普段聴きなれたものより速いが、その速さによって演奏が破たんするどころか、軽快に、しかもダイナミックな響きを聴かせる。とくにここでの金管楽器の楽員のテクニックは相当のもので、完全に聴き惚れた。正直、今まで二流オケの思いを持っていたが、完全に覆されたのである。それもそのはずでこの顔ぶれを見れば、成るほどと納得するものである。ビーチャムの後、ケンペが基礎を鍛えたし、ドラティに続いてヴェラーまで就いていたのだ。
歴代首席指揮者
1946~1961 トーマス・ビーチャム
1961~1975 ルドルフ・ケンペ(1970年から終身指揮者)
1975~1978 アンタル・ドラティ
1985~1992 ヴァルター・ヴェラー
1985~1992 アンドレ・プレヴィン
1987~1994 ウラディーミル・アシュケナージ
1992~1996 ユーリ・テミルカーノフ
1996~2009 ダニエレ・ガッティ
2009~ シャルル・デュトワ
ビーチャム個人が「ロイヤル」の称号を女王エリザベス2世から正式に許可された経緯もあって、「女王陛下のオーケストラ」と呼ばれることもある。ビーチャムはイギリス最高の音楽水準を意図し結成、各楽団から優秀な人材を引き抜いた。
金管の素晴らしさを挙げたが、これもなるほどといった話で、実はホルンの名手デニス・ブレインも戦後からの一時期加わっており、1954年まで在籍していた。だからロイヤル・フィルは管が伝統的に高い水準なのかも知れない。
ただ、ビーチャムの死後、その遺志通り、ルドルフ・ケンペに引き継がれたが、「ロイヤル」の名称継承問題などのいざこざで、ケンペが去り、また呼び戻すというゴタゴタがあった。そのためケンペとの録音は比較的少なかった。
ロンドン交響楽団、フィルハーモニー管、ロンドン・フィルなど安定した経営基盤と違い、常に揺り動いて来たロイヤル・フィルだが、新たな立て直しに、ダニエレ・ガッティが加わり、そのあとをシャルル・デュトワが引き継ぎ、今、ロンドンで最もやる気のある楽団と言われるまでに復活を遂げて来た。
ここでは、デニス・ブレインの加わっていた頃の演奏、隠れ名盤と噂されるルネ・レイボヴィッツとのベートーヴェン、そしてケンペとの演奏を挙げる。
ワーグナー:
歌劇「タンホイザー」 - 第3幕 前奏曲
ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 - Royal Philharmonic Orchestra
トーマス・ビーチャム - Thomas Beecham (指揮)
録音: 5 and 8 February 1947, Abbey Road, London, United Kingdom
ベートーヴェン:
交響曲第3番 変ホ長調 「英雄」 Op. 55
ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 - Royal Philharmonic Orchestra
ルネ・レイボヴィッツ - Rene Leibowitz (指揮)
録音: April - June 1961, London, England, United Kingdom
ブルッフ:
スコットランド幻想曲 Op. 46
チョン・キョンファ - Kyung-Wha Chung (ヴァイオリン)
ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 - Royal Philharmonic Orchestra
ルドルフ・ケンペ - Rudolf Kempe (指揮)
録音: May 1972, Kingsway Hall, London, United Kingdom
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ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
ベートーヴェンの時代から戦前まで存在したロイヤル・フィルハーモニー(ロンドン・フィルの前身が中心)とは別団体。1946年に英国の巨匠トーマス・ビーチャムによって創設されたオーケストラということで、印象からしても個人的な色彩が先に立ち、その存在を軽んじる傾向にあったが、どうしてどうしてこのオケの響きに驚いたのである。それは例のリーダーズ・ダイジェスト社が1961年に出したルネ・レイボヴィッツ 指揮のベートーヴェン交響曲全集を聴いたからだ。ベートーヴェン自身のオリジナルなメトロノーム記号に従った演奏ということで、普段聴きなれたものより速いが、その速さによって演奏が破たんするどころか、軽快に、しかもダイナミックな響きを聴かせる。とくにここでの金管楽器の楽員のテクニックは相当のもので、完全に聴き惚れた。正直、今まで二流オケの思いを持っていたが、完全に覆されたのである。それもそのはずでこの顔ぶれを見れば、成るほどと納得するものである。ビーチャムの後、ケンペが基礎を鍛えたし、ドラティに続いてヴェラーまで就いていたのだ。
歴代首席指揮者
1946~1961 トーマス・ビーチャム
1961~1975 ルドルフ・ケンペ(1970年から終身指揮者)
1975~1978 アンタル・ドラティ
1985~1992 ヴァルター・ヴェラー
1985~1992 アンドレ・プレヴィン
1987~1994 ウラディーミル・アシュケナージ
1992~1996 ユーリ・テミルカーノフ
1996~2009 ダニエレ・ガッティ
2009~ シャルル・デュトワ
ビーチャム個人が「ロイヤル」の称号を女王エリザベス2世から正式に許可された経緯もあって、「女王陛下のオーケストラ」と呼ばれることもある。ビーチャムはイギリス最高の音楽水準を意図し結成、各楽団から優秀な人材を引き抜いた。
金管の素晴らしさを挙げたが、これもなるほどといった話で、実はホルンの名手デニス・ブレインも戦後からの一時期加わっており、1954年まで在籍していた。だからロイヤル・フィルは管が伝統的に高い水準なのかも知れない。
ただ、ビーチャムの死後、その遺志通り、ルドルフ・ケンペに引き継がれたが、「ロイヤル」の名称継承問題などのいざこざで、ケンペが去り、また呼び戻すというゴタゴタがあった。そのためケンペとの録音は比較的少なかった。
ロンドン交響楽団、フィルハーモニー管、ロンドン・フィルなど安定した経営基盤と違い、常に揺り動いて来たロイヤル・フィルだが、新たな立て直しに、ダニエレ・ガッティが加わり、そのあとをシャルル・デュトワが引き継ぎ、今、ロンドンで最もやる気のある楽団と言われるまでに復活を遂げて来た。
ここでは、デニス・ブレインの加わっていた頃の演奏、隠れ名盤と噂されるルネ・レイボヴィッツとのベートーヴェン、そしてケンペとの演奏を挙げる。
ワーグナー:
歌劇「タンホイザー」 - 第3幕 前奏曲
ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 - Royal Philharmonic Orchestra
トーマス・ビーチャム - Thomas Beecham (指揮)
録音: 5 and 8 February 1947, Abbey Road, London, United Kingdom
ベートーヴェン:
交響曲第3番 変ホ長調 「英雄」 Op. 55
ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 - Royal Philharmonic Orchestra
ルネ・レイボヴィッツ - Rene Leibowitz (指揮)
録音: April - June 1961, London, England, United Kingdom
ブルッフ:
スコットランド幻想曲 Op. 46
チョン・キョンファ - Kyung-Wha Chung (ヴァイオリン)
ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 - Royal Philharmonic Orchestra
ルドルフ・ケンペ - Rudolf Kempe (指揮)
録音: May 1972, Kingsway Hall, London, United Kingdom
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by kirakuossan
| 2017-04-06 07:59
| 世界のオーケストラ
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