2014年 02月 19日
もう一つのヴァイオリン協奏曲 |
2014年2月19日(水)
「ヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品35」 といえば、チャイコフスキーのあの甘美な旋律と抒情に満ちたヴァイオリン協奏曲だ。だが実はもう一つ、「ニ長調 作品35」のヴァイオリン協奏曲が存在する。チェコ生れの作曲家、エーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト(1897~1957)の最も有名な作品で、この曲もチャイコフスキーに負けるとも劣らない、甘美で鮮烈な抒情に満ちた音楽である。。戦時中の1945年に作曲され、グスタフ・マーラーの妻、アルマ・マーラー=ヴェルフェルに献呈された。
アルマは、自ら音楽サロンを主宰して、ストラヴィンスキーやシェーンベルク、コルンゴルトなど、ヨーロッパからの多くの亡命作曲家が出入りした。コルンゴルトがストラヴィンスキーの前でシェーンベルクのピアノ曲を暗譜で演奏してみせ、驚かせたというエピソードもアルマのサロンにおいての出来事とされる。
コルンゴルトは、クラシック音楽から映画音楽へと幅広く活動したが、この協奏曲でも各楽章の主題の素材を映画音楽から転用している。まるで世紀末ウィーンの残り香を漂わせた濃密さが特徴でもある。初演は1947年2月にセントルイス交響楽団をバックにヤッシャ・ハイフェッツの独奏で行われたが、その濃密さからか、”時代錯誤”のそしりを受けた。だがその後もハイフェッツがあらゆる機会に演奏を続けたことにより、コルンゴルトの最も有名な作品の一つとなった。そんな彼もいずれ、「映画に魂を売った下等な作曲家」というレッテルを張られてしまい、事実上楽壇から姿を消すこととなる。
21世紀に入り、ヤッシャ・ハイフェッツ生誕100年を記念した音源の復刻などを通じて、この作品が掘り起こされ、また、現代の人気ヴァイオリン奏者であるギル・シャハムやヒラリー・ハーンらの若手などによる積極的な演奏により、この作品の魅力が再発見されるようになった。
コルンゴルト:
ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op.35
ヤッシャ・ハイフェッツ(vn)
ロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団
アルフレッド・ウォーレンスタイン(con)
(録音: 10 January 1953)
「ヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品35」 といえば、チャイコフスキーのあの甘美な旋律と抒情に満ちたヴァイオリン協奏曲だ。だが実はもう一つ、「ニ長調 作品35」のヴァイオリン協奏曲が存在する。チェコ生れの作曲家、エーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト(1897~1957)の最も有名な作品で、この曲もチャイコフスキーに負けるとも劣らない、甘美で鮮烈な抒情に満ちた音楽である。。戦時中の1945年に作曲され、グスタフ・マーラーの妻、アルマ・マーラー=ヴェルフェルに献呈された。
アルマは、自ら音楽サロンを主宰して、ストラヴィンスキーやシェーンベルク、コルンゴルトなど、ヨーロッパからの多くの亡命作曲家が出入りした。コルンゴルトがストラヴィンスキーの前でシェーンベルクのピアノ曲を暗譜で演奏してみせ、驚かせたというエピソードもアルマのサロンにおいての出来事とされる。
コルンゴルトは、クラシック音楽から映画音楽へと幅広く活動したが、この協奏曲でも各楽章の主題の素材を映画音楽から転用している。まるで世紀末ウィーンの残り香を漂わせた濃密さが特徴でもある。初演は1947年2月にセントルイス交響楽団をバックにヤッシャ・ハイフェッツの独奏で行われたが、その濃密さからか、”時代錯誤”のそしりを受けた。だがその後もハイフェッツがあらゆる機会に演奏を続けたことにより、コルンゴルトの最も有名な作品の一つとなった。そんな彼もいずれ、「映画に魂を売った下等な作曲家」というレッテルを張られてしまい、事実上楽壇から姿を消すこととなる。
21世紀に入り、ヤッシャ・ハイフェッツ生誕100年を記念した音源の復刻などを通じて、この作品が掘り起こされ、また、現代の人気ヴァイオリン奏者であるギル・シャハムやヒラリー・ハーンらの若手などによる積極的な演奏により、この作品の魅力が再発見されるようになった。
コルンゴルト:
ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op.35
ヤッシャ・ハイフェッツ(vn)
ロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団
アルフレッド・ウォーレンスタイン(con)
(録音: 10 January 1953)
by kirakuossan
| 2014-02-19 14:51
| クラシック
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