2014年 02月 06日
フリッツ・ライナーの芸術 |
2014年2月6日(木)
これも昨夜、シカゴ交響楽団の記事を書いていて、フリッツ・ライナー指揮の演奏も何枚か聴いているうちに、彼の魅力を再発見しようという想いに至った。
フリッツ・ライナー(1888~1963)は、ユダヤ系のハンガリーの指揮者。ドレスデン国立歌劇場、シンシナティ交響楽団、ピッツバーグ交響楽団、メトロポリタン歌劇場を経て、シカゴ交響楽団音楽監督を10年間務め、黄金時代を気づいた大指揮者である。
彼はもともとレパートリーが広い上に、録音にも熱心であったため、米RCAに遺した名演は数え切れない。ベートーヴェン、ハイドン、ブラームス、ドヴォルザーク、チャイコフスキーを得意としたが、同郷のバルトーク・ベーラや、交流のあったリヒャルト・シュトラウスの交響詩はとりわけ評判が高かった。そしてもうひとつ忘れてはならないのがヨハン・シュトラウスをはじめとする「ウィンナ・ワルツ」で非凡な才能を示し、名盤を遺した。かつての名ソプラノ歌手であるエリーザベト・シュヴァルツコップは”無人島へ持っていきたい一枚”に加えたほどだ。
今朝は、そのワルツ集から聴いている。1957年と60年に収録したもので初期のステレオだが、最近のスーパー・オウディオに焼き直しているのでより鮮明である。ヨハン・シュトラウスの「朝刊」、「皇帝円舞曲」、「美しき青きドナウ」、「ウィーンかたぎ」、「南国のバラ」、「宝のワルツ」、「雷鳴と電光」、それにヨゼフ・シュトラウスの「オーストリアの村つばめ」
ライナーの演奏は、フレージングの扱いが巧妙で、ワルツのリズムは何曲も続けて聴くと飽きるものであるが、彼の指揮で聴くとそんなことは全くない。楽員に厳しく、人から嫌われることも多かったが、根はこのように優雅で、気持の優しい、お洒落な性格の持主だったのだろう。だからその事をよく知っている一部の音楽家とはウマが良く合い、ともによい音楽を作った。ホロヴィッツ、ギレリス、ゼルキンらピアニスト然り、ヴァイオリニストのハイフェッツ然りである。
彼はコンサート以外でも、一方で指揮法を熱心に教えるなど精力的に活動した。その評判を聞きつけて名手たちが、シカゴ響で演奏すべく集まってきたのも事実である。彼は厳しかったが、わかり合える人々にとってはまさに偉大なマエストロであった。
得意にしていたリヒャルト・シュトラウスを聴いてみる。
54年盤の「ツァラトゥストラはかく語りき」を聴いているが、当時のRCAはいち早く実験版のステレオ録音を行っていた。驚くほど分離もよく鮮明である。それに”ド迫力”と”繊細な響き”のコラボが最良の、これもさすが名だたる名演と納得する。「英雄の生涯」の出だし部分の音の広がりなど他盤ではちょっと聴けない迫力である。
面白いエピソードがある。楽員がちょっとダレた時、彼は時折、タクトの先を下へ向けて振って見せた。しかもそれを小さく振るものだから、楽員はそれをしっかり見ようとして、かえって緊張度が高まっていったという。
ライナーは手兵のオーケストラ以外にも、ウィーン・フィルやロイヤル・フィルを振ったこともあるが、あれほど自分の楽団には多くの注文を付けたのに、ウィーンとやる時は思う存分彼らの演奏を引き出し、名演を残したというのも面白い。
もう一曲、ライナー最後の録音。これはオーケストラがシカゴ交響楽団ではなく、「彼の交響楽団」となっている。実態はメトロポリタン歌劇場管弦楽団、ニューヨーク・フィル、ピッツバーグ交響楽団、シカゴ交響楽団等からの選抜メンバーで構成された臨時編成オーケストラであって、彼の息のかかったメンバーと言える。ヴィクター・アイタイ(ヴァイオリン)、ヤーノシュ・シュタルケル(チェロ)、ジュリアス・ベイカー(フルート)、ロバート・ブルーム(オーボエ)といった名手が集まった。
ハイドンの交響曲第95番ハ短調と交響曲第101番ニ長調「時計」が演奏されるが、自然に奏でられる究極のリラックスした演奏という。録音は1963年9月に行われたが、僅かその2か月後、ニューヨークの公演準備中に彼は急逝した。
このディスクはNMLにもないので、どうしても聴いてみたく、今日HMVに注文した。試聴談は機会があれば後日に。
フリッツ・ライナー(1888~1963)は、ユダヤ系のハンガリーの指揮者。ドレスデン国立歌劇場、シンシナティ交響楽団、ピッツバーグ交響楽団、メトロポリタン歌劇場を経て、シカゴ交響楽団音楽監督を10年間務め、黄金時代を気づいた大指揮者である。
彼はもともとレパートリーが広い上に、録音にも熱心であったため、米RCAに遺した名演は数え切れない。ベートーヴェン、ハイドン、ブラームス、ドヴォルザーク、チャイコフスキーを得意としたが、同郷のバルトーク・ベーラや、交流のあったリヒャルト・シュトラウスの交響詩はとりわけ評判が高かった。そしてもうひとつ忘れてはならないのがヨハン・シュトラウスをはじめとする「ウィンナ・ワルツ」で非凡な才能を示し、名盤を遺した。かつての名ソプラノ歌手であるエリーザベト・シュヴァルツコップは”無人島へ持っていきたい一枚”に加えたほどだ。
今朝は、そのワルツ集から聴いている。1957年と60年に収録したもので初期のステレオだが、最近のスーパー・オウディオに焼き直しているのでより鮮明である。ヨハン・シュトラウスの「朝刊」、「皇帝円舞曲」、「美しき青きドナウ」、「ウィーンかたぎ」、「南国のバラ」、「宝のワルツ」、「雷鳴と電光」、それにヨゼフ・シュトラウスの「オーストリアの村つばめ」
ライナーの演奏は、フレージングの扱いが巧妙で、ワルツのリズムは何曲も続けて聴くと飽きるものであるが、彼の指揮で聴くとそんなことは全くない。楽員に厳しく、人から嫌われることも多かったが、根はこのように優雅で、気持の優しい、お洒落な性格の持主だったのだろう。だからその事をよく知っている一部の音楽家とはウマが良く合い、ともによい音楽を作った。ホロヴィッツ、ギレリス、ゼルキンらピアニスト然り、ヴァイオリニストのハイフェッツ然りである。
彼はコンサート以外でも、一方で指揮法を熱心に教えるなど精力的に活動した。その評判を聞きつけて名手たちが、シカゴ響で演奏すべく集まってきたのも事実である。彼は厳しかったが、わかり合える人々にとってはまさに偉大なマエストロであった。
得意にしていたリヒャルト・シュトラウスを聴いてみる。
54年盤の「ツァラトゥストラはかく語りき」を聴いているが、当時のRCAはいち早く実験版のステレオ録音を行っていた。驚くほど分離もよく鮮明である。それに”ド迫力”と”繊細な響き”のコラボが最良の、これもさすが名だたる名演と納得する。「英雄の生涯」の出だし部分の音の広がりなど他盤ではちょっと聴けない迫力である。
面白いエピソードがある。楽員がちょっとダレた時、彼は時折、タクトの先を下へ向けて振って見せた。しかもそれを小さく振るものだから、楽員はそれをしっかり見ようとして、かえって緊張度が高まっていったという。
ライナーは手兵のオーケストラ以外にも、ウィーン・フィルやロイヤル・フィルを振ったこともあるが、あれほど自分の楽団には多くの注文を付けたのに、ウィーンとやる時は思う存分彼らの演奏を引き出し、名演を残したというのも面白い。
もう一曲、ライナー最後の録音。これはオーケストラがシカゴ交響楽団ではなく、「彼の交響楽団」となっている。実態はメトロポリタン歌劇場管弦楽団、ニューヨーク・フィル、ピッツバーグ交響楽団、シカゴ交響楽団等からの選抜メンバーで構成された臨時編成オーケストラであって、彼の息のかかったメンバーと言える。ヴィクター・アイタイ(ヴァイオリン)、ヤーノシュ・シュタルケル(チェロ)、ジュリアス・ベイカー(フルート)、ロバート・ブルーム(オーボエ)といった名手が集まった。
ハイドンの交響曲第95番ハ短調と交響曲第101番ニ長調「時計」が演奏されるが、自然に奏でられる究極のリラックスした演奏という。録音は1963年9月に行われたが、僅かその2か月後、ニューヨークの公演準備中に彼は急逝した。
このディスクはNMLにもないので、どうしても聴いてみたく、今日HMVに注文した。試聴談は機会があれば後日に。
by kirakuossan
| 2014-02-06 10:04
| クラシック
|
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