2014年 10月 09日
指揮者100選☆54 シノーポリ |
2014年10月9日(木)
指揮者界において1960年代から70年代にかけては、今から思えばひとつの世代交代の節目だったのではないか、と思われる。それは大指揮者たちを生んだ1900年代生まれが高齢になりつつあるなか、続く10年代生まれも中堅にさしかかって来る。ただそれに続く20年代生まれが、ピエール・ブーレーズ、ベルナルド・ハイティンクぐらいで比較的地味な指揮者が多く、全般的には不作ということもあって、飛んで次の30年代~40年代生まれの若手指揮者に次の期待がかかったのだろう。この当時、これからの新しい時代をになっていく期待の若手指揮者の名前がよく取りざたされた。今でもよく覚えているのが・・・
クラウディオ・アバド(伊, 1933~2014)小澤征爾(日本,1935~)ズービン・メータ(インド, 1936~)リッカルド・ムーティ(伊, 1941~)ジュゼッペ・シノーポリ(伊, 1946~2001)さらにもうひと世代若いリッカルド・シャイー(伊, 1953~)だった。ここで注目に値するのが、イタリア人指揮者が4人も占め、あとは東洋人が2人という顔ぶれである。このなかにドイツ人、フランス人指揮者が含まれていなかったことである。そしてこの6人の予想はいずれも的中したことになり、いずれも大指揮者の道を歩んだ。
すでにアバド、ムーティ 、シャイーは採り上げたので、ここではもう一人のイタリア人指揮者シノーポリを挙げよう。
ジュゼッペ・シノーポリ
(Giuseppe Sinopoli、イタリア 1946~2001)
ユダヤ系イタリア人のシノーポリは指揮者であり作曲家でもあったが、少し変わり種で、同時に心理学と脳外科を学び、さらには考古学者でもあった。風貌からして、音楽家というよりは大学の研究者といった趣であった。そういった外見からのイメージもあってか、”異次元の世界に誘う”とかいって一種独特のカリスマ性を有し、また本人いわく「音楽は主観的でなければならない」と語り、異色の音楽解釈として捉えられた一面もある。
☆演奏スタイルは・・・
でも、彼の音楽をよく聴いてみると、そう突飛でもなく、精神性の高い、オーソドックスなものである。彼がイスラエル・フィルを指揮しての「英雄」を聴いているが、”異次元の世界”というより、どちらかといえば少し退屈なぐらいである。
☆録音は・・・
録音には恵まれ、ドイツ・グラモフォン、フィリップス、テルデックなどに多くを遺した。なかでも、マーラーやリヒャルト・シュトラウスなどの後期ロマン派の管弦楽曲に定評があり、片方ではオペラにも参入、ヴェルディやプッチーニ、マスカーニと積極的に録音した。
☆私見・・・
どういうわけか彼の演奏を聴く機会はほとんどなかった。生演奏は勿論ないし、CDにしても僅かにニューヨークフィルを振ったレスピーギのローマ三部作とフィルハーモニア管弦楽団とのエルガーの交響曲2番、聖チェチーリア管とのヴェルディの「リゴレット」があるぐらい。ということで実際に彼の指揮を云々する知識は持ち合わせていない。そうかといってこれから積極的に聴くかといえばそうでもない。13年前に55歳の若さで急逝し、あまりにも死が早かった。もし健在なら、今、70歳を目前にしたところで、これからの活躍が大いに期待できただろうに。その意味では惜しい指揮者の一人と言える。
☆Myライブラリーより・・・
手ごろなのがないので、ここではNML から一曲、マーラーを挙げる。彼はフィルハーモニア管弦楽団とマーラーの交響曲全集を出している。それは「神に近づいて鳴り響く音楽」と言われるが、果たしてどんなものか。ここでは80ヵ国の楽団首席奏者クラスが混成したオケ、ワールド・フィルハーモニー管弦楽団の演奏で第1番を聴く。
マーラー:
交響曲第1番 ニ長調 「巨人」
ワールド・フィルハーモニー管弦楽団
ジュゼッペ・シノーポリ(指揮)
指揮者界において1960年代から70年代にかけては、今から思えばひとつの世代交代の節目だったのではないか、と思われる。それは大指揮者たちを生んだ1900年代生まれが高齢になりつつあるなか、続く10年代生まれも中堅にさしかかって来る。ただそれに続く20年代生まれが、ピエール・ブーレーズ、ベルナルド・ハイティンクぐらいで比較的地味な指揮者が多く、全般的には不作ということもあって、飛んで次の30年代~40年代生まれの若手指揮者に次の期待がかかったのだろう。この当時、これからの新しい時代をになっていく期待の若手指揮者の名前がよく取りざたされた。今でもよく覚えているのが・・・
クラウディオ・アバド(伊, 1933~2014)小澤征爾(日本,1935~)ズービン・メータ(インド, 1936~)リッカルド・ムーティ(伊, 1941~)ジュゼッペ・シノーポリ(伊, 1946~2001)さらにもうひと世代若いリッカルド・シャイー(伊, 1953~)だった。ここで注目に値するのが、イタリア人指揮者が4人も占め、あとは東洋人が2人という顔ぶれである。このなかにドイツ人、フランス人指揮者が含まれていなかったことである。そしてこの6人の予想はいずれも的中したことになり、いずれも大指揮者の道を歩んだ。
すでにアバド、ムーティ 、シャイーは採り上げたので、ここではもう一人のイタリア人指揮者シノーポリを挙げよう。
ジュゼッペ・シノーポリ
(Giuseppe Sinopoli、イタリア 1946~2001)
ユダヤ系イタリア人のシノーポリは指揮者であり作曲家でもあったが、少し変わり種で、同時に心理学と脳外科を学び、さらには考古学者でもあった。風貌からして、音楽家というよりは大学の研究者といった趣であった。そういった外見からのイメージもあってか、”異次元の世界に誘う”とかいって一種独特のカリスマ性を有し、また本人いわく「音楽は主観的でなければならない」と語り、異色の音楽解釈として捉えられた一面もある。
☆演奏スタイルは・・・
でも、彼の音楽をよく聴いてみると、そう突飛でもなく、精神性の高い、オーソドックスなものである。彼がイスラエル・フィルを指揮しての「英雄」を聴いているが、”異次元の世界”というより、どちらかといえば少し退屈なぐらいである。
☆録音は・・・
録音には恵まれ、ドイツ・グラモフォン、フィリップス、テルデックなどに多くを遺した。なかでも、マーラーやリヒャルト・シュトラウスなどの後期ロマン派の管弦楽曲に定評があり、片方ではオペラにも参入、ヴェルディやプッチーニ、マスカーニと積極的に録音した。
☆私見・・・
どういうわけか彼の演奏を聴く機会はほとんどなかった。生演奏は勿論ないし、CDにしても僅かにニューヨークフィルを振ったレスピーギのローマ三部作とフィルハーモニア管弦楽団とのエルガーの交響曲2番、聖チェチーリア管とのヴェルディの「リゴレット」があるぐらい。ということで実際に彼の指揮を云々する知識は持ち合わせていない。そうかといってこれから積極的に聴くかといえばそうでもない。13年前に55歳の若さで急逝し、あまりにも死が早かった。もし健在なら、今、70歳を目前にしたところで、これからの活躍が大いに期待できただろうに。その意味では惜しい指揮者の一人と言える。
☆Myライブラリーより・・・
手ごろなのがないので、ここではNML から一曲、マーラーを挙げる。彼はフィルハーモニア管弦楽団とマーラーの交響曲全集を出している。それは「神に近づいて鳴り響く音楽」と言われるが、果たしてどんなものか。ここでは80ヵ国の楽団首席奏者クラスが混成したオケ、ワールド・フィルハーモニー管弦楽団の演奏で第1番を聴く。
マーラー:
交響曲第1番 ニ長調 「巨人」
ワールド・フィルハーモニー管弦楽団
ジュゼッペ・シノーポリ(指揮)
by kirakuossan
| 2014-10-09 07:15
| 指揮者100選(完)
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