2016年 03月 24日
北イタリアの香り高き音楽 |
2016年3月24日(木)
ヴェルディ:
歌劇「ナブッコ」序曲
ニノ・ロータ:
組曲「道」
レスピーギ:
交響的印象「教会のステンドグラス」
来る5月15(日)の東京フィルハーモニー交響楽団第880回オーチャード定期演奏会は首席客演指揮者のアンドレア・バッティストーニが指揮をする演奏会。その演目が珍しくもあり、魅力にあふれたものばかりだ。1987年イタリアのヴェローナ生まれのバッティストーニが採りあげたのはイタリアの作曲家の作品ばかり。30歳手前の若さにして、すでにオペラの経験豊富な才能高き若者が取り組む意欲的なプログラムだ。
レスピーギはボローニャ出身(エミリア=ロマーニャ州)、バッティストーニのヴェローナ(ヴェネト州)とは南隣りの州になる。またニノ・ロータはミラノ出身(ロンバルディア州)でヴェローナの西隣の州にあたり、いずれも共通した北イタリアの香り高き音楽が楽しめる。
レスピーギの交響的印象「教会のステンドグラス」は表題からして惹かれるが、静粛な中にも煌びやかさがあってたいへん魅惑的な曲である。この曲はレスピーギが1919年に作曲したピアノ曲「グレゴリオ聖歌による3つの前奏曲」を管弦楽編曲したうえ、終曲として第4楽章を加えたもので1925年に作曲された。日本ではブラスバンドの曲として最近知られるようになったが、ヨーロッパでは以前より演奏会で採りあげられる作品である。原曲のピアノ曲がこれまた素晴らしい。
ニノ・ロータの組曲「道」は、"La Strada"フェデリコ・フェリーニ監督、ジュリエッタ・マシーナとアンソニー・クインが主演したイタリア映画「道」でよく知られる。あのテーマ音楽、物悲しい音色は美しくも悲しくもある。映画のシーンが鮮明に思い出される。粗野で暴力を振るうザンパノと、頭が弱いが心の素直なジェルソミーナは一緒に旅に出る。やがて旅芸人としても役に立たないとみたザンパノはジェルソミーナを見捨て、居眠りしている間に彼女を置き去りにして去ってゆく。数年後、ジェルソミーナは海岸を放浪していたが、誰にも省みられることなく死んでいったことを知り、ザンパノは絶望的な孤独感に打ちのめされる。原曲は30分近い組曲で、美しいメロディが散りばめられたこれも魅力的な楽曲である。
これらの曲をバッティストーニのタクトで聴けば、最高の音楽に仕立てあがるのは想像に難くない。5月に孫娘のピアノ発表会をまた聴きに行くために大磯入りするが、この演奏会はその1週間先。すれ違いで今回は聴きにいけそうにはない。まことに残念である。
レスピーギ:
交響的印象「教会のステンド・グラス」 P. 150
ローマ交響楽団 - Rome Symphony Orchestra
フランチェスコ・ラ・ヴェッキア - Francesco La Vecchia (指揮)
【原曲】
レスピーギ:
グレゴリオ風の旋律による3つの前奏曲 P. 131
コンスタンティン・シチェルバコフ - Konstantin Scherbakov (ピアノ)
ロータ:
組曲「道」
モントリオール・メトロポリタン管弦楽団 - Orchestre Metropolitain du Grand Montreal
ヤニック・ネゼ=セガン - Yannick Nezet-Seguin (指揮)
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ヴェルディ:
歌劇「ナブッコ」序曲
ニノ・ロータ:
組曲「道」
レスピーギ:
交響的印象「教会のステンドグラス」
来る5月15(日)の東京フィルハーモニー交響楽団第880回オーチャード定期演奏会は首席客演指揮者のアンドレア・バッティストーニが指揮をする演奏会。その演目が珍しくもあり、魅力にあふれたものばかりだ。1987年イタリアのヴェローナ生まれのバッティストーニが採りあげたのはイタリアの作曲家の作品ばかり。30歳手前の若さにして、すでにオペラの経験豊富な才能高き若者が取り組む意欲的なプログラムだ。
レスピーギはボローニャ出身(エミリア=ロマーニャ州)、バッティストーニのヴェローナ(ヴェネト州)とは南隣りの州になる。またニノ・ロータはミラノ出身(ロンバルディア州)でヴェローナの西隣の州にあたり、いずれも共通した北イタリアの香り高き音楽が楽しめる。
レスピーギの交響的印象「教会のステンドグラス」は表題からして惹かれるが、静粛な中にも煌びやかさがあってたいへん魅惑的な曲である。この曲はレスピーギが1919年に作曲したピアノ曲「グレゴリオ聖歌による3つの前奏曲」を管弦楽編曲したうえ、終曲として第4楽章を加えたもので1925年に作曲された。日本ではブラスバンドの曲として最近知られるようになったが、ヨーロッパでは以前より演奏会で採りあげられる作品である。原曲のピアノ曲がこれまた素晴らしい。
ニノ・ロータの組曲「道」は、"La Strada"フェデリコ・フェリーニ監督、ジュリエッタ・マシーナとアンソニー・クインが主演したイタリア映画「道」でよく知られる。あのテーマ音楽、物悲しい音色は美しくも悲しくもある。映画のシーンが鮮明に思い出される。粗野で暴力を振るうザンパノと、頭が弱いが心の素直なジェルソミーナは一緒に旅に出る。やがて旅芸人としても役に立たないとみたザンパノはジェルソミーナを見捨て、居眠りしている間に彼女を置き去りにして去ってゆく。数年後、ジェルソミーナは海岸を放浪していたが、誰にも省みられることなく死んでいったことを知り、ザンパノは絶望的な孤独感に打ちのめされる。原曲は30分近い組曲で、美しいメロディが散りばめられたこれも魅力的な楽曲である。
これらの曲をバッティストーニのタクトで聴けば、最高の音楽に仕立てあがるのは想像に難くない。5月に孫娘のピアノ発表会をまた聴きに行くために大磯入りするが、この演奏会はその1週間先。すれ違いで今回は聴きにいけそうにはない。まことに残念である。
レスピーギ:
交響的印象「教会のステンド・グラス」 P. 150
ローマ交響楽団 - Rome Symphony Orchestra
フランチェスコ・ラ・ヴェッキア - Francesco La Vecchia (指揮)
【原曲】
レスピーギ:
グレゴリオ風の旋律による3つの前奏曲 P. 131
コンスタンティン・シチェルバコフ - Konstantin Scherbakov (ピアノ)
ロータ:
組曲「道」
モントリオール・メトロポリタン管弦楽団 - Orchestre Metropolitain du Grand Montreal
ヤニック・ネゼ=セガン - Yannick Nezet-Seguin (指揮)
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by kirakuossan
| 2016-03-24 08:40
| クラシック
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