2014年 04月 11日
50年前の指揮者名鑑―4 |
2014年4月11日(金)
『レコード名演奏家全集―指揮者篇』(村田武雄編・音楽之友社/昭和37年刊)1962年
ジョージ・セルがP135で終り、次はタ行へ。ロジェ・デゾルミエール・・・タ行はテから始まるんだな、と思って読み始めたが、途中で気がついた。「タ」が抜けてないか? まさかターリヒが落ちていることはないだろうと目次で確認してみた。確かにターリヒはある。でもP135には、セルの次はデゾルミエールになっている。ページが飛んでいるのか? いやちゃんと続いている。???
書き漏らして、あとから気がついたのか、印刷する時に原稿を抜かしてしまったのだろう。
巻末P259に無事発見した。50年前の、なんとのんびりした校正の本だ。読んでちょうど退屈して来たところで、こんなハッとする演出がある。この本はほんとにうまい具合に出来ている。
ヴァツラフ・ターリッヒ(チェコ 1883-1961)
実にすぐれた指揮者で、特にチェコの音楽を演奏させては、他の追随をゆるさぬものをもっている。その演奏には郷土の香りが豊かにただよっており、ドヴォルザークの「交響第五番」の表現には、郷土色が実によく出されている。―SS
第5番ではなかったが、第6番でもその香りは十分にする。
ドヴォルザーク:交響曲第6番 ニ長調 Op. 60, B. 112 II. Adagio
ロジェ・デゾルミエール*(フランス 1898-1963)
バレエ音楽が最高によい。
アルトゥーロ・トスカニーニ(イタリア 1867-1957)
トスカニーニは1937年ごろにフルトヴェングラーの演奏したベートーヴェンの「第九交響曲」を聞いて、「これはこの作品に現れるあらゆるものをすっかり抑圧して、そこにあるあらゆる崇高なものを必要以上に強調した」と非難した。ここで両者のいずれが正しくまたよいかは論じないとしても、それによってこの20世紀の両巨頭の音楽観の相違がはっきりうかがえると思う。フルトヴェングラーはベートーヴェンのなかに芸術家としての自身の感動を率直に表現しようとした。トスカニーニはベートーヴェンが楽譜に示したものを公平にかつ強力に再現しようとした。その結果、トスカニーニの演奏にはてん綿とした外から加えた情緒性はなく、かれの情緒はあくまでも作品のダイナミックな緊張感から引き出されたのである。―TM
この村田武雄の説明はよくわかる。
ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 「合唱付き」 Op. 125(イタリア語歌唱)
ガブリエラ・ガッティ(ソプラノ)
フェドーラ・バルビエーリ(メゾ・ソプラノ)
ジャチント・プランデッリ (テノール)
タンクレディ・パセーロ (バス)
ミラノ・スカラ座合唱団
ミラノ・スカラ座管弦楽団
(録音:1946年)
このレコード針のパチパチという音が入っているのが、たまりませんなあ。
イッサイ・ドブロウェン*(ロシア 1891-1953)
彼の指揮は非常にあざやかで、情熱的。
クルト・トーマス*(ドイツ 1904-1973)
ドイツ合唱音楽の権威者で指揮者。
カーメン・ドラゴン*(アメリカ 1914-?)
クラシックの名曲をポピュラー・スタイルに編曲し、指揮する名手。
アンタール・ドラティ(ハンガリー 1906-1988)
音楽はものすごいエネルギーをもち健康な活力にあふれる。知的な抑制感はないが、曲想の把握は力強く、音力効果に非常な情熱を現す。―TK
エドゥアルド・トルドラ*(スペイン 1895-1962)
スペインの体臭、それを彼は抑制することなく発散させる。私はむしろ彼のそうした田舎くささに惹かれる。―ES
タ行は僅か8人で終ってしまった。日本では、田中さん、谷口さん、辻さん、筒井さん、寺田さん、土井さん・・・とずいぶん多いのになあ、と思いながら、次のナ行に移ることにした。
そこでまた吃驚!
ナ行が丸っぽないではないか!
P144のトルドラの次は同じページにハイキンとなっていて、次ページがハイティンクだ。これはまた巻末かと思ってみてみたが、どこにも見当たらない。これはもう完全にナ行を欠落した本だ。「マーラー」が落ちていた(あえて入れなかった)本は読んだことがあるが、このように名鑑でナ行が抜けているとは・・・なんと杜撰な・・・。
ところが、よくよく調べてみると、他の本でもナ行は極めて少ない。ケント・ナガノとヴァツラーフ・ノイマンの二人しか載っていなかった。ということは、ノイマンが載らなかったら当時であればナ行はゼロということも納得がついた。日本なら、中村さん、中島さん、西村さん、根本さん、野口さん...ぎょうさんあるのに。
タ行で載っていなかったのは・・・セルジウ・チェリビダッケ(1912-1996)、コリン・デイヴィス(1927-2013)、クラウス・テンシュテット(1926-1998)、クリストフ・ドホナーニ(1929-)と、かなり大物が揃ってはいるが。
TM-村田武雄、SS-杉浦繁
つづく・・・
『レコード名演奏家全集―指揮者篇』(村田武雄編・音楽之友社/昭和37年刊)1962年
ジョージ・セルがP135で終り、次はタ行へ。ロジェ・デゾルミエール・・・タ行はテから始まるんだな、と思って読み始めたが、途中で気がついた。「タ」が抜けてないか? まさかターリヒが落ちていることはないだろうと目次で確認してみた。確かにターリヒはある。でもP135には、セルの次はデゾルミエールになっている。ページが飛んでいるのか? いやちゃんと続いている。???
書き漏らして、あとから気がついたのか、印刷する時に原稿を抜かしてしまったのだろう。
巻末P259に無事発見した。50年前の、なんとのんびりした校正の本だ。読んでちょうど退屈して来たところで、こんなハッとする演出がある。この本はほんとにうまい具合に出来ている。
ヴァツラフ・ターリッヒ(チェコ 1883-1961)
実にすぐれた指揮者で、特にチェコの音楽を演奏させては、他の追随をゆるさぬものをもっている。その演奏には郷土の香りが豊かにただよっており、ドヴォルザークの「交響第五番」の表現には、郷土色が実によく出されている。―SS
第5番ではなかったが、第6番でもその香りは十分にする。
ドヴォルザーク:交響曲第6番 ニ長調 Op. 60, B. 112 II. Adagio
ロジェ・デゾルミエール*(フランス 1898-1963)
バレエ音楽が最高によい。
アルトゥーロ・トスカニーニ(イタリア 1867-1957)
トスカニーニは1937年ごろにフルトヴェングラーの演奏したベートーヴェンの「第九交響曲」を聞いて、「これはこの作品に現れるあらゆるものをすっかり抑圧して、そこにあるあらゆる崇高なものを必要以上に強調した」と非難した。ここで両者のいずれが正しくまたよいかは論じないとしても、それによってこの20世紀の両巨頭の音楽観の相違がはっきりうかがえると思う。フルトヴェングラーはベートーヴェンのなかに芸術家としての自身の感動を率直に表現しようとした。トスカニーニはベートーヴェンが楽譜に示したものを公平にかつ強力に再現しようとした。その結果、トスカニーニの演奏にはてん綿とした外から加えた情緒性はなく、かれの情緒はあくまでも作品のダイナミックな緊張感から引き出されたのである。―TM
この村田武雄の説明はよくわかる。
ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 「合唱付き」 Op. 125(イタリア語歌唱)
ガブリエラ・ガッティ(ソプラノ)
フェドーラ・バルビエーリ(メゾ・ソプラノ)
ジャチント・プランデッリ (テノール)
タンクレディ・パセーロ (バス)
ミラノ・スカラ座合唱団
ミラノ・スカラ座管弦楽団
(録音:1946年)
このレコード針のパチパチという音が入っているのが、たまりませんなあ。
イッサイ・ドブロウェン*(ロシア 1891-1953)
彼の指揮は非常にあざやかで、情熱的。
クルト・トーマス*(ドイツ 1904-1973)
ドイツ合唱音楽の権威者で指揮者。
カーメン・ドラゴン*(アメリカ 1914-?)
クラシックの名曲をポピュラー・スタイルに編曲し、指揮する名手。
アンタール・ドラティ(ハンガリー 1906-1988)
音楽はものすごいエネルギーをもち健康な活力にあふれる。知的な抑制感はないが、曲想の把握は力強く、音力効果に非常な情熱を現す。―TK
エドゥアルド・トルドラ*(スペイン 1895-1962)
スペインの体臭、それを彼は抑制することなく発散させる。私はむしろ彼のそうした田舎くささに惹かれる。―ES
タ行は僅か8人で終ってしまった。日本では、田中さん、谷口さん、辻さん、筒井さん、寺田さん、土井さん・・・とずいぶん多いのになあ、と思いながら、次のナ行に移ることにした。
そこでまた吃驚!
ナ行が丸っぽないではないか!
P144のトルドラの次は同じページにハイキンとなっていて、次ページがハイティンクだ。これはまた巻末かと思ってみてみたが、どこにも見当たらない。これはもう完全にナ行を欠落した本だ。「マーラー」が落ちていた(あえて入れなかった)本は読んだことがあるが、このように名鑑でナ行が抜けているとは・・・なんと杜撰な・・・。
ところが、よくよく調べてみると、他の本でもナ行は極めて少ない。ケント・ナガノとヴァツラーフ・ノイマンの二人しか載っていなかった。ということは、ノイマンが載らなかったら当時であればナ行はゼロということも納得がついた。日本なら、中村さん、中島さん、西村さん、根本さん、野口さん...ぎょうさんあるのに。
タ行で載っていなかったのは・・・セルジウ・チェリビダッケ(1912-1996)、コリン・デイヴィス(1927-2013)、クラウス・テンシュテット(1926-1998)、クリストフ・ドホナーニ(1929-)と、かなり大物が揃ってはいるが。
TM-村田武雄、SS-杉浦繁
つづく・・・
by kirakuossan
| 2014-04-11 23:38
| クラシック
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