2014年 11月 01日
期待を裏切らなかったイスラエル・フィルの弦 |
2014年11月1日(土)
イスラエル・フィルの弦はやはり凄かった。よく言う絹を紡ぐような柔らかさというそんな軟いものではない。もっと存在感を示す、力強くて、真っ向勝負の太さをともなった奥深い響きである。それは無駄なものをいっさい加えない、有りのままの自分たちの持つ音そのものだ。それは大袈裟にいえば、同じ民族同志の、同じ血が呼び起こすハーモニーと言えるのかも知れない。女性ヴァイオリニスト四人による息の合ったヴィヴァルデイで冒頭から圧倒され、最上のモーツァルトの調べに酔い、あの壮大なチャイコフスキーにおいて、完全に打ちのめされた。
1936年に生れた指揮者ズービン・メータと同じ年にこのオーケストラも産声を挙げた。1961年以来50余年に及ぶ二人の間柄は深い絆として結ばれ、そこから醸し出される音楽はまさに互いの信頼関係から成り立っている。メータの人柄の良さが楽員の気持をリラックスさせ、最上の音色を引きださせるのであろう。メータの若き時代の持つイメージとは少し違ったが、今宵ようやく彼の指揮姿を前にして一種の不思議な安堵感を呼び起こしたものである。ようやく彼に出会うことができたと・・・。
3つのプログラム、すべて最高の演奏であった。こうしてすべてが満足いく演奏会はそう多くあるものではない。イスラエル・フィルの弦は期待を裏切らなかった。
ヴィヴァルディ:合奏協奏曲集 「調和の霊感」op.3より 第10番 RV580
モーツァルト:交響曲 第36番 ハ長調 「リンツ」 K.425
チャイコフスキー:交響曲 第5番 ホ短調 op.64
[指揮]ズービン・メータ
イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団
(19:00 開演 ザ・シンフォニーホール)
アンコールがありきたりでなく、珍しく、愉しい曲を2曲も披露してくれた。プロコフィエフの「ロメオとジュリエット」組曲第1番から”タイボルトの死”とストラヴィンスキーのサーカス・ポルカ。
アンコールの選曲ひとつをとってみてもメータ・イスラエル・フィルの聴衆に対しての誠実さが感じ取れた。
拍手はいつまでもいつまでも終わることがなく続き、楽員がすべて退いた後、再びメータがひとりでステージに現われて、さらに盛大な喝采を受けた。
庵原氏「4年前もメータがステージに出て来てくれましたよ。その時はマーラー1番を聴きましたが、それもよかったですよ」
「そら、そうだろうなあ・・・」
チャンスがあれば次回は是非マーラーを聴いてみたいと思いながらホールを後にした。
追記:
2014年11月2日(日)
深い絆と濃い音楽~メータとイスラエル・フィル
もちろん独特のモーツァルトは魅力的だ。もっとさわやかさが求められるヴィヴァルディだって、絶対ほかでは聴けない演奏が聴けるはず。でも、今回の一番の楽しみは、その後に待っている。かつてサン=サーンスやリヒャルト・シュトラウスの曲で示した、ズービン・メータとイスラエル・フィルハーモニー管弦楽団の濃厚な演奏の威力は、これまで聴けなかったチャイコフスキーの交響曲で発揮されるだろう。たっぷりと歌わせる指揮者メータとたっぷり歌うイスラエル・フィルがこの上なく濃いチャイコフスキーを奏でる前に、聴く者は体調を整えておいた方がいいかもしれない。(堀内修) ザ・シンフォニーホールの情報雑誌『シンフォニア』より
1936年に生れた指揮者ズービン・メータと同じ年にこのオーケストラも産声を挙げた。1961年以来50余年に及ぶ二人の間柄は深い絆として結ばれ、そこから醸し出される音楽はまさに互いの信頼関係から成り立っている。メータの人柄の良さが楽員の気持をリラックスさせ、最上の音色を引きださせるのであろう。メータの若き時代の持つイメージとは少し違ったが、今宵ようやく彼の指揮姿を前にして一種の不思議な安堵感を呼び起こしたものである。ようやく彼に出会うことができたと・・・。
3つのプログラム、すべて最高の演奏であった。こうしてすべてが満足いく演奏会はそう多くあるものではない。イスラエル・フィルの弦は期待を裏切らなかった。
ヴィヴァルディ:合奏協奏曲集 「調和の霊感」op.3より 第10番 RV580
モーツァルト:交響曲 第36番 ハ長調 「リンツ」 K.425
チャイコフスキー:交響曲 第5番 ホ短調 op.64
[指揮]ズービン・メータ
イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団
(19:00 開演 ザ・シンフォニーホール)
アンコールの選曲ひとつをとってみてもメータ・イスラエル・フィルの聴衆に対しての誠実さが感じ取れた。
拍手はいつまでもいつまでも終わることがなく続き、楽員がすべて退いた後、再びメータがひとりでステージに現われて、さらに盛大な喝采を受けた。
「そら、そうだろうなあ・・・」
チャンスがあれば次回は是非マーラーを聴いてみたいと思いながらホールを後にした。
追記:
2014年11月2日(日)
深い絆と濃い音楽~メータとイスラエル・フィル
もちろん独特のモーツァルトは魅力的だ。もっとさわやかさが求められるヴィヴァルディだって、絶対ほかでは聴けない演奏が聴けるはず。でも、今回の一番の楽しみは、その後に待っている。かつてサン=サーンスやリヒャルト・シュトラウスの曲で示した、ズービン・メータとイスラエル・フィルハーモニー管弦楽団の濃厚な演奏の威力は、これまで聴けなかったチャイコフスキーの交響曲で発揮されるだろう。たっぷりと歌わせる指揮者メータとたっぷり歌うイスラエル・フィルがこの上なく濃いチャイコフスキーを奏でる前に、聴く者は体調を整えておいた方がいいかもしれない。(堀内修) ザ・シンフォニーホールの情報雑誌『シンフォニア』より
by kirakuossan
| 2014-11-01 23:19
| クラシック
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