2013年 08月 04日
バッハ傾聴 ―2 |
2013年8月4日(日)
もし、芸術はあくまで芸術であって単なる時間つぶしの戯れに堕すべきでないということが自明であるならば、一般に古典芸術作品は、近来用いられたよりも、もっと多く用いられねばならぬ。バッハが古典作曲者中の第一人者として―今日までそうであったし、将来にわたってもおそらく変らぬであろう―この点で最も多く役立つことは疑いのない所である。彼の作品をしばらく研究した者には、つまらぬ音楽と本当の音楽との区別が明らかになり、またその結果選びとった様式を、立派な、勉強を積んだ芸術家として仕上げるであろう。
著者ヨハン・ニコラウス・フォルケルは『ヨハン・セバスティアン・バッハの生涯、芸術、および作品について』の序言でこう述べる。
ヨハン・セバスティアン・バッハ(大バッハ)が存命中、彼はオルガニストとしてはあるていど知られていたが、作曲家としての評価は低かった。それまでにモーツァルトが大バッハのあるモテットに感嘆、昂奮したとあるが、それもごく一部の話に過ぎない。例えば、1739年のある音楽誌の中で、ある評論家が、フックス、ハッセ、ヘンデル、テレマン、そして5番目に大バッハを位置づけていることからしてもよくわかる。大バッハが亡くなったあとはほとんど世間から忘れ去られつつあったが、一方では、彼の音楽を見直そうと言う動きもあったが、楽譜がないために演奏したり、聞くこともかなわず、どうしようもなかった。ところが、大バッハ死後、半世紀になる1802年にこの書物が著された。この書が、大バッハの音楽を蘇らせようという息吹を後押しするきっかけとなった。
モテット曲、マグニフィカートなどの譜が次々と出版されるように、やがてマタイ受難曲、ヨハネ受難曲、さらにはロ短調ミサが刊行される。1829年、20歳のメンデルスゾーンが自らの手によって「マタイ受難曲」を100年ぶりに公開して、ますます大バッハ復興に拍車がかかることになる。
ドイツおよび諸外国を通じて芸術家中の第一人者たるバッハの崇高な芸術を、まさにその品位にふさわしく記述することができるように、私は心から願うものである。みずからがバッハのような、すべての上に高く聳える芸術家であるという、この最大の名誉につぐものとしては、そのような完成された芸術を正しく評価し、これについて理解を以って語り得るということにまさる名誉は存せぬであろう。
もし、芸術はあくまで芸術であって単なる時間つぶしの戯れに堕すべきでないということが自明であるならば、一般に古典芸術作品は、近来用いられたよりも、もっと多く用いられねばならぬ。バッハが古典作曲者中の第一人者として―今日までそうであったし、将来にわたってもおそらく変らぬであろう―この点で最も多く役立つことは疑いのない所である。彼の作品をしばらく研究した者には、つまらぬ音楽と本当の音楽との区別が明らかになり、またその結果選びとった様式を、立派な、勉強を積んだ芸術家として仕上げるであろう。
著者ヨハン・ニコラウス・フォルケルは『ヨハン・セバスティアン・バッハの生涯、芸術、および作品について』の序言でこう述べる。
ヨハン・セバスティアン・バッハ(大バッハ)が存命中、彼はオルガニストとしてはあるていど知られていたが、作曲家としての評価は低かった。それまでにモーツァルトが大バッハのあるモテットに感嘆、昂奮したとあるが、それもごく一部の話に過ぎない。例えば、1739年のある音楽誌の中で、ある評論家が、フックス、ハッセ、ヘンデル、テレマン、そして5番目に大バッハを位置づけていることからしてもよくわかる。大バッハが亡くなったあとはほとんど世間から忘れ去られつつあったが、一方では、彼の音楽を見直そうと言う動きもあったが、楽譜がないために演奏したり、聞くこともかなわず、どうしようもなかった。ところが、大バッハ死後、半世紀になる1802年にこの書物が著された。この書が、大バッハの音楽を蘇らせようという息吹を後押しするきっかけとなった。
モテット曲、マグニフィカートなどの譜が次々と出版されるように、やがてマタイ受難曲、ヨハネ受難曲、さらにはロ短調ミサが刊行される。1829年、20歳のメンデルスゾーンが自らの手によって「マタイ受難曲」を100年ぶりに公開して、ますます大バッハ復興に拍車がかかることになる。
ドイツおよび諸外国を通じて芸術家中の第一人者たるバッハの崇高な芸術を、まさにその品位にふさわしく記述することができるように、私は心から願うものである。みずからがバッハのような、すべての上に高く聳える芸術家であるという、この最大の名誉につぐものとしては、そのような完成された芸術を正しく評価し、これについて理解を以って語り得るということにまさる名誉は存せぬであろう。
by kirakuossan
| 2013-08-04 07:59
| クラシック
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