2016年 05月 29日
☆秀盤 -30 ケンプは簡潔な正規版 |
2016年5月29日(日)
ヴィルヘルム・ケンプのゴルトベルク変奏曲を聴いてあらためてとても感動した。それはバッハのこの名曲に対してであり、もうひとつはケンプのピアノそのものである。この曲はグレン・グールドのピアノでないといけないようなことになってしまっているが、このケンプを聴くと、「そうでもないよな」という気持ちになる。グールドの方が、どちらかといえば異質であり、ケンプの方が簡潔で正規版といったところだろう。それほどに、奇をてらうところは一切なく、音楽のありのままの姿を、ただ自然に伸び伸びと弾く、そこには別段高度な技巧も必要ではないし(本当は必要なんだろうけれど)、場合によってはミスタッチでさえも容認できる。作品の解釈は忠実に再現するが、ただ技巧だけには走らない、そこには常に温かい音楽性が存在し、聴くものにこの上ない安らぎを与えてくれる。
ケンプはベートーヴェン弾きという印象が強いが、シューベルトにしてもモーツァルトにしても、あるいはシューマンやブラームス、そしてこのバッハにしてもどれもケンプならではのピアニズムが如何なく発揮されるのである。
バッハ:
ゴルトベルク変奏曲 BWV 988
ヴィルヘルム・ケンプ - Wilhelm Kempff (ピアノ)
録音: July 1969, Beethovensaal, Hannover, Germany
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ヴィルヘルム・ケンプのゴルトベルク変奏曲を聴いてあらためてとても感動した。それはバッハのこの名曲に対してであり、もうひとつはケンプのピアノそのものである。この曲はグレン・グールドのピアノでないといけないようなことになってしまっているが、このケンプを聴くと、「そうでもないよな」という気持ちになる。グールドの方が、どちらかといえば異質であり、ケンプの方が簡潔で正規版といったところだろう。それほどに、奇をてらうところは一切なく、音楽のありのままの姿を、ただ自然に伸び伸びと弾く、そこには別段高度な技巧も必要ではないし(本当は必要なんだろうけれど)、場合によってはミスタッチでさえも容認できる。作品の解釈は忠実に再現するが、ただ技巧だけには走らない、そこには常に温かい音楽性が存在し、聴くものにこの上ない安らぎを与えてくれる。
ケンプはベートーヴェン弾きという印象が強いが、シューベルトにしてもモーツァルトにしても、あるいはシューマンやブラームス、そしてこのバッハにしてもどれもケンプならではのピアニズムが如何なく発揮されるのである。
バッハ:
ゴルトベルク変奏曲 BWV 988
ヴィルヘルム・ケンプ - Wilhelm Kempff (ピアノ)
録音: July 1969, Beethovensaal, Hannover, Germany
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by kirakuossan
| 2016-05-29 17:40
| 注目盤◎
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