2012年 01月 18日
世界のオーケストラ/第5回<読売日本交響楽団>”音がとても暖かく、真摯な演奏” |
2012年1月18日(水)
読売日本交響楽団
読売日本交響楽団が創立50周年を迎えた。今、日本では最高のオーケストラだと思う。それも昨年暮れ、大阪での演奏会を初めて聴いて確信した。
21年前初の女性団員として入団したヴァイオリン奏者荒川以津美が語る・・・「自分で云うのもなんですが、最近の演奏は来日する海外のオーケストラに比べても決してひけをとらないと思います」、注目するフルート首席奏者の倉田優は語る・・・「団員がみんな家族みたいに仲が良いんです。だからだと思うんですけれど、音がとても暖かい。うまいけれどロボットみたいに無表情で冷たい演奏をする人は一人もいない」
この二人の発言が、今の読響のありのままの姿を端的に語っていると思う。
1962年4月に、読売新聞社などが母体となって設立された。発足当時は平均年齢27歳というフレッシュなオーケストラとして注目を集めた。最初は団員を男性に限定していたが、現在では女性にも門戸を開き、音の成長をみたといわれる。
発足当初から積極的な運営がなされ、63年にアラム・ハチャトリアンを招へいし、レオニード・コーガンやレフ・オボーリンを加えての自作演奏を披露した。67年には、アーサー・フィードラー指揮による初の海外公演(アメリカ・カナダ)を挙行し、68年には若杉弘指揮によるペンデレツキの「ルカ受難曲」日本初演で「芸術祭大賞」を、日本のオーケストラでは初めて授賞した。そして77年には、カリスマの巨匠セルジュ・チェリビダッケが初来日して指揮台に立った。このときの徹底した演奏指導によって、驚くほどの”繊細な音”を引き出したという。
その他にも大物指揮者を次々と招へい、レオポルド・ストコフスキー、ハンス・シュミット=イッセルシュテット、ウィレム・ヴァン・オッテルロー、ギュンター・ヴァント、ガリー・ベルティーニ、ズービン・メータ、クルト・ザンデルリンク、ゲンナジー・ロジェストベンスキー、ムスティラフ・ロストロポービッチ、ハインツ・レークナー、アンタル・ドラティ、ロリン・マゼール、ズデニェク・コシュラーと挙げればきりがないくらいだ。79年にはカール・ベームを呼ぶ計画にあったが、本人の病気で実現しなかった。
最近では、ユーリ・テミルカーノフやヴァレリー・ゲルギエフ、ネルロ・サンティ、ゲルト・アルブレヒト、スタニスラフ・スクロバチェフスキ、そして現在の常任指揮者シルヴァン・カンブルランと続く。
創立当初の63年9月に常任として迎えた、若手の注目株オットー・マッツェラートが来日僅かで急逝したが、この指揮者が健在であったなら、また違った展開になったかもしれない。オットー・マッツェラートという指揮者は全く知らなかった。すこし調べて見たい心境だ。
ソリストも大物を招いていて、ベネデッティ・ミケランジェリやアルトゥール・ルービンシュタイン、さらにはスビャトスラフ・リヒテルなんかとも共演している。
演奏会を聴いて、あるいは先日、その時の模様の放映をみて感じる。
演奏技術においては、欧米の一流オーケストラと比べても見劣りしない。全体のレベルの高さは勿論、中でも弦や木管の、あのピアニシモの魅力は群を抜く。特にビオラ、チェロ、コントラバスの低音域のパートが優れていると感じた。それにフルートが上手い。また、楽員の演奏に対する真摯な取り組み姿勢みたいなものがヒシヒシと聴く者に伝わってくる。謙虚な演奏態度のもとに、楽員ひとり一人の信頼関係が育む柔らかい音色は他の日本のオケでは僕は知らない。色んな面でN響より上と思う。(気になるのはティンパニ、一本調子で少し粗いように思うが? 最近までは、菅原 淳という38年のベテラン奏者がいたようだが・・・)
歴代常任指揮者
ウィリス・ページ(初代:1962~1963)
オットー・マッツェラート(第2代:1963~1963)
若杉弘(第3代:1965~1980)
ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス(第4代:1980~1983)
ハインツ・レーグナー(第5代:1983~1992)
尾高忠明(第6代:1992~1998)
ゲルト・アルブレヒト(第7代:1998~2007)
スタニスワフ・スクロヴァチェフスキ(第8代:2007~2010)
シルヴァン・カンブルラン(第9代:2010~)
読売日本交響楽団
読売日本交響楽団が創立50周年を迎えた。今、日本では最高のオーケストラだと思う。それも昨年暮れ、大阪での演奏会を初めて聴いて確信した。
21年前初の女性団員として入団したヴァイオリン奏者荒川以津美が語る・・・「自分で云うのもなんですが、最近の演奏は来日する海外のオーケストラに比べても決してひけをとらないと思います」、注目するフルート首席奏者の倉田優は語る・・・「団員がみんな家族みたいに仲が良いんです。だからだと思うんですけれど、音がとても暖かい。うまいけれどロボットみたいに無表情で冷たい演奏をする人は一人もいない」
この二人の発言が、今の読響のありのままの姿を端的に語っていると思う。
1962年4月に、読売新聞社などが母体となって設立された。発足当時は平均年齢27歳というフレッシュなオーケストラとして注目を集めた。最初は団員を男性に限定していたが、現在では女性にも門戸を開き、音の成長をみたといわれる。
発足当初から積極的な運営がなされ、63年にアラム・ハチャトリアンを招へいし、レオニード・コーガンやレフ・オボーリンを加えての自作演奏を披露した。67年には、アーサー・フィードラー指揮による初の海外公演(アメリカ・カナダ)を挙行し、68年には若杉弘指揮によるペンデレツキの「ルカ受難曲」日本初演で「芸術祭大賞」を、日本のオーケストラでは初めて授賞した。そして77年には、カリスマの巨匠セルジュ・チェリビダッケが初来日して指揮台に立った。このときの徹底した演奏指導によって、驚くほどの”繊細な音”を引き出したという。
その他にも大物指揮者を次々と招へい、レオポルド・ストコフスキー、ハンス・シュミット=イッセルシュテット、ウィレム・ヴァン・オッテルロー、ギュンター・ヴァント、ガリー・ベルティーニ、ズービン・メータ、クルト・ザンデルリンク、ゲンナジー・ロジェストベンスキー、ムスティラフ・ロストロポービッチ、ハインツ・レークナー、アンタル・ドラティ、ロリン・マゼール、ズデニェク・コシュラーと挙げればきりがないくらいだ。79年にはカール・ベームを呼ぶ計画にあったが、本人の病気で実現しなかった。
最近では、ユーリ・テミルカーノフやヴァレリー・ゲルギエフ、ネルロ・サンティ、ゲルト・アルブレヒト、スタニスラフ・スクロバチェフスキ、そして現在の常任指揮者シルヴァン・カンブルランと続く。
創立当初の63年9月に常任として迎えた、若手の注目株オットー・マッツェラートが来日僅かで急逝したが、この指揮者が健在であったなら、また違った展開になったかもしれない。オットー・マッツェラートという指揮者は全く知らなかった。すこし調べて見たい心境だ。
ソリストも大物を招いていて、ベネデッティ・ミケランジェリやアルトゥール・ルービンシュタイン、さらにはスビャトスラフ・リヒテルなんかとも共演している。
演奏会を聴いて、あるいは先日、その時の模様の放映をみて感じる。
演奏技術においては、欧米の一流オーケストラと比べても見劣りしない。全体のレベルの高さは勿論、中でも弦や木管の、あのピアニシモの魅力は群を抜く。特にビオラ、チェロ、コントラバスの低音域のパートが優れていると感じた。それにフルートが上手い。また、楽員の演奏に対する真摯な取り組み姿勢みたいなものがヒシヒシと聴く者に伝わってくる。謙虚な演奏態度のもとに、楽員ひとり一人の信頼関係が育む柔らかい音色は他の日本のオケでは僕は知らない。色んな面でN響より上と思う。(気になるのはティンパニ、一本調子で少し粗いように思うが? 最近までは、菅原 淳という38年のベテラン奏者がいたようだが・・・)
歴代常任指揮者
ウィリス・ページ(初代:1962~1963)
オットー・マッツェラート(第2代:1963~1963)
若杉弘(第3代:1965~1980)
ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス(第4代:1980~1983)
ハインツ・レーグナー(第5代:1983~1992)
尾高忠明(第6代:1992~1998)
ゲルト・アルブレヒト(第7代:1998~2007)
スタニスワフ・スクロヴァチェフスキ(第8代:2007~2010)
シルヴァン・カンブルラン(第9代:2010~)
by kirakuossan
| 2012-01-18 21:34
| 世界のオーケストラ
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