2017年 08月 24日
歴史上もっとも傑出したテナー ヴンダーリヒ |
2017年8月24日(木)
シューベルト:
テノール歌手と言えばいの一番にルチアーノ・パヴァロッティ(1935~2007)、そしてプラシド・ドミンゴ(1941~)やホセ・カレーラス(1946~)を思い浮かべるが、もうひと昔前のファンなら、マリオ・デル=モナコ(1915~1982)ということになるのだろう。ところが実はモナコとドミンゴやパヴァロッティの間にもうひとりの偉大なテノール歌手がいた。
ドイツ人歌手のフリッツ・ヴンダーリヒ(1930~1966)である。彼は最初バイエルン州立歌劇場で歌っていたが、やがて1962年からはウィーン国立歌劇場と客演契約を交わし、1963年からは座付き歌手となった。30歳代半ばを迎えようとする絶頂期に、悲運にも友人の別荘の階段から転落し、帰らぬ人となった。36歳の若さであった。シューベルト『美しき水車小屋の娘』のスタジオ録音を終え、そのレコード発売を目前にしての出来事であった。よほどこの曲を好んでいたのだろう、それまでに1957年8月、1959年5月と2度、同じピアニストのクルト=ハインツ・シュトルツェの伴奏で録音しておりこれが3度目であった。ほかに『冬の旅』や『白鳥の歌』を残さずに・・・惜しくもこれが遺作となってしまった。彼の甘く澄んだ歌声はパヴァロッティに言わせれば、「歴史上もっとも傑出したテナー」ということになる。
ところで先日、小笠原さんから頂戴したレコードは最初の1957年録音のもの。
シューベルト:
フリッツ・ウンダーリッヒ - Fritz Wunderlich (テノール)
クルト=ハインツ・シュトルツェ - Kurt-Heinz Stolze (ピアノ)
(録音: 12 and 15 August 1957, Hotel Esplanade, Berlin)
<遺作盤>
美しき水車小屋の娘 Op. 25, D. 795フリッツ・ウンダーリッヒ - Fritz Wunderlich (テノール)
フーベルト・ギーゼン - Hubert Giesen (ピアノ)
(録音: July 1966, Plenarsaal Der Akademie Der Wissenschaften, Munchen, Germany)
by kirakuossan
| 2017-08-24 20:59
| クラシック
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