ホンマ!気楽おっさんの蓼科偶感

「文学温泉紀行」準備編②

2017年2月21日(火)

文学温泉紀行の下準備として、各小説家たちが足を運んだ温泉をまず調べることにした。参考資料は筑摩書房刊『日本文学全集』全70巻で、各巻の巻末にある「年譜」をひとりひとり調べ上げた。ただ書き手によって違っていて、ほとんどが作品名の羅列に終わっているものもあれば、事細かに作品以外の出来事にも触れているのもあったりと、様々だが大いに参考になった。
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夏目漱石(1867~1916)
1911年(45歳)直江津、諏訪を夫人同伴で旅行。
1912年(46歳)中村是公と塩原、日光、軽井沢、上林温泉に旅行。

幸田露伴(1867~1947)
1890年(24歳)関西、中国、四国、九州を旅行。
1892年(26歳)奥州から越後、越中、越前、丹後を旅する。
1893年(27歳)月ヶ瀬の梅を鑑賞。
1914年(48歳)修善寺温泉
1923年(57歳)浅間山麓に池西庵を建てる。
1924年(58歳)松本、上高地を旅する。

尾崎紅葉(1868~1903)
1889年(23歳)巌谷小波と湯河原に遊ぶ。
1899年(33歳)赤倉、佐渡に旅する。
1901年(35歳)修善寺温泉
1902年(36歳)成東鉱泉で療養。

徳富蘆花(1868~1927)
1898年(31歳)妻とともに伊香保温泉。
1899年(32歳)熱海温泉
1903年(36歳)北海道旅行。
1904年(37歳)妻とともに修善寺温泉。
1905年(38歳)九州旅行。
1917年(50歳)伊香保温泉
1918年(51歳)岡山、瀬戸内海、愛媛を旅行。
1921年(54歳)伊豆長岡温泉
1926年(59歳)勝浦温泉にて療養。

徳田秋声(1872~1943)
1902年(32歳)別府温泉

島崎藤村(1872~1943)
1893年(22歳)関西に漂泊(石山寺など)
1909年(38歳)伊豆旅行。
1928年(57歳)信州飯田方面旅行。

田山花袋(1872~1930)
1906年(35歳)福山、府中、三次から出雲へ旅行。
1923年(52歳)石見、出雲、隠岐に遊ぶ。7月東北を旅行。

泉鏡花(1873~1939)
1932年(60歳)熱海温泉水口園。

島木赤彦(1876~1926)
1919年(44歳)諏訪山浦巌温泉(親湯温泉)に遊ぶ。
1926年(51歳)鮎川温泉(群馬)にて療養。

永井荷風(1879~1959)
1927年(49歳)軽井沢で避暑。
1945年(67歳)明石をへて岡山へ。

正宗白鳥(1879~1962)
1920年(42歳)5月大磯の台町に居を構える。11月に大磯の南本町に転居。
1940年(62歳)軽井沢に山荘を建築。
1944年(67歳)軽井沢に疎開。

斎藤茂吉(1882~1953)
1933年(52歳)坂本、幻住庵、石山を経て、伊豆嵯峨沢温泉に。
1934年(53歳)湯抱温泉(島根)柿本人麻呂の終焉の地の調査。
1935年(54歳)夏、箱根強羅温泉の山荘に籠る。
1936年(55歳)木曽福島、王滝、白骨温泉に遊ぶ。
1939年(58歳)強羅温泉の山荘で執筆。
1943年(62歳)強羅温泉の山荘で執筆。

北原白秋(1885~1942)
1907年(23歳)九州旅行
1913年(29歳)三浦三崎の商人宿で2週間滞在。
1921年(37歳)信州星野温泉、秋、伊豆吉奈に遊ぶ。
1923年(39歳)別所温泉、追分に遊ぶ。
1925年(41歳)北海道旅行。
1927年(43歳)大山、木曽川、恵那峡、養老、長良川を旅行。
1928年(44歳)別府・湯布院温泉。
1934年(50歳)那須温泉、8月白浜温泉。
1935年(51歳)妻子と伊豆湯ヶ島温泉。11月霧ケ峰に遊ぶ。
1937年(53歳)6月に越後湯沢温泉、10月伊豆長岡温泉
1938年(54歳)東北旅行(松島、平泉、花巻)

若山牧水(1885~1928)
1912年(28歳)3月信州各地を旅行。

谷崎潤一郎(1886~1965)
1923年(38歳)箱根で関東大震災に遭う。
1944年(59歳)熱海に疎開。
1945年(60歳)岡山勝山に疎開。
1952年(67歳)熱海温泉で療養。
1954年(69歳)熱海伊豆山鳴澤(雪後庵)

萩原朔太郎(1886~1942)
1922年(37歳)湯ヶ島温泉
1923年(38歳)伊香保温泉滞在の谷崎潤一郎を訪ねる。
1926年(41歳)伊豆を旅する。
1927年(42歳)湯ヶ島温泉に滞在。
1937年(51歳)磯部温泉
1938年(53歳)上州、伊豆を長期旅する。7月から軽井沢。
1941年(56歳)伊香保温泉に滞在。

葛西善蔵(1887~1928)
1919年(32歳)別所温泉大島屋に遊ぶ。
1924年(37歳)湯元温泉板屋(日光)
1926年(39歳)信州へ旅行。

久保田万太郎(1889~1963)
1936年(47歳)北海道、青森を紀行。
1940年(51歳)小諸から諏訪へ回る。
1960年(71歳)信州高遠にゆく。

室生犀星(1889~1962)
1923年(34歳)8月軽井沢つるや旅館に滞在。
1924年(35歳)8月軽井沢つるや旅館に滞在。
1925年(36歳)8月軽井沢つるや旅館に滞在。
1931年(42歳)軽井沢に別荘を建築。
1944年(55歳)軽井沢に疎開。

広津和郎(1891~1968)
1915年(24歳)宇野浩二と三保の松原で3か月滞在。
1919年(28歳)渋温泉
1927年(36歳)伊豆湯ヶ島に遊ぶ。
1952年(61歳)熱海に居を持つ。

宇野浩二(1891~1961)
1920年(29歳)下諏訪温泉
1928年(37歳)箱根塔ノ沢温泉に滞在。
1942年(51歳)上高地の温泉ホテルに滞在。
1961年(70歳)5月湯河原温泉に数日滞在。

芥川龍之介(1892~1927)
1923年(32歳)湯河原温泉で湯治。
1926年(35歳)湯河原温泉に療養で滞在。
軽井沢つるや旅館で執筆。

佐藤春夫(1892~1964)
1945年(54歳)長野県北佐久郡平根村に疎開。
1951年(60歳)夫人と十和田湖を旅行。
1952年(61歳)高村光太郎と十和田湖に遊ぶ。

川端康成(1899~1972)
1918年(20歳)湯ヶ島温泉(湯本館)
1925年(27歳)湯ヶ島温泉に長期滞在。翌年「伊豆の踊子」を発表。
1927年(29歳)熱海の貸別荘に移り住む。
1936年(38歳)神津牧場、軽井沢に滞在。翌年も軽井沢、戸隠。
1952年(54歳)秋、別府温泉
1953年(55歳)軽井沢に10日間滞在。

三好達治(1900~1964)
1927年(27歳)伊豆湯ヶ島温泉に滞在。
1930年(30歳)白骨温泉に滞在。
1931年(31歳)軽井沢を旅行。
1933年(33歳)志賀高原発哺温泉の天狗湯に長期滞在。冬、上林温泉「せきや」で療養。
1952年(52歳)河上徹太郎らと山口旅行。

梶井基次郎(1901~1932)
1921年(21歳)白浜温泉で療養。
1925年(25歳)12月大津で文芸講演会、その夜大津泊。
1926年(26歳)静岡湯ヶ島温泉にて療養。

堀辰雄(1904~1953)
1928年(25歳)4月湯河原温泉で療養、8月軽井沢に滞在。
1929年(26歳)伊豆湯ヶ島温泉に遊ぶ。
1930年(27歳)軽井沢に滞在。
1934年(31歳)信濃追分の油屋旅館で執筆。

井上靖(1907~1991)
1957年(50歳)頻繁に穂高界隈に行く。
1958年(51歳)下北半島を旅行、7月穂高に登る。
1962年(55歳)軽井沢ですごす。

太宰治(1909~1948)
1936年(28歳)8月谷川温泉にて療養。11月熱海温泉で1か月滞在。
1937年(29歳)水上温泉で小山初代と心中を図る。
1939年(31歳)5月上諏訪温泉、蓼科に遊ぶ。6月修善寺温泉。
1940年(32歳)伊豆湯ケ野に滞在、7月谷津温泉に井伏鱒二を訪ね水害に合う。
1942年(34歳)湯村温泉(甲府)
1943年(35歳)湯村温泉滞在。
1944年(36歳)熱海山王ホテルに籠る。5月津軽行き。

中島敦(1909~1942)
1935年(27歳)7月白馬岳に登り、御殿場で1か月滞在。
1938年(30歳)渋川温泉、地獄谷を経て志賀高原に。

織田作之助(1913~1947)
1934年(21歳)白浜温泉、小豆島で白崎礼三とともに療養。

梅崎春生(1915~1965)
1956年(41歳)蓼科高原に別荘を新築。





ところが意外に山陰、山陽の温泉は出てこなかった。やはり小説家たちは鎌倉や東京など関東圏に居住する人が多く、そのほとんどが、箱根や伊豆、湯河原といった近場が主であった。そしてこれは温泉ではないが、軽井沢との関係を持つ作家が圧倒的に多かった。
調べていて気付いたのは、その小説家の性格や好み、もっと大げさに言えば生き方のスタイルが何となく見えてくることだった。これはこれでまたたいへん面白くはあった。押しなべて見るに、詩人は、小説家に比べてよく各地へ旅する傾向にあった。題材を求めるにはやはり旅先が最適なのだろう。
そして、~に遊ぶ。というのがあるかと思えば、片方では、20歳そこそこで、~に療養。というのもあって、一口に温泉と言っても、時代の流れや、ひとそれぞれ悲喜こもごもな事情も感じとれる。
なかに上林温泉という名が散見された。志賀直哉だけでなく、漱石も、三好達治もそれぞれ訪れたようである。渋温泉はとくに有名であるが、その奥に上林温泉がある。これは一度訪れる価値がある。
北原白秋や徳富蘆花、萩原朔太郎、太宰治などは旅好きであったようだが、なかでも蘆花はよく夫人と伴って旅しており、微笑ましい。
ところで、幸田露伴、徳富蘆花、田山花袋、永井荷風らが訪れた先では、恐らくその地の温泉に入っているはずで、これらはまた個別に調べることになりそうだ。

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by kirakuossan | 2017-02-21 16:50 | 文学温泉紀行 | Trackback
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信州の名峰蓼科山麓の女神湖近くの山荘"tutti”は標高1650mにある。これほどの高地にある別荘は日本でもそう多くはない。だから平地とは気温が10℃も違うのです。


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