2015年 11月 02日
白秋の句 |
2015年11月2日(月)
尾崎紅葉の俳句を知り、昨日大阪に立ち寄り本屋を物色したが紅葉の俳句集なる本はどこにもなかった。おかしなものでないとなればさらに読みたくなるのは、これ人情か。
ところでこの人も俳句に親しんだ。
ちょっと季節外れだが・・・「初夏」のころ。
紫陽花に馬が顔出す馬屋の口
紫蘭咲いていささかは岩もあはれなり
また関東大震災を詠んだ句で
日は閑に震後の芙蓉なほ紅し
どれも色彩を大事にした人らしい句である。
さらにこんなのもある。
初夏だ初夏だ郵便夫にビールのませた
これなどは自由律俳句の典型なのだろうが、5・5・6・7?
晩秋の句に、
榧の木に榧の実のつくさびしさよ
この句は好きだ。重複がイイ。
榧は楕円形の実がなり一年後の秋に紫褐色に熟して裂ける。
詩人北原白秋(1885~1942)。俳句を作りはじめたのは晩年で、詩の創作よりいそしんだ。「竹林清興」 句集などがある。
今日は白秋忌。
でもやはり白秋は詩がよい。一番好きな詩だ。
落 葉 松
からまつの林を過ぎて、
からまつをしみじみと見き。
からまつはさびしかりけり。
たびゆくはさびしかりけり。
からまつの林を出でて、
からまつの林に入りぬ。
からまつの林に入りて、
また細く道はつづけり。
からまつの林の奥も
わが通る道はありけり。
霧雨のかかる道なり。
山風のかよふ道なり。
からまつの林の道は
われのみか、ひともかよひぬ。
ほそぼそと通ふ道なり。
さびさびといそぐ道なり。
からまつの林を過ぎて、
ゆゑしらず歩みひそめつ。
からまつはさびしかりけり、
からまつとささやきにけり。
からまつの林を出でて、
浅間嶺にけぶり立つ見つ。
浅間嶺にけぶり立つ見つ。
からまつのまたそのうへに。
からまつの林の雨は
さびしけどいよよしづけし。
かんこ鳥鳴けるのみなる。
からまつの濡るるのみなる。
世の中よ、あはれなりけり。
常なけどうれしかりけり。
山川に山がはの音、
からまつにからまつのかぜ。
尾崎紅葉の俳句を知り、昨日大阪に立ち寄り本屋を物色したが紅葉の俳句集なる本はどこにもなかった。おかしなものでないとなればさらに読みたくなるのは、これ人情か。
ところでこの人も俳句に親しんだ。
ちょっと季節外れだが・・・「初夏」のころ。
紫陽花に馬が顔出す馬屋の口
紫蘭咲いていささかは岩もあはれなり
また関東大震災を詠んだ句で
日は閑に震後の芙蓉なほ紅し
どれも色彩を大事にした人らしい句である。
さらにこんなのもある。
初夏だ初夏だ郵便夫にビールのませた
これなどは自由律俳句の典型なのだろうが、5・5・6・7?
晩秋の句に、
榧の木に榧の実のつくさびしさよ
この句は好きだ。重複がイイ。
榧は楕円形の実がなり一年後の秋に紫褐色に熟して裂ける。
詩人北原白秋(1885~1942)。俳句を作りはじめたのは晩年で、詩の創作よりいそしんだ。「竹林清興」 句集などがある。
今日は白秋忌。
でもやはり白秋は詩がよい。一番好きな詩だ。
落 葉 松
からまつの林を過ぎて、
からまつをしみじみと見き。
からまつはさびしかりけり。
たびゆくはさびしかりけり。
からまつの林を出でて、
からまつの林に入りぬ。
からまつの林に入りて、
また細く道はつづけり。
からまつの林の奥も
わが通る道はありけり。
霧雨のかかる道なり。
山風のかよふ道なり。
からまつの林の道は
われのみか、ひともかよひぬ。
ほそぼそと通ふ道なり。
さびさびといそぐ道なり。
からまつの林を過ぎて、
ゆゑしらず歩みひそめつ。
からまつはさびしかりけり、
からまつとささやきにけり。
からまつの林を出でて、
浅間嶺にけぶり立つ見つ。
浅間嶺にけぶり立つ見つ。
からまつのまたそのうへに。
からまつの林の雨は
さびしけどいよよしづけし。
かんこ鳥鳴けるのみなる。
からまつの濡るるのみなる。
世の中よ、あはれなりけり。
常なけどうれしかりけり。
山川に山がはの音、
からまつにからまつのかぜ。
by kirakuossan
| 2015-11-02 08:40
| 文芸
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