2018年 03月 11日
煌びやかさと野太い響きを併せ持つニューヨーク・フィル |
2018年3月11日(日)聴くのはあのバーンスタイン以来の44年ぶりのニューヨーク・フィルハーモニック。
ニューヨーク・フィルハーモニック2018日本ツアー:京都公演
野太い響きは健在であった。アメリカのオーケストラというとどちらかといえば煌びやかな印象を持つが、このオーケストラはその煌びやかさと、どこかロシアのオーケストラにも似たような意外にも土の香りがする。
ヨハン・ワーヘナール:序曲「シラノ・ド・ベルジュラック」op.23
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 op.64
ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」
[指揮]ヤープ・ヴァン・ズヴェーデン(ニューヨーク・フィルハーモニック次期音楽監督)
[ヴァイオリン]五嶋 龍
指揮者のズヴェーデンは今年の9月から正式に音楽監督に就く、その直前の日本ツアー、今日が初日。来日してさっそくの演奏会、1時間ほど前からほぼ全員が舞台に上がり練習や音合わせに余念がなかった。このあたりの明け透け感がいかにもアメリカのオーケストラらしいところか。
五嶋 龍はたしか今日が2度目だが、通俗的名曲のメンデルスゾーンなので正直あまり期待してはいなかったが、それが感動的な名演奏であった。感動的というよりもっと適格な表現をすれば、”聴き惚れた”とでも言おうか、メンデルスゾーンのコンチェルトが新鮮に耳を捉えた。言うまでもなくヴァイオリニスト五嶋みどりの弟だがもう29歳になる。それにこの人のヴァイオリンは垢抜けしている。日本人らしからぬ響きがするのは、恐らく彼がニューヨーク出身で、ハーバード大学物理学科卒業、生粋のアメリカ人的な要素のためだろう。
オランダ人指揮者ズヴェーデンは風貌からしてどんなに大男かと想像していたら、がっしりとした体格だが意外と背は低かった。終始腰のあたりの高さで流麗なタクトを振る。「春の祭典」は好演で、アンサンブルに長け、金管の響きは、まさに”ロシア風”な錯覚にとらわれた。
京都コンサートホールの3階正面奥で聴いたが、響きとしては申し分ない。同じ3階席ならフェスティバルホールやびわ湖ホールよりここの方が上である。
by kirakuossan
| 2018-03-11 19:07
| クラシック
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