2017年 04月 04日
いつまでも精神そのものが青春である。 |
2017年4月4日(火)
旅途
旅にいづることにより
ひとみあかるくひらかれ
手に青き洋紙は提げられたり
ふるさとにあれど
安きを得ず
ながるるごとく旅に出づ
麦は雪のなかより萌え出で
そのみどりは磨げるがごとし
窓よりうれしげにさしのべし
わが魚のごとき手に雪はしたしや
(一九一三、一、京都にて)
「朱樂」大正2年2月号より。
『抒情小曲集』に含まれた一詩だが、犀星の詩も実に良い。
どういうか、詩心が常におだやかで、たおやかななかに淡い色彩を感じさせる。そしていつまでも精神そのものが青春である。
犀星は抒情詩の信条として、
・詩より詩作の瞬間を愛す。
・祈れば樹の上の果実かつと鳴りて落つ。祈れば青きもの紅くなり形無きもの顕はる。
・瞳と瞳とを合掌す。
・山は静止す。そのさまざまなるものに富み胎めるかを見よ。真に生けるものの静けさを聴けよ。
・爾のわれの接吻をうける時つねにつねに爾の輝くを見たり。
と語った。
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旅途
旅にいづることにより
ひとみあかるくひらかれ
手に青き洋紙は提げられたり
ふるさとにあれど
安きを得ず
ながるるごとく旅に出づ
麦は雪のなかより萌え出で
そのみどりは磨げるがごとし
窓よりうれしげにさしのべし
わが魚のごとき手に雪はしたしや
(一九一三、一、京都にて)
「朱樂」大正2年2月号より。
『抒情小曲集』に含まれた一詩だが、犀星の詩も実に良い。
どういうか、詩心が常におだやかで、たおやかななかに淡い色彩を感じさせる。そしていつまでも精神そのものが青春である。
犀星は抒情詩の信条として、
・詩より詩作の瞬間を愛す。
・祈れば樹の上の果実かつと鳴りて落つ。祈れば青きもの紅くなり形無きもの顕はる。
・瞳と瞳とを合掌す。
・山は静止す。そのさまざまなるものに富み胎めるかを見よ。真に生けるものの静けさを聴けよ。
・爾のわれの接吻をうける時つねにつねに爾の輝くを見たり。
と語った。
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by kirakuossan
| 2017-04-04 10:46
| 文芸
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