2016年 10月 21日
続・指揮者100選☆1 シェルヘン |
2016年10月21日(金)
「指揮者の仕事に特有のことといえば、それは直観により形作りながら、批判する眼で観察することにある。だから指揮者の身振りにも二重の役目がある。芸術作品を表現することと、オーケストラを導くこと、である。だがオーケストラを導くというのは、つまり、油断なく見張っていて直すこと、準備していて奏者の仕事をやり易くしてやること、演奏中に失敗を取り戻すこと、間違いの発生を予防したり阻止したりすること、である。オーケストラのいわば極度に醒めた良心といえる指揮者は、じっと見守り、支え、助ける、のである。完全に作品に精通して、以上に述べたことが思いのままにできるときにはじめて、その演奏はまったく楽々と行なわれるようにみえる」
また新たに指揮者を綴っていきたい。題して『続・指揮者100選』である。上の言葉は指揮者ヘルマン・シェルヘンが著した『指揮者の奥義』からの一節である。
ヘルマン・シェルヘン(Hermann Scherchen、1891~1966)は、ドイツ出身の指揮者であり、作曲家、教育者そして現代音楽の推進者としても知られた。最初はベルリンフィルのヴィオラ奏者であったが、20歳のときにシェーンベルクとともに演奏旅行に出かけ、そこで指揮を覚えた。彼が現代音楽を知るきっかけとなったのはこんな経緯によるものであろう。また、現代音楽と言えばスイスのグラヴェサーノにある山荘に電子音楽のスタジオを設けたりして常に良き理解者であったが、どちらかといえば彼の振るバッハやヘンデル、あるいはハイドンの演奏に人気があったのも面白い。
☆演奏スタイルは・・・
「古典から現代にかけての幅広いレパートリーに、それぞれ独自の視点で解釈を試み、噴き上がるような熱さと知的な冷静さがせめぎあうスリリングな演奏に反映させました」とあるのはタワーレコードのキャッチコピーだが、もともとシェルヘンといえば奇抜な解釈による演奏を行うこともあって奇異な指揮者というイメージが定着しているが、多くを聴いたわけではないからはっきりとしたことは言えないが僕にはそうは思えない。とくに得意としたベートーヴェンの「田園」(フランス放送管弦楽団) なんかを聴いてみると、きわめてオーソドックスな演奏である。ただ確かに旧来の古臭さはない、そんなところが当時は斬新とされ、奇抜に聴こえたのかもしれない。
☆録音は・・・
ウェストミンスター・レーベルに膨大な録音が残された。今年は彼の没50年ということになるが、亡くなる前年にルガノ放送管弦楽団とベートーヴェン全集をライヴ収録。実はこれが演奏中の”唸り”、”叫び”音が凄いらしい。これにつられて楽員たちも異様に燃え盛ったようだ。
☆私見・・・
ARIOSO レーベルのルガノとのベートーヴェンライヴ、機会があれば是非聴いてみたいものだ。
☆Myライブラリーより・・・
廉価盤全集「20世紀の偉大なマエストロ」の中に1枚保有している程度でほとんど持ち合わせがない。エクセルでは他にフルニエとのドヴォルザークのコンチェルトが挙がっているが、今手元には見当たらない。で、NMLで「20世紀の偉大な指揮者たち」からハイドンを掲載。
ハイドン:
交響曲第100番 ト長調 「軍隊」 Hob.I:100
ウィーン国立歌劇場管弦楽団
ヘルマン・シェルヘン(指揮)
録音: 1958
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「指揮者の仕事に特有のことといえば、それは直観により形作りながら、批判する眼で観察することにある。だから指揮者の身振りにも二重の役目がある。芸術作品を表現することと、オーケストラを導くこと、である。だがオーケストラを導くというのは、つまり、油断なく見張っていて直すこと、準備していて奏者の仕事をやり易くしてやること、演奏中に失敗を取り戻すこと、間違いの発生を予防したり阻止したりすること、である。オーケストラのいわば極度に醒めた良心といえる指揮者は、じっと見守り、支え、助ける、のである。完全に作品に精通して、以上に述べたことが思いのままにできるときにはじめて、その演奏はまったく楽々と行なわれるようにみえる」
また新たに指揮者を綴っていきたい。題して『続・指揮者100選』である。上の言葉は指揮者ヘルマン・シェルヘンが著した『指揮者の奥義』からの一節である。
ヘルマン・シェルヘン(Hermann Scherchen、1891~1966)は、ドイツ出身の指揮者であり、作曲家、教育者そして現代音楽の推進者としても知られた。最初はベルリンフィルのヴィオラ奏者であったが、20歳のときにシェーンベルクとともに演奏旅行に出かけ、そこで指揮を覚えた。彼が現代音楽を知るきっかけとなったのはこんな経緯によるものであろう。また、現代音楽と言えばスイスのグラヴェサーノにある山荘に電子音楽のスタジオを設けたりして常に良き理解者であったが、どちらかといえば彼の振るバッハやヘンデル、あるいはハイドンの演奏に人気があったのも面白い。
☆演奏スタイルは・・・
「古典から現代にかけての幅広いレパートリーに、それぞれ独自の視点で解釈を試み、噴き上がるような熱さと知的な冷静さがせめぎあうスリリングな演奏に反映させました」とあるのはタワーレコードのキャッチコピーだが、もともとシェルヘンといえば奇抜な解釈による演奏を行うこともあって奇異な指揮者というイメージが定着しているが、多くを聴いたわけではないからはっきりとしたことは言えないが僕にはそうは思えない。とくに得意としたベートーヴェンの「田園」(フランス放送管弦楽団) なんかを聴いてみると、きわめてオーソドックスな演奏である。ただ確かに旧来の古臭さはない、そんなところが当時は斬新とされ、奇抜に聴こえたのかもしれない。
☆録音は・・・
ウェストミンスター・レーベルに膨大な録音が残された。今年は彼の没50年ということになるが、亡くなる前年にルガノ放送管弦楽団とベートーヴェン全集をライヴ収録。実はこれが演奏中の”唸り”、”叫び”音が凄いらしい。これにつられて楽員たちも異様に燃え盛ったようだ。
☆私見・・・
ARIOSO レーベルのルガノとのベートーヴェンライヴ、機会があれば是非聴いてみたいものだ。
☆Myライブラリーより・・・
廉価盤全集「20世紀の偉大なマエストロ」の中に1枚保有している程度でほとんど持ち合わせがない。エクセルでは他にフルニエとのドヴォルザークのコンチェルトが挙がっているが、今手元には見当たらない。で、NMLで「20世紀の偉大な指揮者たち」からハイドンを掲載。
ハイドン:
交響曲第100番 ト長調 「軍隊」 Hob.I:100
ウィーン国立歌劇場管弦楽団
ヘルマン・シェルヘン(指揮)
録音: 1958
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by kirakuossan
| 2016-10-21 07:03
| 続・指揮者100選
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