2012年 08月 28日
偏見版『倶楽シック音楽全集』-25② ドヴォルザーク |
2012年8月28日(火)
【第55巻】ボヘミアの大作曲家
ドヴォルザーク:Ⅱ
<愛するボヘミアに捧げる>
17世紀前半におきた宗教戦争・三十年戦争は全欧州を戦禍に引きずり込んだが、その緒戦となった戦いはボヘミア地域で繰り広げられた。それに先立つフス戦争とともにカトリックの支配に対する抵抗としてあらわれた。ドヴォルザークは自身の民族が被った痛ましい過去への思いをこめて作品をつくる。
ひとつは歌曲「聖書の歌」であり、ひとつには序曲「フス教徒」である。
歌曲はあえてチェコ語の詩篇を用いることにより一層心を込めた。作曲時、たまたまグノーやチャイコフスキーの訃報にも接し、よけいに敬虔な気持ちになって聖書に基づく歌曲集の作曲を行ったものと推測される。全10曲からなりピアノ、オルガン、オーケストラなどの伴奏でバスが歌う。
また、旋律が何んとも物悲しく、一種独特の味わいを感じ取る劇的序曲「フス教徒」。15世紀初めのチェコの宗教改革家ヤン・フスを支持した人たちを讃えたものでフス教徒に祖国独立運動の願いを託した愛国主義的作品でもある。
聖書の歌 Op. 99 B. 185
序曲「フス教徒」 B. 132 Op. 67
三十年戦争は緒戦のボヘミア国内の反乱は鎮圧されたが、その後複雑な展開を見せる。当初宗教戦争だったが、徐々にハプスブルク家と、それに対抗するデンマークやスウェーデン、フランスとの国際戦争に拡大し、スイスやオランダの独立戦争も引き起こしていく。1648年、ついに神聖ローマ帝国は和平条約に調印、これが、近代国際法上初めての国際条約であるとされるヴェストファーレン条約だ。この条約により、カトリックとプロテスタントの宗教戦争に終止符が打たれ、条約締結国は相互の領土を尊重することを約束し、オランダとスイスは神聖ローマ帝国からの独立が正式に承認されることになる。
これを契機にヨーロッパは新時代に入り、オーストリア・ハプスブルク家、スペイン・ハプスブルク家、そしてフランス・ブルボン家を中心とした華やかな宮廷文化と絶対王政の時代が幕開けとなる。このことがクラシック音楽にとって飛躍的な発展を育んだ。この時代、ちょうどバロック時代の後期にあたる時期だ。ここでの卓越した技術を持つイタリア人の活躍は華々しいもので、オペラの隆盛とともに片方では多くの優れたヴァイオリニストを輩出した。まさにクラシック音楽のスタートはここイタリアで火ぶたが切られることになる。
来年ヨーロッパ旅行を計画しているが、イタリアをまず最初に訪れたいのは、こういった理由でもある。
【第55巻】ボヘミアの大作曲家
ドヴォルザーク:Ⅱ
<愛するボヘミアに捧げる>
17世紀前半におきた宗教戦争・三十年戦争は全欧州を戦禍に引きずり込んだが、その緒戦となった戦いはボヘミア地域で繰り広げられた。それに先立つフス戦争とともにカトリックの支配に対する抵抗としてあらわれた。ドヴォルザークは自身の民族が被った痛ましい過去への思いをこめて作品をつくる。
ひとつは歌曲「聖書の歌」であり、ひとつには序曲「フス教徒」である。
歌曲はあえてチェコ語の詩篇を用いることにより一層心を込めた。作曲時、たまたまグノーやチャイコフスキーの訃報にも接し、よけいに敬虔な気持ちになって聖書に基づく歌曲集の作曲を行ったものと推測される。全10曲からなりピアノ、オルガン、オーケストラなどの伴奏でバスが歌う。
また、旋律が何んとも物悲しく、一種独特の味わいを感じ取る劇的序曲「フス教徒」。15世紀初めのチェコの宗教改革家ヤン・フスを支持した人たちを讃えたものでフス教徒に祖国独立運動の願いを託した愛国主義的作品でもある。
聖書の歌 Op. 99 B. 185
序曲「フス教徒」 B. 132 Op. 67
三十年戦争は緒戦のボヘミア国内の反乱は鎮圧されたが、その後複雑な展開を見せる。当初宗教戦争だったが、徐々にハプスブルク家と、それに対抗するデンマークやスウェーデン、フランスとの国際戦争に拡大し、スイスやオランダの独立戦争も引き起こしていく。1648年、ついに神聖ローマ帝国は和平条約に調印、これが、近代国際法上初めての国際条約であるとされるヴェストファーレン条約だ。この条約により、カトリックとプロテスタントの宗教戦争に終止符が打たれ、条約締結国は相互の領土を尊重することを約束し、オランダとスイスは神聖ローマ帝国からの独立が正式に承認されることになる。
これを契機にヨーロッパは新時代に入り、オーストリア・ハプスブルク家、スペイン・ハプスブルク家、そしてフランス・ブルボン家を中心とした華やかな宮廷文化と絶対王政の時代が幕開けとなる。このことがクラシック音楽にとって飛躍的な発展を育んだ。この時代、ちょうどバロック時代の後期にあたる時期だ。ここでの卓越した技術を持つイタリア人の活躍は華々しいもので、オペラの隆盛とともに片方では多くの優れたヴァイオリニストを輩出した。まさにクラシック音楽のスタートはここイタリアで火ぶたが切られることになる。
来年ヨーロッパ旅行を計画しているが、イタリアをまず最初に訪れたいのは、こういった理由でもある。
by kirakuossan
| 2012-08-28 12:48
| 偏見版「倶楽シック全集」(完)
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