2018年 03月 19日
所詮「あなたが好きな・・・」とあるから、単に自分の好みと合わないだけなのだ。 |
2018年3月19日(月)
今月号は「クラシック音楽ベストテン」と題した特集を組んでおり、読者アンケートの集計が大々的に掲載されている。3年に1度の大発表! ”あなたの一票は何位にランキングされましたか? ということだが、中身があまりにもお粗末なことと、そのランキングといったら、単なる人気投票に終始していて、本当にその演奏家たちが音楽的にレベルが高いかといえば疑問で、こちらの思いとは終始逆で、読むにつれ嫌になってくる。
月刊雑誌「音楽の友」の最新号を今回またamazonで購入、ネット注文した翌日には郵便ポストに投函されてくるので便利である。
と、ここまではいいとして、これからあとは小生の独断と偏見に満ちた発言となる。
たとえば、「あなたが好きな日本人ピアニストは?」というランキングがある。
①小山実稚恵975票
⓶内田光子725票
③辻井伸行554票
④小菅優466票
⑤仲道郁代460票
まあ内田光子は良いとしても、また小菅優はそこまで詳しくは聴いたこともないので正確に論評できないとしても、何であの大味なピアノの小山実稚恵が1位なのか?どうして辻井伸行の粗い弾き手が3位に入るのか? そして貧弱な響きの仲道郁代なども上位に上がっていて、はっきりいって、みな人気先行のピアニストばかりで、音楽的才能はとてもじゃないが上位にランクされる顔ぶれではない。
どうして、アリス紗良オットがベスト20位にも入っていないのか?萩原麻未が13位とはあまりにも低いではないか?
「あなたが好きな日本のオーケストラは?」のランキングなどはもっとひどい。
①NHK交響楽団1500票
⓶日本フィルハーモニー交響楽団656票
③東京交響楽団624票
④神奈川フィルハーモニー管弦楽団587票
⑤東京都交響楽団555票
あの演奏にムラのあるN響が断トツの1位、神奈川フィル?ってそんなに上手いのか?
驚いたことに日本のオーケストラで恐らく最も熱心で、水準からしても高いと思われる、読売日本交響楽団や東京フィルハーモニー交響楽団がこれらの後塵を拝しているとは信じがたい。
と、気負って偏見を述べてみたものの、よく考えてみると、「あなたが好きな・・・」とあるから、単に自分の好みと合わないだけなのだ。そう目くじらを立てることもないのである。
今月号で唯一よかった記事は、バッティストーニが大フィルを振った演奏会評ぐらいだ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
大阪フィルハーモニー交響楽団第515回定期演奏会
2月16日フェスティバルホール
アンデレア・バッティストーニ指揮
レスピーギ「交響詩《ローマの噴水》《ローマの祭り》《ローマの松》
イタリアの若獅子バッティストーニがレスピーギ「ローマ3部作」を振る。だから、お国ものだ。けれど、この夜の爽快な成果を「イタリア音楽はイタリア人指揮者で聴くに限るね」と思い込むのは早計だ。演奏の特質は、国籍でなく個々の資質にあるから。3部作いずれも整理が行き届いた秀逸の時間。拍から拍、打点から打点へ指揮棒の移動が速い指揮者を何人か思い浮かべつつ、これほどの速さは唯一無二。レスピーギの管弦楽法に颯爽の包丁さばきを入れるようだ。テンポは部分的に予測を裏切るスリル感もあるが全体で突飛な設定はない。総譜のページから読み切った音像と、現在この瞬間に向き合う楽団の音像との差異を感知する能力が並外れて鋭敏だ。しかもそれに溺れない。合奏精度は重箱の隅を突っつかず骨太。音量の対比も鮮明だ。《松》の頂点でも決して音に酔い潰れない。演奏全体を明晰に導き、知情の均衡が盤石。巨匠への道の地図を持つ青年の再登場が待たれる。(響敏也)
by kirakuossan
| 2018-03-19 21:05
| クラシック
|
Trackback