ホンマ!気楽おっさんの蓼科偶感

カテゴリ:名曲を訪ねて( 10 )

『名曲を訪ねて』第10話 ~舟歌

2016年1月18日(月)

『名曲を訪ねて』第10話 
舟歌 嬰ヘ長調 Op. 60
Barcarolle in F-Sharp Major, Op. 60
フレデリック・ショパン




フレデリック・ショパンの舟歌嬰ヘ長調作品60は、1846年に作曲・出版された。三部形式で書かれ、シュトックハウゼン男爵夫人に献呈された。この作品の叙情性は「ノクターン」に通ずるが、イタリア的な明るさが垣間見え、ヴェニスのゴンドラの揺れを表わす左手の伴奏形が提示された後、優美な右手の旋律が現われる。一度聴けばいつまでも記憶に残る素敵なメロディーをもつピアノ曲である。



【演奏ききくらべ】
技巧的にどうだとか、音楽的にどうだとか、そんなことよりも、もうこれは演奏の好みで判断するしかないようだ。それほどに多くのピアニストが録音を残している。とくに自分の好みに合った演奏順に☆、〇、△、を付してみた。



myライブラリー CD


d0170835_1695514.jpgクリスティアン・ツィメルマン 
8:54
(1987年7月)
理知的で、献身的なピアニズムが溢れ、現代最高のピアニストによるショパンである。






d0170835_162803.jpgアルトゥール・ルービンシュタイン 〇
9:05
(1946年8月)
芸術性の香り高いショパン。ホロヴィッツの力強さに、ケンプの柔和さが加わったようなピアノ。








NML

d0170835_18274631.jpgウラディーミル・ホロヴィッツ 〇
8:45
(1957年2月)
一音一音が丁寧な演奏。
大音響、そのダイナミズムはまさにホロヴィッツならではの演奏。



d0170835_18321929.jpgパウル・バドゥラ=スコダ △
7:25
(1960年代?)
ホロヴィッツとは対照的に、輪郭のぼやけた、流したような演奏。



d0170835_20443147.jpgヴィルヘルム・ケンプ 
7:45
(1958年3月)
最も”舟歌”のイメージに合うような曲想。この柔らかさは嫌ではない。



d0170835_20501426.jpgディヌ・リパッティ △
8:31
(1948年4月)
自己主張の強さを感じる。別の言い方をすれば個性的。




d0170835_20582935.jpgフリードリヒ・グルダ 〇
9:05
(1959年11月)
アルゲリッチの師で、ジャズにも傾倒した鬼才。この演奏はオーソドックス。音の粒が美しい



d0170835_2151444.jpgベンノ・モイセイヴィチ △
7:56
(1941年3月)
ちょっと持って回ったタッチが気になる。




d0170835_21154683.jpgサンソン・フランソワ 
8:26
(1966年3月)
どこまでも流麗、独得のルバートが冴える、ショパン弾きの面目如実といったところか。この人は確かに巧い。



d0170835_21311377.gifスヴャトスラフ・リヒテル △
6:41
(?)
最も演奏時間が短い。雄大で力強く、卓越した演奏だが、録音のせいか音が堅い。



d0170835_2137696.jpgエリソ・ヴィルサラーゼ 〇
8:54
(?)
どうしてもこの人の音色が好きだ。よく解らないが、これは理屈ではない。



d0170835_22171216.jpgマルタ・アルゲリッチ △
8:06
(1960年)
この曲の手本のような演奏だが、情感にやや欠けるか? このときアルゲリッチは弱冠19歳。



d0170835_21564464.jpgミハイル・プレトニョフ 〇
9:36
(1980年代?)
聴きやすいテンポ。好きな演奏だ。 




d0170835_2212097.jpgダニエル・バレンボイム △
9:26
(?)
ピアノは巧いのだが、なぜか心に響かない。気のせいかな?




d0170835_231764.jpgアルフレッド・コルトー 
8:04
(1933年7月)
この舟歌には歌がある。戦前の同曲の名盤であったのもうなずける。古さを全く感じさせない。この同じディスクに収められているエチュード集 Op.10も極め付きだ。
by kirakuossan | 2016-01-18 15:39 | 名曲を訪ねて | Trackback

『名曲を訪ねて』第9話 ~交響曲「運命」

2015年9月16日(水)

『名曲を訪ねて』第9話 


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交響曲第5番ハ短調 Op.67「運命」
ベートーヴェン




ベートーヴェンの楽曲の中で、というよりすべての作曲家の作品の中で、これほどまでに完成度の高い、非の打ちどころのない音楽はほかに知らない。最初から最後までまったく隙のいない形式美・構成力には感歎するほかはない。ドラマチック性においてもこれ以上のものはない。
1808年12月22日、オーストリア・ウィーンのアン・デア・ウィーン劇場にて「交響曲第6番」として初演された。現在の第6番「田園」は、同じ演奏会で第5番として初演された。4時間におよぶこの演奏会最後のプログラムは早くも第九の構想が生まれていたか、冒頭のピアノ独奏はベートーヴェン自らが即興演奏したといわれる「合唱幻想曲」であった。でもこの演奏会は、あまりの長さや、会場の寒さ、そして演奏技術の未熟さなども重なって失敗に終わった。しかし「運命」交響曲は後の作曲家に大きな衝撃を与えた。ブラームス、チャイコフスキー、ベルリオーズ、ブルックナーそしてマーラーに至るまで、その影響力は計り知れない。



【演奏ききくらべ】

myライブラリー CD



d0170835_20153991.jpgベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 - Berlin Philharmonic Orchestra
アンドレ・クリュイタンス - Andre Cluytens (指揮)
08:24、09:51、05:29、09:03 (32:47)
録音:1957年 060.gif

フランス系の指揮者としてフランスの作曲家の作品に熟練した印象が先に立つが、これは実に堂々としたベートーヴェンであって、ベルリン・フィルがフルトヴェングラーやカラヤンをさておいて、敢えてクリュイタンスとベートーヴェン交響曲全集録音を行ったのもよくわかる。しかも録音状態がたいへんい良い。


d0170835_2029434.jpgパリ音楽院管弦楽団
カール・シューリヒト - Carl Schuricht (指揮)
録音:1958年

「運命」という曲を再認識させてくれた演奏。モノ録音ながら、最初に耳にした時の、あの溌剌として、重厚な、これが本当にフランスのオケか?と疑ったほどである。シューリヒトといういぶし銀のような指揮者を好きになるきっかけともなった演奏であった。


d0170835_19561045.jpgフィラデルフィア管弦楽団 - Philadelphia Orchestra
リッカルド・ムーティ - Riccardo Muti (指揮)
07:17、09:53、05:08、10:31 (32:49)
録音:1985年 060.gif

流麗かつ熱気を帯びた、そして決め所はキリリと引き締めるムーティの手腕を遺憾なく発揮した名演。



d0170835_2121715.jpgウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 - Vienna Philharmonic Orchestra
カルロス・クライバー - Carlos Kleiber (指揮)
(33:36)
録音:1974年 060.gif

1976年録音の交響曲第7番が先に世に出て、鮮烈な衝撃と共に全世界の音楽ファンを圧倒したが、その後に出たこの「運命」、これも同じく、心地よいスピード感覚と鋭いリズムに操られたクライバー・サウンドの代表的録音である。これはベートーヴェンの心境をもっとも忠実によく著わした演奏といえるかもしれない。こんな凄い演奏が2曲入って今では¥890?・・・


d0170835_21132026.jpgライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 - Leipzig Gewandhaus Orchestra
フランツ・コンヴィチュニー - Franz Konwitschny (指揮)
08:02、10:29、06,08、11:45 (36:24)
録音:1957年

コンヴィチュニー全集のなかの一枚、ゆったりとしたオーソドックスで、ドイツ物のお手本のような演奏。しかも57年にしては録音状態も良好。古き良き時代の東独のオケが聴ける貴重な一枚。






NML



d0170835_21193649.jpgフィルハーモニア管弦楽団 - Philharmonia Orchestra
クリストフ・フォン・ドホナーニ - Christoph von Dohnanyi (指揮)
07:15、09:18、05:06、11:20 (32:59)
録音:2008年4月 060.gif

燦然と輝く実績の割には相反してレコーディングには恵まれてこなかったドホナーニ、彼が放った痛烈な一発!この何というか、肩の余分な力が抜けた、しなやかな自然な流れ、それでいてメリハリがあって格調の高いベートーヴェン、最近聴いた「運命」では最右翼に位置する。


d0170835_20463185.jpgNBC交響楽団 - NBC Symphony Orchestra
グイド・カンテッリ - Guido Cantelli (指揮)
録音: 21 February 1954, 060.gif

カンテッリがフィルハーモニア管との54年の演奏録音、あの肝心の第1楽章が抜けているディスクを持っているが、それでもあれだけの迫力に感心するが、実はその2年前に別のオケとの完全録音があったのだ。これは聴き逃せない。


d0170835_21391834.jpgベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 - Berlin Philharmonic Orchestra
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー - Wilhelm Furtwangler (指揮)
08:08、10:59、05:59、08:08 (33:14)
録音:1943年6月

フルトヴェングラーとベルリン・フィルとの運命で有名なのは1947年5月の演奏だが、それより4年前のこの戦時中の演奏も少しテンポは遅いが、どっしりとしたなかにもよく謳う、いかにもフルトヴェングラーらしさが出ている。


d0170835_2215938.jpgニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団 - New York Philharmonic Orchestra
レナード・バーンスタイン - Leonard Bernstein (指揮)
08:39、10:09、04:57、11:23 (35:08)
録音: 25 September 1961,  060.gif

これはバーンスタインとニューヨーク・フィルとの良き時代の演奏。43歳の若きバーンスタイン、意外と地に足の着いた冷静な演奏。今ではニューヨーク・フィルのレベルダウンは目を覆うもので当時を懐かしむ演奏でもある。(今は若干復活しつつあるが・・・)
by kirakuossan | 2015-09-16 22:48 | 名曲を訪ねて | Trackback

『名曲を訪ねて』第8話 ~交響曲「スコットランド」

2014年11月28日(金)

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d0170835_133242100.jpg『名曲を訪ねて』第8話 

交響曲第3番 イ短調 「スコットランド」
Op. 56

メンデルスゾーン




メンデルスゾーンの作品は旋律法、リズム、和声などの造型面では古典派の様式に依存したところが見られ、そのため古典主義的ロマン派作曲家と称されることがある。そのことがまた彼の音楽の魅力でもある。交響曲第3番イ短調「スコットランド」は、1830年から1842年にかけて作曲され、完成までに12年を要した。このシンフォニーは実は彼が書いた最後の交響曲であったが、第4番「イタリア」、第5番「宗教改革」が彼の死後に出版されたため、順序が逆転したものである。整理してみると第1番(1824年)→第5番(1830年)→第4番(1833年)→第2番(1840年)→第3番(1842年)となる。これら5曲の交響曲のうちで、とっつきの良い「イタリア」に最初魅かれるが、良く聴きこんでいくと、「讃歌」そして最後の「スコットランド」と作曲順に登りつめていくことに気づく。
「スコットランド」という標題は、メンデルゾーンがこの曲を着想したのが1829年のスコットランド旅行中だったことによるもので、なんとも表題からしても魅惑的でないか。しかし完成までに12年もかかったのは、スコットランドの翌年イタリアに訪れ、先に「イタリア」を書き上げた。さらにその後も指揮者活動が多忙となってしまい、結局、速筆の彼にしては珍しく長期間かかってしまった。でもその間の彼の経験の積み重ねが、この曲に反映され、完成度の高い傑作に仕上がったとも言えよう。この曲は、スコットランドの風物を標題音楽として描いたのではなく、あくまでもその情感を音楽で表現しようとしたものである。

I. Andante con moto - Allegro un poco agitato
II. Vivace non troppo
III. Adagio
IV. Allegro vivacissimo - Allegro maestoso assai

なんといっても特徴的なのは、第4楽章のコーダで全休止の後、新しい旋律が導入されてそれまでの曲調が一変する手法だ。いったん音楽が止まってすぐ、低弦が新しい旋律をイ長調で大きく歌いはじめ終結まで向う約2分あまり、何度聴いても心地よい旋律である。シューマンの第二番にも影響が見られるというが、僕はブラームスの第一番終楽章のAllegro non troppo, ma con brio を連想する。

演奏時間は約40分だが、これも最長45分から最短30分余りと15分も開きがあって千差万別である。その中で、「スコットランド」の名盤と呼ばれ続けているクレンペラーが長く45分の演奏である。長い順から並べてみよう。



d0170835_16101588.jpg18世紀オーケストラ
フランス・ブリュッヘン(指揮)
19:16、04:57、10:12、11:18(45:43)
録音: November 2012,

第一楽章は群を抜いて長いが怠惰な印象はしない。スッキリ仕上げた感じがするのはさすがブリュッヘンというところか。


d0170835_1452191.jpgニュー・フィルハーモニア管弦楽団
オットー・クレンペラー(指揮)
16:46、05:43、11:18、11:11(44:58)
録音:1960年

確かに名盤には違いないのだろうが、他の軽快なものも多く聴いて行くと、いかにもおっとりしていて古臭い感がしないでもない。全楽章がどれも遅いためメリハリに欠け”間延び感”が気になる。今まではそうも思わなかったのだが・・・でもオケのレベルはさすが。
演奏はこちらをクリック ⇒ 060.gif


d0170835_18513089.jpg072.gifライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
フランツ・コンヴィチュニー(指揮)
16:09、04:52、10:45、10:57(42:43)
録音:1962年

どちらかといえば地味な印象だが、コンヴィチュニーという人はホントに上手い人だ、オールマイティーな指揮者だと思う。オケも伸び伸びとやっている。この時分のゲヴァントハウスは良かった。
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d0170835_16264731.jpgシュトゥットガルト放送交響楽団
ロジャー・ノリントン(指揮)
16:50、04:29、09:45、11:09(42:13)
録音: 3, 7 September 2004, Beethovensaal, Liederhalle Stuttgart, Germany

澄みきった弦の音色、ここでもシュトゥットガルト放送響の水準の高さを十分に感じさせる。最終のコーダが若干弱い。


d0170835_1620577.jpg072.gifフィルハーモニア管弦楽団
ヴァルター・ヴェラー(指揮)
16:16、04:10、10:48、09:18(40:32)
録音: 6-7 February 1991, St. Jude's Church, Central Square, London, United Kingdom

フィルハーモニア管より確かな音色を導きだしている。出来栄えはとくに秀逸もので、名盤とされているクレンペラーなども凌ぐほどである。この指揮者の素晴らしいところは、隅々まで血が通った、愛情に溢れた音楽を奏でることである。「第九」と同様、この曲でもトップクラスにランクされるだろう。こんな指揮者がいたなんて・・・
演奏はこちらをクリック ⇒ 060.gif


d0170835_12372752.jpgザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団
クリストフ・ポッペン(指揮)
16:03、04:19、09:53、09:58(40:13)
録音: 14-15 May 2007, Saarlandischer Rundfunk, Funkhaus Halberg, Grosser Sendesaal, Germany

真摯に正面からとらえた解釈でストレートにさばく。だから常に素直な印象を与える。オケのレベルもきわめて高く、弦、管のバランスがよく、鳴らすところは徹底して鳴らす。少々強奏であっても上品な響きである。


d0170835_16333693.jpgヨーロッパ室内管弦楽団
ニコラウス・アーノンクール(指揮)
16:27、04:21、09:18、10:06(40:12)
録音:1991年

この人はドラマティックに演出するのが上手い。でもそれは感動するかどうかとは別。メンデルスゾーンって、もう少し繊細だろう?と言いたくなる、元気過ぎるのだわ。


d0170835_1640818.gif072.gifシュターツカペレ・ドレスデン
コリン・デイヴィス(指揮)
14:53、04:24、10:41、10:12(40:10)
録音:1997年

ドレスデン固有の豊かな響きが聴ける。ちょうどメンデルスゾーンの陰影の美しさ、とくにこの「スコットランド」の持つ曲のイメージにぴったりである。その良さをすべて上手く引き出したのはさすがにサー・コリン・デイヴィスの手腕である。
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d0170835_16515651.jpgフィルハーモニア管弦楽団
タマーシュ・ヴァーシャリ(指揮)
15:21、04:22、10:20、09:55(39:58)
録音:?

本業がピアニストだけに、情緒的に聴かせる。フィルハーモニア管はいい音出すね。最後のホルンが捻じれたような音を出すところ、生々しくてイイね(本当はミス?)


d0170835_16554291.jpgバーデン・バーデン南西ドイツ放送交響楽団
ハンス・ツェンダー(指揮)
16:24、04:41、09:29、09:19(39:53)
録音:2005年

この演奏には指揮者独自の世界がある。聴いている者にとって新鮮に聴こえる。でもかなり独断と偏見的要素が強い演奏、だから面白いのだ。オケも指揮者に付きあっている感じが微笑ましい。でもここまで思い切りやれれば指揮者冥利に尽きるよな。
演奏はこちらをクリック ⇒ 060.gif


d0170835_16595622.jpgベルゲン・フィルハーモニー管弦楽団
アンドリュー・リットン(指揮)
15:58、04:11、09:48、09:51(39:48)
録音: February 2007, Grieg Hall, Bergen, Norway

ベルゲン・フィルハーモニー管は「世界のオーケストラ」でも書いたが、ノルウェーの優れたオーケストラのひとつだ。リットンはこのオケの首席兼芸術顧問という立場にある。この演奏も手堅く、正調「スコットランド」を聴かせる。
演奏はこちらをクリック ⇒ 060.gif


d0170835_1734515.jpgマドリード交響楽団
ペーター・マーク(指揮)
14:07、04:32、10:17、10:45(39:41)
録音:1997年

マークはメンデルスゾーンを得意とするが、この曲は今一歩か。それにこうして聴き比べていくとどうしてもオケの力不足が出て、音のひ弱さが目立つようになる。仕方ないか・・・


d0170835_1781965.gifロチェスター・フィルハーモニー管弦楽団
デイヴィッド・ジンマン(指揮)
14:00、04:27、10:19、10:18(39:04)
録音:

軽快なタッチ、レーベルがBOXなので、ジンマンが相当に若い時の演奏だろう。音楽も若さが伝わってくる。このオケは初耳だ。ジンマンが74年~85年にかけて音楽監督についていた。ただ「スコットランド」の情緒はあまり伝わって来ない。


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イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団
パウル・クレツキ(指揮)
13:16、04:16、10:12、10:16(38:00)
録音: May 1954, Tel Aviv

まあ色んな演奏があるもんだ、といった典型。クレンペラーの対極をなす。「スコットランド」というより、途中で「イタリア」かと錯覚した。


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ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
クルト・マズア(指揮)
14:39、04:21、09:26、09:34(38:00)
録音:?

一見尤もらしいが、やはりマズアの悪い癖で”策”に溺れる。やっているうちに焦点が見えなくなる、何が表現したいのか解らない、だから感動しない。


d0170835_19502785.jpgロンドン交響楽団
ジョン・エリオット・ガーディナー(指揮)
15:02、04:11、08:56、09:39(37:48)
録音: 21 January 2014, The Barbican, London, United Kingdom

可もなく不可もなくの水準か。ただ最終楽章の盛り上がりはさすが。このクラスのオケならある程度の音楽は当然ながら出来るということ。


d0170835_19535681.jpgトンキュンストラー管弦楽団
アンドレス・オロスコ=エストラーダ(指揮)
13:17、04:28、10:07、09:54(37:46)
録音: 17, 20 February 2013, Goldener Saal, Musikverein, Vienna,

エストラーダは今年からヒューストン交響楽団の音楽監督に就任したコロンビア出身期待の新鋭37歳。まだ実績はないが、この演奏を聴くかぎり流麗で素直な音色を響かせる。内に秘めた情熱も見え隠れし今後期待できそうだ。


d0170835_1958579.jpgハンガリー国立管弦楽団
イヴァン・フィッシャー(指揮)
13:45、04:28、09:42、09:45(37:40)
録音:?

なるほど、これはまたこれでひとつの「スコットランド」ということ。全体を通して手堅い。しかも抑揚が利いていて聴きやすい。昔からハンガリー指揮者は優秀な人が多い。もう少し人気が出ても良さそうなのに・・・


d0170835_2064857.jpgハイデルベルク交響楽団
トーマス・ファイ(指揮)
14:13、04:24、08:51、08:33(36:01)
録音:2009年

少し”受け狙い”の匂いがしないでもないが、溌剌さは買える。モダン楽器を使ったピリオド系の演奏をする注目の指揮者らしいがもう50歳半ば、オケも全く聞いたことがなかった。管の音色も澄んでいて上々。こうしてNML で片っぱしから聴いていると新たな発見が多い。


d0170835_2015412.jpg
シカゴ交響楽団
アルトゥール・ロジンスキ(指揮)
12:29、03:56、08:21、08:03(32:49)
録音: 13 December 1947, Orchestra Hall, Chicago

第一楽章なんかさすがに時代遅れ、感傷に浸り過ぎる感じが鼻に付く。そうかと思えば第二楽章など、鼻歌を歌うように超スピードでやり過ごす。他の演奏と比べても断トツに速く、4分を切るのはこの演奏だけ。


d0170835_20204689.jpgNBC交響楽団
アルトゥーロ・トスカニーニ(指揮)
11:47、04:04、08:44、08:07(32:42)
録音: 5 April 1941, Studio 8H, New York

トスカニーニの「イタリア」は昔から超名盤。「スコットランド」はそこまでは行かないが、こと演奏にかけてはさすがという片鱗が随所に見られる。この指揮者の”聴かせ上手”には右に出るものもいない。これも感動するかどうかは別、あとは好みの問題だ。


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ロンドン・フィルハーモニー・プロムナード管弦楽団
エイドリアン・ボールト(指揮)
11:05、04:00、06:57、08:27(30:29)
録音: 1955, London

少し軽音楽タッチ、やはりここまで速いとどうしても奥行きはなくなる。とにかく最速の「スコットランド」ということ。演奏自体は悪くない。
by kirakuossan | 2014-11-28 13:11 | 名曲を訪ねて | Trackback

『名曲を訪ねて』第7話 ~交響曲第9番 ニ短調 Op.125「合唱付き」

2014年11月25日(火)
あと1週間もすれば今年も師走を迎えるが、年末といえば「第九」。年末気分にでも浸ろうと思えば、あちこちの演奏会場で繰り広げられるので、自分の好みに合ったものを聴きに行けば良いのだ。ところが、ディスクでは何を聴くかとなるとこれは、例のフルトヴェングラーとバイロイト祝祭管の1951年のモノ録音、クライマックスの超超速いスピードにオケが着いて行けずに、最後は崩壊して一気になだれ込んでいく、あのレコードが昔から最上の「第九」と言われ続けてきた。そしていつも不思議に思うことだが、皆が口を揃えて、これを第一位に挙げることである。はたしてホントにそうだろうか?「第九」のディスクは他の曲目と違ってあまりにも多いため、演奏の善し悪しが判断しずらず、とりあえずフルトヴェングラー&バイロイト盤をひな壇に掲げておいて、あとはお好きなものを!といった感じではないかと推察される。その証拠に、あとの優秀盤となると千差万別、総花状態に評価が分れ、収拾がつかない様相を呈している。そこでここは、一度、自分なりにも整理しておこうということになった。何せ30数枚以上のマイ・ライブラリーがあり、加えてNML でも数多くの演奏を聴くとなると相当の時間を要するので、ここはある程度の予備知識も踏まえながら、また”拾い聴き”しながらまとめてみた。
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『名曲を訪ねて』第7話 

交響曲第9番 ニ短調 Op.125「合唱付き」
ベートーヴェン


ベートーヴェンの9番目にして最後の交響曲、副題として「合唱付き」が付される。第4楽章は独唱および合唱を伴って演奏され、歌詞にはシラーの詩『歓喜に寄す』が用いられる。第4楽章の主題は『歓喜の歌』としても親しまれ、古典派以前のあらゆる音楽の集大成ともいえる総合性を備える。そして来るべきロマン派音楽への道しるべとなった記念碑的な大作である。


An die Freude

O Freunde, nicht diese Töne!
Sondern laßt uns angenehmere
anstimmen und freudenvollere.

「歓喜に寄す」

おお友よ、このような音ではない!
我々はもっと心地よい
もっと歓喜に満ち溢れる歌を歌おうではないか
(ベートーヴェン作詞)


ベートーヴェンがシラーの詞『歓喜に寄す』に感動し、曲をつけようと思い立ったのは、1792年のことである。当時22歳でまだ交響曲第1番も作曲していない時期であって、彼が長きにわたって構想を温めていたことがわかる。交響曲第7番から3年ほど経た1815年頃から作曲が開始され、さらに1817年、ロンドンのフィルハーモニック協会から交響曲の作曲の委嘱を受け、これをきっかけに本格的に作曲を開始したものと見られる。
当初、第4楽章は声楽を含まない器楽のみの編成とされる予定で、声楽を取り入れたものは別に作曲を予定していた『ドイツ交響曲』(交響曲第10番)に使用される予定だった。しかし結果として、交響曲を2つ作ることを諦めて2つの交響曲を統合し、現在の「第九」となった。歓喜の歌の旋律が作られたのは1822年頃のことで、当初作曲されていた第4楽章の旋律は、のちに弦楽四重奏曲第15番の第5楽章に流用された。
1824年に初稿が完成し、同年5月7日、ベートーヴェン立会いの下、ウィーンのケルントネル門劇場においてミサ・ソレムニスの「キリエ」「クレド」「アニュス・ディ」、「献堂式」序曲とともに初演された。指揮はミヒャエル・ウムラウフであった。彼自身は拍手も聞こえなかったため、聴衆の喝采に気がつかず、初演は失敗だったと思い、演奏後も聴衆の方を向くことができずにいると、見かねたアルト歌手のカロリーネ・ウンガーがベートーヴェンの手を取って聴衆の方を向かせ、はじめて拍手を見て、大成功であったことを知る逸話は有名である。


【演奏ききくらべ】

myライブラリー CD




d0170835_1374770.jpg072.gifベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
フェレンツ・フリッチャイ(指揮)
イルムガルト・ゼーフリート、モーリン・フォレスター、エルンスト・ヘフリガー、ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ
録音:1958年

夭折の大指揮者フリッチャイによるすでに語り尽くされた名盤と言われるが、新たに聴き直して、ホントさすがに堂々とした演奏だ。こうした片鱗からもフリッチャイが大指揮者であったことがうかがえる。それに声楽陣の顔ぶれが豪華だ。そしてもうひとつ感心するのは、史上初のステレオ録音による第九だったそうだが、驚くほどの高音質だということ。


d0170835_10441570.jpg072.gifスイス・ロマンド管弦楽団
エルネスト・アンセルメ(指揮)
ジョーン・サザーランド、ノーマ・プロクター、アントン・デルモータ、アルノルト・ヴァン・ミル
ブラッシュ合唱団、ヴォー国民協会青年合唱団

録音:1958年

アンセルメとロマンドのベートーヴェン?ピンとこない。 ところが期待せず聴いて皆が驚いた隠れ名盤で、知る人ぞ知る名演奏と話題になった。すっきりとした第九である。また終楽章の若々しい合唱と、サザーランドのソプラノが嬉しいではないか。


d0170835_1281335.jpg072.gifロンドン交響楽団
カルロ・マリア・ジュリーニ(指揮)
シーラ・アームストロング、アンナ・レイノルズ、ロバート・ティアー、ジョン・シャーリー=カーク
録音:1972年

まだ50代と若きジュリーニの落ち着いたテンポ設定によるスケールの大きなアプローチである。全曲聴いていて穴がない演奏。ただ最終楽章で男性合唱団のひとりが先に飛び出してしまう”珍演”もご愛嬌か。
演奏はこちらをクリック ⇒060.gif


d0170835_14473764.jpg072.gif 北ドイツ放送交響楽団
ギュンター・ヴァント(指揮)
イーディス・ウィーンズ、ヒルデガルト・ハルトヴィヒ、キース・ルイス、ローラント・ヘルマン
録音:1986年

一時ヴァントの名がよく挙がったが最近ではさほどでもなくなった。でもこのような演奏を聴いていると、やはり只者ではないといった匂いを漂わせる。速めのテンポと見通しのよいバランスが絶妙である。ヴァント74歳の録音、大器晩成であった彼の存在はたしかこの頃から徐々にクローズアップされてきた。


d0170835_10505646.jpg072.gif ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン
パーヴォ・ヤルヴィ(指揮)
クリスティーナ・エルツェ、ペトラ・ラング、クラウス・フローリアン・フォークト、マティアス・ゲルネ
録音:2008年

小気味良く肌さわりの良い、ある意味、新しい世界標準の「第九」と言えるかも。最終楽章のAllegro assai 低減が静かに「歓喜」の主題を奏しはじめ、ヴィオラからファゴットとコントラバス、さらに第1ヴァイオリンに渡され、最後にtutti で輝かしく歌い上げられるところが美しい。『レコ芸』の「名曲名盤500」でも第2位につける。


d0170835_1394966.jpgパリ音楽院管弦楽団
カール・シューリヒト(指揮)
ウィルマ・リップ、マルガ・ヘフゲン、マーレイ・ディッキー、ゴットロープ・フリック
録音:1958年

そつのない演奏に加え、注目すべき点は、シューリヒトの声楽の扱いの上手さ。彼は幼少の頃から声楽に親しんで来たこと、彼がベルリンではベルリン・フィル合唱団の指揮者であったことなどからもうなずける。


d0170835_1355229.jpgベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
アンドレ・クリュイタンス(指揮)
レ・ブロウェンスティーン、ケルステン・マイヤー、ニコライ・ゲッダ、フレデリック・ガスリー
録音:1960年

ベルリン・フィル初のベートーヴェン全集としても知られる録音からの第九。フランス音楽のスペシャリストと思われがちなクリュイタンスがなぜベルリン・フィル初のベートーヴェン全集を・・・上のシューリヒトとオケが”てれこ”ではないかとつい思ってしまうが、この演奏を聴けばその答えが出てくる。


d0170835_14332773.jpgフィルハーモニア管弦楽団
オットー・クレンペラー(指揮)
オーゼ・ノルドモ=レフベルイ、クリスタ・ルートヴィヒ、ワルデマール・クメント、ハンス・ホッター
録音:1958年

重厚な演奏、さすがクレンペラーの面目如実といったようなところか。ゆっくりだが力でぐいぐい推し進めていく、聴き手の方がややもすればくたびれてくる?


d0170835_11453652.jpgウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
レナード・バーンスタイン(指揮)
ギネス・ジョーンズ、ハンナ・シュヴァルツ、ルネ・コロ、クルト・モル
録音:1979年

バーンスタインにしては少し控えめのエネルギッシュなアプローチ? 1980年度レコード・アカデミー大賞受賞の名盤とされている。


d0170835_11582312.jpgフィラデルフィア管弦楽団
リッカルド・ムーティ(指揮)
シェリル・ステューダー、デロレス・ヅィーグラー、ペーター・ザイフェルト、ジェイムズ・モリス
録音:1988年

終始快い緊張を保ちながら進んでいくオーソドックスな演奏といえる。


d0170835_15491623.jpgクリーヴランド管弦楽団
ジョージ・セル(指揮)
アデーレ・アディソン、ジェーン・ホグソン、リチャード・ルイス、ドナルド・ベル
録音:1961年

可もなく不可もなく・・・良く言えば歯切れが良いし、悪く言えばもうひとつ感動が後に残らない? やはりセルはそうなんだなぁと再認識するような一枚。


d0170835_20565640.jpgライプツィヒ放送交響楽団
ヘルマン・アーベントロート(指揮)
Edith Laux-Heidenrich、ディアナ・エウストラーティ、Ludwig Suthaus、カール・パウル
録音:1951年

一時は何度も繰り返し聴いたディスク。半世紀以上前にしては高音質で、演奏は指揮者の風貌からは想像もつかない繊細な面も聴かせる好演である。当時から印象は白眉の第三楽章であった。


d0170835_15263171.jpgバイロイト祝祭管弦楽団
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指揮)
エリーザベト・シュヴァルツコップ、エリーザベト・ヘンゲン、ハンス・ホップ、オットー・エデルマン
録音:1951年

最後にやはり敬意を表して”永遠の名盤”を挙げないわけにはいかないだろう。
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NML



d0170835_1620118.jpg072.gifニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団
ブルーノ・ワルター(指揮)
フランシス・イーンド、マルタ・リプトン、デイヴィッド・ロイド、マック・ハレル
録音:1949年&1953年

宇野功芳氏も「円熟、円満のかぎり」と手放しで絶賛している「第九」。確かに仰る通りだと思います。やはりこの人には”音楽”があります。ただ最終楽章とその前の楽章の録音日があまりにも離れ過ぎているのが残念で。つまり後から差し替えたということだろう。
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d0170835_18353292.jpg072.gifバーミンガム市交響楽団
ワルター・ウェラー(指揮)
ジョセフィーヌ・バーストー、リンダ・フィニー、デイヴィッド・レンドル、ジョン・トムリンソン
録音:1988年

何故か、凄く聴きやすい演奏で何の抵抗もなく、すっと入ってくる。テンポ、リズム、少し速い目のスピード、音の強弱と出し入れ、すべて自分の好みに合っているのだろう。ウェラーはだいぶ以前にロイヤル・フィルハーモニー管の首席を務めたことぐらいで、どちらかといえば地味な指揮者だが、この第九、第三楽章の緩徐楽章など、管の危なっかしいところも一部にあったりするが、全体の流れは誠実で、神秘的な安らぎに満ち満ちている。声楽陣も誠実で気持いい。このディスクは掘り出し物である。。。
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d0170835_1929718.jpg072.gifオランダ交響楽団
ヤン・ヴィレム・デ・フリエンド(指揮)
アンネマリー・クレメール、ウィルケ・テ・ブルンメルストローテ、マルセル・レイヤン、Geert Smits
録音:2011年

デ・フリエンドのことは、「たいへんな指揮者を知ってしまった。」という記事を2013年12月10日に書いた。切れ味抜群、誠実な演奏、最上級の「第九」☆☆☆☆☆と。彼も期待の中堅指揮者のひとりだ。
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d0170835_1823223.jpgバイエルン放送交響楽団
マリス・ヤンソンス(指揮)
クリスティアーネ・カルク、藤村実穂子、ミヒャエル・シャーデ、ミヒャエル・ヴォッレ
録音:2012年

話題となった2012年11月から1か月あまりかけて行われた来日公演でのベートーヴェン全曲演奏会。洗練された第九と思う。声楽陣のレベルも高い。

d0170835_20211998.jpgスウェーデン室内管弦楽団
トマス・ダウスゴー(指揮)
インガー・ダム=イエンセン、リリ・パーシキヴィ、ラース・クリーヴマン、カール=マグヌス・フレドリクソン
録音:2008年

左右に配した両翼型の配置からなるモダン楽器による小編成オケ。でも決してこじんまりはせず、伸び伸びとした音色、軽快な独自の解釈である。今までにない新しいベートーヴェンである。


d0170835_17582850.jpgサンフランシスコ交響楽団
マイケル・ティルソン・トーマス(指揮)
エリン・ウォール、ケンドール・グラーデン、ウィリアム・バーデン、ネイサン・バーグ、サンフランシスコ合唱団
録音:2012年

演奏もさることながら、合唱団が抜群に上手い。マーラーでも実証済みとは言え、このサンフランシスコ合唱団はピカイチである。ソリスト陣も食われた感じ。
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d0170835_19573750.jpgラ・シャンブル・フィルハーモニック
エマニュエル・クリヴィヌ(指揮)
ジネアド・ミュレーン、キャロリン・マズア、ドミニク・ヴォルティッヒ、コンスタンティン・ヴォルフ
録音:2009年

ピリオド楽器オーケストラによるちょっと変わった面白い演奏。交響曲的なダイミックさと室内楽のもつ緻密なアンサンブルの両方を兼ね備えた音を出す。


d0170835_2126423.jpgシュトゥットガルト放送交響楽団
ロジャー・ノリントン(指揮)
カミラ・ニュールンド、イリス・ヴェルミリオン、ヨナス・カウフマン、フランツ=ヨゼフ・ゼーリヒ
録音:2002年

乗りの良い演奏、ノリントンとシュトゥットガルト放響の魅力ある組み合わせの一枚。最終楽章のバリトン独唱の直前の管楽器の鳴らし方は独特で面白い。
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d0170835_214825100.jpgミネソタ管弦楽団
オスモ・ヴァンスカ(指揮)
ヘレナ・ユントゥネン、カタリーナ・カルネウス、ダニエル・ノーマン、ニール・デイヴィス
録音:2006年

個性的でリズムの切れ味が良く、話題性のある新しい第九。


d0170835_17255811.jpgシュターツカペレ・ドレスデン
ヘルベルト・ブロムシュテット(指揮)
イーディス・ウィーンズ、ウテ・ヴァルター、ライナー・ゴルトベルク、カール=ハインツ・シュトリチェク
録音:1985年

テノールとバスをひとりでこなすというのも珍しいが、その男性歌手がこの不出来では、せっかくの演奏も台なしだ。ブロムシュテットが可哀そうだ。つられて女性歌手も何か拍子外れだ。


d0170835_16135836.jpgロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
ヴォルフガング・サヴァリッシュ(指揮)
マーガレット・プライス、マルヤナ・リポヴシェク、ペーター・ザイフェルト、ヤン=ヘンドリク・ローテリング
録音:1992年

中道の「第九」か。コンセルトヘボウということで採り上げたが・・・


d0170835_21144964.jpgハンガリー国立管弦楽団
ヤーノシュ・フェレンチク(指揮)
エヴァ・アンドル、マールタ・シルマイ、ジェルジ・コロンディ、シャーンドル・ショイオム=ナジ
録音:1974年

懐の深い、味わいのあるハンガリー版第九といったところか。フェレンチクが渋い。
by kirakuossan | 2014-11-25 08:37 | 名曲を訪ねて | Trackback

『名曲を訪ねて』第6話 ~ゴールドベルク変奏曲

2014年7月28日(月)
実は先日、園田高広のゴールドベルク変奏曲を聴いて、正直驚いた。これほどの境地に達した演奏を日本人ピアニスト園田が成し遂げていたとは・・・。J.S. バッハのゴルトベルク変奏曲 BWV 988といえばおおかたの相場は決まったようなもので、何はさておき必ずグレン・グールドが担ぎ出される。でもよくみるとこのバッハの代表作は他にも数多くの演奏家がディスクに残してはいるが、それは不思議なことでもあるのだが、どちらかといえば比較的若手やこれからのピアニストが多く採りあげていて、巨匠のディスクは意外と少ない。園田高広はこの曲を1994年、66歳、最も脂が乗った時に収録している。園田のピアノをまた今聴いているが、この演奏は、自然で、明るく、健康的なバッハを聴かせてくれる。他の名盤にも決してひけをとらない堂々とした名演である。
それではゴールドベルク変奏曲を聴き比べてみることにしよう。

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d0170835_18453725.jpg『名曲を訪ねて』第6話 

ゴルトベルク変奏曲 BWV 988
J.S. バッハ

アリアとその変奏曲からなる2段の手鍵盤のチェンバロのための練習曲 (BWV 988)。
全4巻からなる「クラヴィーア練習曲集」の第4巻であり、1742年に出版された。

【曲について】
32小節から成るアリアを最初と最後に配置し、その間にアリアの32音の低音主題に基づく30の変奏が展開され、全部で32曲となる。各曲は2部構成で前半後半をそれぞれリピートする。
20世紀初頭までは演奏されることは少なかったが、ワンダ・ランドフスカがモダンチェンバロによる演奏を録音し、続いて1956年、グレン・グールドが彼のソニーでのデビュー盤にこの曲を選び、録音したらたちまち世界的な大ヒットとなった。


【演奏ききくらべ】

CD



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グレン・グールド(ピアノ)
(1955年モノラル録音)
録音:1955年6月10,14-16日ニューヨーク、コロムビア30番街スタジオ


d0170835_190769.jpg072.gif
グレン・グールド(ピアノ)
(1981年ステレオ録音)
グールド最晩年の名盤とされ、コンサート活動を拒絶し、録音のみに専念したグールドが最後に到達した芸術観、バッハ観がここに集約されているという名盤中の名盤。

今こうして聴き比べてみると、グールドの演奏は他のピアニストにはない、極めて独創的な点がよく分る。善し悪しは別として、グールドの思うまま、気のままに繰りひろげられる個人芸の印象を持つ。55年は自分の思うまま、感じるままに伸びやかに弾いているのに対し、81年の方は、独創的とはいえ、感情の起伏や表現力において、より繊細で深化をした演奏に成熟している。ただどちらが良いかは意見の分かれるところだろうが、バッハ音楽の真価を知るうえでは、やはり後者を取るか。

d0170835_19301121.jpg072.gif
アンドレアス・シュタイアー (チェンバロ)
録音:2009年7月
細やかさとダイナミックさを併せ持つ、チェンバロの音色の魅力を如何なく発揮した演奏だ。


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ワンダ・ランドフスカ (チェンバロ)
録音:不明(1928?)
彼女は、この曲を世に出したとされるが、そもそもチェンバロを20世紀に復活させた立役者である。しかし、演奏自体はさすがに懐古趣味の領域である。


d0170835_2216136.jpgグスタフ・レオンハルト (チェンバロ)
録音:1964年
チェンバロの演奏では昔から定評のある一枚。




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エレーナ・バルシャイ(オルガン)
録音: 2007
珍しいオルガンの演奏盤。まるで違う音楽に聞える。


072.gif
d0170835_1938599.jpg園田高弘(ピアノ)
録音:16-18 March 1994, Woodstock Karuizawa Recording Studio, Japan

曲の出だしのアリア、3/4拍子の第1変奏を聴いていると、もうこの音色は天性からの優しさが感じとれる。素晴らしい演奏である。

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タチアーナ・ニコラーエワ (ピアノ)
録音:不明
節度のある均整のとれた、それでもってリズム感も良く聴き易い。



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ダニエル・バレンボイム (ピアノ)
録音:1989年10月
ブエノス・アイレスのテアトロ・コロンでおこなった、ステージ・デビュー40周年記念コンサートにおけるライヴ録音


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ルドルフ・ゼルキン(ピアノ)
録音: 1928
この時代にしては録音状態は鮮明。



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ジョアンナ・マグレガー(ピアノ)
録音:不明
可もなく不可もなくか。



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ソン・ミンス(ピアノ)
録音:不明
邪魔しない演奏。
by kirakuossan | 2014-07-28 17:44 | 名曲を訪ねて | Trackback

『名曲を訪ねて』第5話 ~「新世界より」

2014年5月1日(木)
ドヴォルザークが亡くなって110年、今日が命日にあたる。ドヴォルザークは後期ロマン派に位置する作曲家で、国民楽派が勃興した時代、ロシアのチャイコフスキー、ノルウェーのグリーグらとともに、同楽派を代表する存在であった。と同時に、スメタナとともにチェコ国民楽派(ボヘミア楽派)創始者の重要な一人としてもあげられる。
彼の作品は多岐にわたり、交響曲、管弦楽曲、さらには協奏曲といったオーケストラを伴った音楽に才能を発揮した。彼の音楽の最大の魅力は親しみやすく美しいメロディーにある。それは交響曲だけでなく室内楽や器楽曲、あるいは歌曲にも現れる。。なかでも交響曲「新世界より」の第二楽章のメロディーである唱歌「家路」や、ピアノ曲「ユーモレスク」はヴァイオリン曲に編曲されて世界中の人から愛されている。また交響曲第9番「新世界より」は、日本においてはよく愛好家に、ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」、シューベルトの交響曲第8番「未完成」と並んで「3大交響曲」と呼ばれることもある。


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d0170835_1940187.jpg『名曲を訪ねて』第5話 

交響曲第9番 ホ短調 「新世界より」 Op. 95
ドヴォルザーク


作曲:1892年着手、1893年完成。
初演:1893年12月16日ニューヨークのカーネギー・ホールにて、アントン・ザイドル指揮、ニューヨーク・フィルハーモニック協会管弦楽団により演奏され、大成功をおさめる。日本初演は1920年12月29日、東京帝国劇場において、山田耕筰指揮、日本楽劇協会によって行われた。

フルート 2(ピッコロ入替1)、オーボエ2(イングリッシュホルン入替1)、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット2、トロンボーン3、チューバ1、ティンパニ、トライアングル、シンバル、弦五部(第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス)

ここで面白いのは、シンバルはたった一度、最終楽章に”一打ち”あるだけで、しかも弱音だけに聞き漏らすことがある。



【曲について】

第1楽章 Adagio - Allegro molto
第1主題は10度にわたるホ短調の分散和音を駆け上がる動機と、これに木管楽器が応える動機からなっている。続く第2主題は黒人霊歌を思わせるような旋律で印象的である。
第2楽章 Largo
ここでの白眉は、イングリッシュホルンによる主部の主題で、さまざまな歌詞をつけて「家路」「遠き山に日は落ちて」などの愛唱歌に編曲されている。
第3楽章 Scherzo. Molto vivace
民謡風の主題と西欧風の主題があらわれる。トライアングルが出て来るのもこの楽章。
第4楽章 Allegro con fuoco
終結が静かに閉じられる、最後の一音はフェルマータの和音を次第に弱めて、ディミヌエンドしながら終えるという珍しい終り方だ。これを指揮者ストコフスキーは「新大陸に血のように赤い夕日が沈む」と評した。
第1楽章で提示される第1主題が全楽章でも使用され、全体の統一感を図っている。


【演奏ききくらべ】

CD

d0170835_21184937.jpg072.gif
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
イシュトヴァン・ケルテス(指揮)
録音:1961年

やはり同曲ではこの演奏が群を抜いて素晴らしい。若きケルテスの溌剌とした指揮にウィーン・フィルの気合がうまくかみ合った演奏、しかも古い録音ながらも音質も最上である。

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東京都交響楽団
ペーター・マーク(指揮)
録音:1986年3月31日 東京文化会館(第232回定期演奏会)

これもなかなかの名演である。柔らかい上品な音楽を聴かせてくれる。

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ブダペスト祝祭管弦楽団
イヴァン・フィッシャー(指揮)
録音:2000年ブダペスト

爽快で軽やかなドヴォルザークだ。


ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ラファエル・クーベリック(指揮)
録音:1972年ベルリン

いわゆる昔風の濃い演奏、反面メリハリも効いていて好演である。


ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
クラウス・テンシュテット(指揮)
録音:1980年

同じベルリン・フィルでも指揮者によってこれ程違うか、といった演奏で、重厚感に満ちているが、ちょっと僕のドヴォルザークではないんだなあ。



NML


d0170835_21442069.gif072.gif
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)
録音:1958

この演奏はなかなかの高水準。カラヤンの若さが前面に出ている。この時、カラヤンはベルリンフィルに君臨してまだ3年しかたっていない頃であるが、それは、単に溌溂としたといった面だけでなく、まだ”カラヤン臭”の染みついていない、新鮮味、謙虚さを感じ取ることが出来る。 ゆったりとした堂々とした立派な演奏である。これを聴けば、やはりカラヤンは凄かったんだな、と思わざるを得ない。



シュターツカペレ・ベルリン
オトマール・スイトナー(指揮)
録音:1977年

オーソドックスな演奏。


NBC交響楽団
アルトゥーロ・トスカニーニ(指揮)
録音:?

こんな演奏もあるんだなといった最右翼。トスカニーニならではのスピード感あふれる演奏で、ドヴォルザークがどうだの、新世界がどうだのといったことを忘れてしまう、ユニークな演奏。

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RIAS交響楽団
フェレンツ・フリッチャイ(指揮)
録音:1955, Berlin

志半ばで世を去ったこの人の指揮はいつも哲学がある。全曲をとおしてどことなく悲しさが漂うのは気のせいか、そんなドヴォルザークだ。


チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
ジョージ・セル(指揮)
録音:1937

セルがチェコを振った珍しい演奏。如何せん録音が古くて硬いが、本場チェコの音色が鳴っているような・・・よくわからない。


スロヴァキア・フィルハーモニー管弦楽団
リボル・ペシェク(指揮)
録音:?

最後に本場チェコものをもう一曲、このくすんだ音色は、ドレスデンでもない、ゲヴァントハウスでもない、やはりボヘミアのオケの音だろう。ペシェクもチェコでは実績のある指揮者だ。

by kirakuossan | 2014-05-01 18:32 | 名曲を訪ねて | Trackback

『名曲を訪ねて』第4話 ~J・シュトラウス二世/ワルツ「美しく青きドナウ」

2014年2月6日(木)

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ヨハン・シュトラウスII世 - Johann Strauss II (1825-1899)
ワルツ「美しく青きドナウ」Op.314

1866年の普墺戦争で大敗し、失望の底に沈んだウィーン市民を慰めるために作曲されるが、当初評判は良くなかった。しかし翌年のパリ万博の会場に於ける演奏で高い評価を受けたこと等から再評価され、「第二の国歌」とまでに慕われる曲となる。親友ブラームスは、「残念ながら、ヨハネス・ブラームスの作品にあらず」と言って、この曲を讃えた。

今回、NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)でいくつかの演奏を聴き比べて見て、あまりの違いに驚いた。曲の善し悪しもさることながら、同じ曲が解釈の違いや演奏形態でここまで変るとは・・・
 

☆シカゴ交響楽団/フリッツ・ライナー
(8:11)1957年
力強いが、ワルツというより行進曲風である。先ほど、フリッツ・ライナーの隠れ名盤と評したが、他の演奏と聴き比べると異質の部類に入る。

☆ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団/クレメンス・クラウス
(9:55)1954年
この曲のベスト盤という評価が昔からあって悪くはない。ただ今聴いてみて、少し古臭いか。それにかなり遅い演奏。

☆ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団/ウィリー・ボスコフスキー
(9:16)1958年
これも定評のある演奏だが、出だしの弱音は異常に抑え気味、表現はともかく男女の濃厚なダンスを少し連想させる。ちょっと鼻につく。

d0170835_23191218.jpgウィーン・フィルハーモニー管弦楽団/ヘルベルト・フォン・カラヤン
(9:28)1946年
ワルツのイメージより、如何にも”美しく青きドナウ”を連想させ、流れる川のイメージが目に浮かぶ。さすがカラヤンは上手いと思わせる。ウィーン・フィルを指揮した録音は、第二次世界大戦直後に演奏活動を停止されていた時期のもの。

☆NHK交響楽団/クルト・ヴェス
(9:58)1952年
ゆったりとした流れだが、全体に固く、重い。

d0170835_2339635.jpg072.gifシュターツカペレ・ドレスデン/オトマール・スイトナー
(10:15)1972年
これこそまさしくワルツを踊っている。自然の流れで、優雅に、華麗に舞う姿が目に浮かんで心地よい。演奏時間は最も長かったがそれを感じさせない。今夜聴いた中では一番よかった。さすが、職人肌のスイトナーだ。

☆シカゴ交響楽団/ダニエル・バレンボイム
(9:43)
今年のニューイヤーコンサートは知らない。この演奏は、ワルツの雰囲気が十分に伝わって上手いんだが、どこか外から見ていて、踊りの中に入らず、傍観しているようだ。

☆NBC交響楽団/アルトゥーロ・トスカニーニ
(8:20)1941年
曲の出し入れが極端で、やはりテンポが速い。トスカニーニには不向きでないか。
by kirakuossan | 2014-02-06 22:19 | 名曲を訪ねて | Trackback

『名曲を訪ねて』第3話 ~「皇帝」

2013年11月28日(木)
いままで、作曲家や演奏家については色んなカテゴリーを立ち上げて来たが、よく考えてみると、楽曲そのものによる系統立てがないことに気付いた。そこでさっそく『名曲を訪ねて』というカテゴリーを思いつきラインナップに加えたまではよいが、果してどの曲からやろうか、と思い悩んでいるうちに時間が経ってしまった。
昨日、ギーゼキングの戦時下のステレオ録音のディスクを聴いて、こんな素晴らしい演奏が、しかも新鮮なステレオ録音のディスクがあるのを知り愕然とし、よし!「皇帝」から始めてみようという気になった。

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『名曲を訪ねて』第3話

d0170835_10395076.jpgピアノ協奏曲第5番変ホ長調「皇帝」Op.73
ベートーヴェン

作曲:1808年着手、1809年完成。
初演:1811年11月28日ライプツィヒ・ゲヴァントハウス。ピアノ独奏、ヨハン・フリードリヒ・シュナイダー、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団。

【曲について】
急・緩・急の3楽章。第2楽章と第3楽章は続けて演奏される。
第1楽章 Allegro 変ホ長調
第2楽章 Adagio un poco mosso ロ長調
第3楽章 Rondo Allegro - Piu allgero 変ホ長調

「皇帝」と呼ばれるようになったのは、2つの説がある。曲想が、あたかも皇帝を連想させるからという説、まさに皇帝と呼ばれるのにふさわしい規模・内容であるからという説。


【演奏ききくらべ】

CD

072.gifアルトゥール・ルービンシュタイン(ピアノ)
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
ダニエル・バレンボイム(指揮)
録音:1975年3月10&11日、ロンドン、キングスウェイ・ホール

ルービンシュタイン85歳の演奏だが、テクニックの衰えは感じさせず、流麗なタッチを聴かせる。孫ほどの若きバレンボイムの指揮とも上手くかみ合い、僕にとって「皇帝」と言えば、まずこのディスクだ。


フリードリヒ・グルダ(ピアノ)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ホルスト・シュタイン(指揮)
録音:1970年6月 ウィーン、ゾフィエンザール

切れ味の鋭い、明晰な演奏。


☆アンドラーシュ・シフ(ピアノ)
ドレスデン・シュターツカペレ
ベルナルト・ハイティンク(指揮)
録音:1996年                                                                         

中庸な、オーソドックスな演奏。


NML

072.gifヴァルター・ギーゼキング(ピアノ)
録音:1945年1月23日、ベルリン

戦時下のステレオ録音とはとても信じられない鮮明な音質と、高度な演奏水準。


録音: 1970, Lausanne Festival, Switzerland

硬質な響きはミケランジェリの持ち味だが、ここでは良いほうに出ている。


ズービン・メータ(指揮)
録音: 1961, Vienna

ブランデルの卓越した指さばきが聴ける。とくに第一楽章の出だしは異常に早い。





d0170835_14280439.jpg他にバックハウスとイッセルシュテットの演奏の評判が高いので、CDを手に入れるべくHMVで今朝申し込んだ。観賞評は後日。






by kirakuossan | 2013-11-28 08:51 | 名曲を訪ねて | Trackback

『名曲を訪ねて』第2話 ~ブラームス/第1番

2013年8月25日(日)
d0170835_10183453.jpg

ヨハネス・ブラームス
交響曲第1番ハ短調作品68(1876年)

第一楽章の冒頭部は、ティンパニとファゴット、コントラバスの低音楽器に、ヴァイオリンとチェロの半音階的な旋律に木管とホルンやヴィオラの旋律が交錯して始まるが、これは完成までに21年の月日を費やした産みの苦しみを一気に爆発させるような印象深い序奏である。
ワルターにベーム、アンセルメやザンデルリンク、ケルテスは「正受不受」の精神で真っ向から受け止め突き進んでいく。ミュンシュやバルビローリ、あるいはバーンスタインやラインスドルフは重圧に押しつぶされまいとするそんな鬼気迫るものがある。またムーティは一見淡々と、ジュリーニなどはティンパニを上手に駆使しながら、しかも力強さも兼ねながら突き進んでいく。一方で、ヴァントやトスカニーニなんかは、その重圧部分を敢て避けるように急ぎ足で過ごしてしまう。

最も好きな最終楽章、序奏の第2部でハ長調に転じ、アルペンホルン風の朗々とした旋律とトロンボーン・ファゴットによるコラールが聞こえてくる。あの”クララ・シューマンへの愛”を表現した主題だ。このあたり色男カラヤンはさすがに上手い。ハイティンクもなかなか好いし、ゆったりのジュリーニ、ウィーンナーホルンが力強いバルビローリ、緩急の激しいフルトヴェングラー、さりげのムーティ、堂々としたケルテス、正調バーンスタイン、詠わせるワルター、思い切り引き伸ばすアンセルメ、通好みのラインスドルフ。

弦楽合奏が第1主題を演奏し始める。主部はハ長調の主要三和音のソナタ形式に基づくが、再現部の第1主題部に展開部を重ねたような独特の形式を持つ明瞭で、かつ誠実な思いのこみ上げる最も美しい旋律である。僕はここでいつも”鳥肌”を立てて聴くのを待ち受ける。その”鳥肌”さ加減で、その演奏の善し悪しが決まるようなところがある。”鳥肌”の凄さは、ミュンシュであり、ザンデルリンクであり、序奏を完全休止してから始めるカラヤンとバルビローリ、ラインスドルフであったり、さらにはケルテス、ハイティンク、ジュリーニ、バーンスタインらから感じ取れるものである。、



【感銘した演奏】
072.gifクルト・ザンデルリンク(指揮)ドレスデン・シュターツカペレ
(1973年10月18日厚生年金会館ライヴ)
072.gifクルト・ザンデルリンク(指揮)ドレスデン・シュターツカペレ
(DENON/1971年)
ザンデルリンクの指揮は重厚かつ雄渾、そして中庸のスピードで着実に進めて行く。ライヴの冒頭部分の迫力は当時FM放送で聴いたそのもので一生忘れない。最終楽章の序奏第2部のホルンなどまさにライヴならではの音だし、少し早目の第一主題は波に乗って清々しい。でもこれほど素晴らしいライヴですら、かなわない演奏がある。それは同じ組み合わせの71年ルカ教会での収録盤である。圧倒するほどの冒頭の主題に始まり、終始内から湧き起こるような威容をそなえ、最終楽章の序奏第2部や第一主題も安定した王道を行く超名盤である。僕にとってはこの2枚は甲乙つけがたく、揃ってこの曲のNO1演奏である。


072.gifイシュトヴァン・ケルテス(指揮)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
(DECCA/1973年)
全曲を通じて実に堂々とした演奏で、誠実さが伝わってくる。終曲なんか、力強く、充実感に満ちてまさに昇天する思いである。ケルテスは44歳にして不慮の事故で世を去るが、この演奏は遺作となった録音。天下のウィーン・フィルを従え、実に伸び伸びとした晴々とした指揮ぶりではないか。同じウィーン・フィルとの超名盤とされている「新世界」とのふたつのディスクは後世にも残る彼の遺産である。


【名演奏といわれるもの】
シャルル・ミュンシュ(指揮)パリ管弦楽団
(EMI/1968年)
押しも押されもせぬ名盤中の名盤である。何度聞いてもこのど迫力には圧倒され、第4楽章で”鳥肌”を立てるのである。

ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
(DG/1977年)
非の打ちどころがない演奏とはまさしくこのことで、第二楽章や最終楽章なんかのあの旋律の詠わせ方などカラヤンの独壇場である。

カール・ベーム(指揮)バイエルン放送交響楽団
(ORFEO/1969年)
ベームの壮年期の覇気ある演奏。1975年の東京ライヴも有名だが僕はそのディスクは持ち合わせていない。


こうして見るとmyライブラリーにはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団との演奏が圧倒的に多いのが分る。
フルトヴェングラー(1952)クリップス(1956)バルビローリ(?)ケルテス(1973)バーンスタイン(1981)など。
by kirakuossan | 2013-08-25 10:14 | 名曲を訪ねて | Trackback

『名曲を訪ねて』第1話 ~ブラームス/第2番

2012年10月22日(月)
d0170835_12362994.jpgヨハネス・ブラームス
交響曲第2番ニ長調作品73(1877年)

20年におよび構想に構想を練って作曲された重厚な第1交響曲に対して、対照的に伸びやかで快活な雰囲気を示す第2交響曲は僅か3か月あまりで仕上げられた。そこにはリラックスした気分が反映されているなかにも、構成的にも統一性が認められ実に味わい深い曲である。よく”ブラームスの『田園』交響曲」”とも呼ばれ、親しまれている。ソナタ形式で書かれた第1楽章の冒頭の基本動機となる低弦による音型、ホルンが牧歌的な第1主題を出し、木管がそれに応える、あの部分は何度聴いても聴き飽きしない。
第4楽章、基本動機に基づく第1主題が弦と木管、さらにはヴァイオリンとヴィオラが奏でる第2主題、いずれも素晴らしい。コーダに入りいよいよクライマックス、第2主題の動機が金管で繰り返されて高揚し、繰り返し繰り返し歓呼が訪れ、全曲が結ばれる。

【感銘した演奏】
072.gifジョン・バルビローリ(指揮)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
(EMI/録音:1967年)
d0170835_14311839.jpg
バルビローリのイメージからくるものは、少し控えめでロマンティックでソフトなムードの音楽を聴かせる一流半の指揮者というもの。実際に演奏に出会わしたことはないが、勝手に?そう決めつけているふしがある。廉価なブラームスの交響曲全集を買ったときから余計にそう思うようになった。ところがである、実はこの全集が想像を絶するほどの完成品の音楽なのだ。瑞々しく、しなやかに美しく流れる、真にロマンティックなブラームスそのものなのだ。とくに第2番は彼の指揮スタイルとピッタリあてはまり歴代最高の音楽を聴かせる。多分この演奏を凌ぐものはそうざらにはないと思う。たとえば同世代のシャルル・ミュンシュ(ボストン響)なんかを聴いてみると、凄く”重厚”な2番を聴かせる。重厚なのは1番であって、難産の1番を生み出したあとの次の曲は、あくまでも軽快に、リラックスしていなければいけない。明らかに気分が変わっているのだから・・・そういった面でもバルビローリのブラームス2番は程良い緊張感のうえに心地よい円熟味が息づく音楽だ。
バルビローリはこう評された「良質なワインのように歳を経るにつれて芳醇な味わいを醸し出した指揮者」と。

【名演奏といわれるもの】
レナード・バーンスタイン(指揮)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
(DG/1981年)
評「この演奏は有無を言わさず心の襞にグイグイ分け入ってきて甚大な感動を与えるのである」

クラウディオ・アバド(指揮)ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
(DG/1988年)
評「当時のBPOの持ち味を生かしながら、彼は自らの音楽を堂々と奏でている。この演奏を聴くとアバドが後継者(BPOの)に選ばれたことがよくわかる」

ピエール・モントゥー(指揮)ロンドン交響楽団
(Ph/1962年)
評「モントゥーはこの第2番がオハコだった。音楽への思いのたけをすべてぶちまけてしまったような濃密な、しかも完熟した名演である」
by kirakuossan | 2012-10-22 08:34 | 名曲を訪ねて | Trackback

信州の名峰蓼科山麓の女神湖近くの山荘"tutti”は標高1650mにある。これほどの高地にある別荘は日本でもそう多くはない。だから平地とは気温が10℃も違うのです。


by kirakuossan





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