2016年 02月 11日
指揮者100選☆73 クナッパーツブッシュ |
2016年2月11日(木)
ハンス・クナッパーツブッシュ(Hans Knappertsbusch,ドイツ 1888~1965)はナチ嫌い、練習嫌い、ヴィーラント嫌いで通った大指揮者。練習嫌いで有名なウィーン・フィルハーモニーからは歓迎されたという。本番で楽員がミスると「それみろ、練習するからだ!」と怒鳴ったというが、実際はよく練習を積んだ後での話で、本番での音楽自由さや即興性を重視する考え方が偏った捉え方をされ独り歩きしたようだ。ワーグナーの息子でバイロイト音楽祭を主宰した演出家ヴィーラント・ワーグナーのことは本当に終生嫌っていた。ワーグナーの音楽を好んで指揮をしたが、行き過ぎた演出がオペラ解釈の領域に踏み込むことに関しては大反対であった。ナチ嫌いも真実で、逆にナチであったと誤解されるが、これもワーグナーの音楽をよく振ったことによるものだろう。何かと逸話の多かったところが、オットー・クレンペラーの印象とだぶる。
若いころは哲学を学ぶが、好きな音楽家の道へ進み、ハンス・リヒターにつき指揮を学ぶ。30歳半ばの若さでブルーノ・ワルターの後任としてミュンヘン国立歌劇場の指揮者に就任する。1935年にはナチとの確執でミュンヘンを去り、ウィーンへ移り、そこでウィーン・フィルとの活動を活発化させる。
☆演奏スタイルは・・・
音楽の精神性を大切にした。長い指揮棒をもち、身体も棒もほとんど動かさず、眼力で指揮をした。このあたりはムラヴィンスキーの眼で指揮をしたのともよく似る。風貌からして、ごつごつした彼の眼でジロリとにらまれたら、さすがウィーン・フィルの連中も震え上がったことだろう。でも口は悪かったが人柄は良かったようで、皆から「クナ」と親しまれた。
(写真はクナの笑った珍しい写真のジャケット)
☆録音は・・・
ワーグナーとブルックナーの演奏が多いし、レベルも高い。ワーグナーでは「パルジファル」「ワルキューレ」「ジークフリートのラインへの旅」、ブルックナーでは第8番が名演とされる。同じ8番でもベートーヴェンの第8番は濃厚な演奏で彼の名盤のひとつに数えられる。
ブルックナー:
交響曲第8番 ハ短調 WAB 108 (1892年稿)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ハンス・クナッパーツブッシュ(指揮)
録音: 1961, Vienna, Austria
ブルックナーは改訂版しかやらなかった。これは1961年10月29日ムジークフェラインザールでのライヴで、クナがウィーン・フィルを指揮して残した唯一の第8番。
☆私見・・・
彼は若いころから三半規管に異常があって、乗り物で遠くへ移動することができなかった。だから終生ヨーロッパから離れることはなかった。彼の生まれた1888年は日本では明治21年、彼の厳つい顔を見る度に”明治男”を連想するのである。また、クナといえば、あの毒舌評論家宇野功芳先生が異常なほどの大ファンであることもいつも思い起こす。
その宇野先生がこの演奏のDVDを観て「モーツァルトはワルターに劣り、ベートーヴェンはフルトヴェングラーに一歩ゆずるクナだが、この「レオノーレ」だけは別格だ。体中からオーラがでる演奏と評価した。(聴いた限り、そうとも思えないが?・・・そういうと最後のほうのtuttiの場面はそうかな。)
ベートーヴェン:
序曲「レオノーレ」第3番 Op. 72b
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ハンス・クナッパーツブッシュ(指揮)
録音: 1961, Vienna, Austria
☆Myライブラリーより・・・
クナのワーグナーのエキスがいっぱいに詰った究極の一枚。
楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第一幕前奏曲
「タンホイザー」序曲
楽劇「トリスタンとイゾルデ」前奏曲と愛の死
舞台神聖祝典劇「パルジファル」 - 第1幕への前奏曲
ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
ハンス・クナッパーツブッシュ(指揮)
(録音:1962年)
若いころは哲学を学ぶが、好きな音楽家の道へ進み、ハンス・リヒターにつき指揮を学ぶ。30歳半ばの若さでブルーノ・ワルターの後任としてミュンヘン国立歌劇場の指揮者に就任する。1935年にはナチとの確執でミュンヘンを去り、ウィーンへ移り、そこでウィーン・フィルとの活動を活発化させる。
☆演奏スタイルは・・・
音楽の精神性を大切にした。長い指揮棒をもち、身体も棒もほとんど動かさず、眼力で指揮をした。このあたりはムラヴィンスキーの眼で指揮をしたのともよく似る。風貌からして、ごつごつした彼の眼でジロリとにらまれたら、さすがウィーン・フィルの連中も震え上がったことだろう。でも口は悪かったが人柄は良かったようで、皆から「クナ」と親しまれた。
(写真はクナの笑った珍しい写真のジャケット)
☆録音は・・・
ワーグナーとブルックナーの演奏が多いし、レベルも高い。ワーグナーでは「パルジファル」「ワルキューレ」「ジークフリートのラインへの旅」、ブルックナーでは第8番が名演とされる。同じ8番でもベートーヴェンの第8番は濃厚な演奏で彼の名盤のひとつに数えられる。
ブルックナー:
交響曲第8番 ハ短調 WAB 108 (1892年稿)
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ハンス・クナッパーツブッシュ(指揮)
録音: 1961, Vienna, Austria
ブルックナーは改訂版しかやらなかった。これは1961年10月29日ムジークフェラインザールでのライヴで、クナがウィーン・フィルを指揮して残した唯一の第8番。
☆私見・・・
彼は若いころから三半規管に異常があって、乗り物で遠くへ移動することができなかった。だから終生ヨーロッパから離れることはなかった。彼の生まれた1888年は日本では明治21年、彼の厳つい顔を見る度に”明治男”を連想するのである。また、クナといえば、あの毒舌評論家宇野功芳先生が異常なほどの大ファンであることもいつも思い起こす。
その宇野先生がこの演奏のDVDを観て「モーツァルトはワルターに劣り、ベートーヴェンはフルトヴェングラーに一歩ゆずるクナだが、この「レオノーレ」だけは別格だ。体中からオーラがでる演奏と評価した。(聴いた限り、そうとも思えないが?・・・そういうと最後のほうのtuttiの場面はそうかな。)
ベートーヴェン:
序曲「レオノーレ」第3番 Op. 72b
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ハンス・クナッパーツブッシュ(指揮)
録音: 1961, Vienna, Austria
☆Myライブラリーより・・・
クナのワーグナーのエキスがいっぱいに詰った究極の一枚。
楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第一幕前奏曲
「タンホイザー」序曲
楽劇「トリスタンとイゾルデ」前奏曲と愛の死
舞台神聖祝典劇「パルジファル」 - 第1幕への前奏曲
ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
ハンス・クナッパーツブッシュ(指揮)
(録音:1962年)
by kirakuossan
| 2016-02-11 08:10
| 指揮者100選(完)
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