2014年 04月 28日
ピアニスト列伝―10 ヴァルター・ギーゼキング |
2014年4月28日(月)
ヴァルター・ヴィルヘルム・ギーゼキング(Walter Wilhelm Gieseking, 1895~1956)は、フランスのリヨンに生れるがドイツ人のピアニストで作曲家である。彼はよくバックハウスと比較されるが、努力型のバックハウスに対して、ギーゼーキングは本能的、直感的なピアニストとされ天才型といえる。完璧な作品の記憶力、忠実な楽譜の再現、そして曲に対する洞察力...何れにおいても同時代のピアニストの中でも卓越した実力の持ち主であった。彼もベートーヴェンをレパートリーとしたが、やはり彼の真価はモーツァルトによりはっきりと示され、さらにはドビュッシーとラヴェルの近代フランス音楽に成果をみた。
ギーゼキングは例の戦時中の1945年1月23日、世界最初のステレオ録音が残されているが、同じ「皇帝」の演奏では1953年に来日してN響と共演した貴重な録音も残っている。演奏会場の日比谷公会堂といい、NHK アナウンサーの番組での語り口が時代背景を連想させて興味深い。その時、彼を目撃した人の証言によれば、見上げるほどの大男であったが、タッチはすごくデリケートで、とりわけ弱音域がすごく魅力的だった、といわれた。そしてその翌年にはバックハウスが日本を訪れている。
21 March 1953, Tokyo 日比谷公会堂
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調 「皇帝」 Op. 73
D・スカルラッティ :ソナタ ホ長調 K.380/L.23/P.483
ヴァルター・ギーゼキング(ピアノ)
NHK交響楽団 クルト・ヴェス(指揮)
彼は語った。「一番苦労するのは暗譜することだけれど、ほとんどの曲は一晩で暗譜できた」と。でも戦前からヨーロッパ中を忙しく駆け回り、練習をする間もないほどにリサイタルに明け暮れた。そんな彼が、第二次大戦中はドイツに留まっていたために、フルトヴェングラーと同じように、ナチス協力者との嫌疑をかけられたが、戦後その疑いは晴らされた。
彼のドビュッシーは、(見かけによらず・・・失礼)繊細なニュアンスで彩られ、表情的にも豊かで、魅力的な音色だ。”大男”を日比谷公会堂で聴いた当時の聴衆の言う通りである。
彼と同年生まれに、ヴィルヘルム・ケンプ、女流ピアニストのクララ・ハスキルの二人の偉大なピアニストもいた。
ドビュッシー:ベルガマスク組曲
(1953年)
ヴァルター・ヴィルヘルム・ギーゼキング(Walter Wilhelm Gieseking, 1895~1956)は、フランスのリヨンに生れるがドイツ人のピアニストで作曲家である。彼はよくバックハウスと比較されるが、努力型のバックハウスに対して、ギーゼーキングは本能的、直感的なピアニストとされ天才型といえる。完璧な作品の記憶力、忠実な楽譜の再現、そして曲に対する洞察力...何れにおいても同時代のピアニストの中でも卓越した実力の持ち主であった。彼もベートーヴェンをレパートリーとしたが、やはり彼の真価はモーツァルトによりはっきりと示され、さらにはドビュッシーとラヴェルの近代フランス音楽に成果をみた。
ギーゼキングは例の戦時中の1945年1月23日、世界最初のステレオ録音が残されているが、同じ「皇帝」の演奏では1953年に来日してN響と共演した貴重な録音も残っている。演奏会場の日比谷公会堂といい、NHK アナウンサーの番組での語り口が時代背景を連想させて興味深い。その時、彼を目撃した人の証言によれば、見上げるほどの大男であったが、タッチはすごくデリケートで、とりわけ弱音域がすごく魅力的だった、といわれた。そしてその翌年にはバックハウスが日本を訪れている。
21 March 1953, Tokyo 日比谷公会堂
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調 「皇帝」 Op. 73
D・スカルラッティ :ソナタ ホ長調 K.380/L.23/P.483
ヴァルター・ギーゼキング(ピアノ)
NHK交響楽団 クルト・ヴェス(指揮)
彼は語った。「一番苦労するのは暗譜することだけれど、ほとんどの曲は一晩で暗譜できた」と。でも戦前からヨーロッパ中を忙しく駆け回り、練習をする間もないほどにリサイタルに明け暮れた。そんな彼が、第二次大戦中はドイツに留まっていたために、フルトヴェングラーと同じように、ナチス協力者との嫌疑をかけられたが、戦後その疑いは晴らされた。
彼のドビュッシーは、(見かけによらず・・・失礼)繊細なニュアンスで彩られ、表情的にも豊かで、魅力的な音色だ。”大男”を日比谷公会堂で聴いた当時の聴衆の言う通りである。
彼と同年生まれに、ヴィルヘルム・ケンプ、女流ピアニストのクララ・ハスキルの二人の偉大なピアニストもいた。
ドビュッシー:ベルガマスク組曲
(1953年)
by kirakuossan
| 2014-04-28 14:29
| ピアニスト列伝
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