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ワーグナーのベートーヴェン論

2013年6月28日(金)
3B。 2Bより軟らかく、4Bより硬い。なにも鉛筆の話ではない。
僕からして、みな大好きな作曲家、バッハ、ベートーヴェン、ブラームス、ブルックナーである。このなかで前3人を称して「3B」と呼ぶ。或いは前2人と4人目を加えて「3B」と呼ぶ。
いっそのこと4人合わせて「4B」と呼ぶか。いや、それはやはり許されないことだ。4人とも大変好きだが、ここは明確にしておく必要がある。「3B」でもない。「2B」プラス「2B」である。
それは前者のふたりと後者のふたりとではかなりの開きがあるのである。後者の二人は人によって様々な意見があって難しい、どっこいどっこいでいい勝負だということだ。ただ前者の二人は、さらに難しい。どちらがどうだということを語ること自体が憚れるほどの偉大な存在なのである。
d0170835_20352937.jpgその憚れるひとりのベートーヴェンのことを、自分と比較して「私は偉大な作曲家であるが、私を越えるのはベートーヴェン一人しかいない」といった自信家がいる。
その人の名はリヒャルト・ワーグナーである。文筆家でもあった彼の著作『ベートーヴェン』をこれから読もうと思う。





この論文の筆者は、わが偉大なベートーヴェンの生誕百年祭にあたり、自分もこれに寄与したいという思いを、せつにおぼえる。それなのに、この祝典が自分にふさわしいと思われる寄与の機会が、ほかに何ら提供されなかったので、筆者は、ベートーヴェンの音楽の意義についての考えを、思いうかんだままに記述するという方法を選んだわけである。こうして成立した論文の形式は、この偉大な音楽家の理想的な祝典にさいして祝辞をのべるため自分が招聘された、という想像から生じたものだが、そういう祝賀講演が実際におこなわれたわけではないので、かえってそれが自分の考えを述べるうえに利点として役にたち、ほんとうの聴衆をまえにした講演で語りえたろうよりも、いっそう詳しく論ずることができた。<略>
筆者がこの論文を起草しかつ完成しえたように、願わくば、そういう利点のおかげで、この論文も、ドイツ国民の心情の偉大な昂奮を、平生の国民生活において果されうるよりもはるかに熱烈に、ドイツ精神の深奥に接触せしめえたならば、と筆者は切望するのである。

1870年9月                   ルツェルンにおいて   リヒャルト・ヴァーグナー




d0170835_2045771.jpgこの短い序文を読んだだけでも、いかに自信に満ち溢れた人物であったかが分る。ここでのベートーヴェン生誕百年祭だが、実は最初は自分も参列するつもりであったが、参列者リストに犬猿の間柄であったブラームスがいることを知り、土壇場で出席を拒否した、という逸話がある。そのワーグナーは今年生誕200年である。
by kirakuossan | 2013-06-28 18:54 | クラシック | Trackback
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