2013年 10月 01日
フランス音楽を満喫 |
2013年10月1日(火)
アリス=紗良・オットのラヴェルは良かった。この人は今までCDやTVでしか聴いた事がなかったが、ショパン、チャイコフスキー、ムソルグスキー、リスト、グリーグ、すべて卓越した技量で弾きこなし、いずれも彼女の音楽に成りきっている感がしていたが、今夜の難しいラヴェルのコンチェルトもさすが!といった出来だった。好きなのだろう、あの紫のドレスで颯爽と裸足で舞台左から姿を現した。いつものアリスそのものだ。ピアノの前に座るや否や間髪入れずに、あの出だしのパーカッションの奇妙な音がしたと思ったら一機に演奏は始まった。彼女のピアノは力強くもあり、優しく繊細でもあり、変幻自在だ。ただ一貫して言えることは、ピアノが好きで好きでたまらないといった風情で表情豊かに弾く。時折驚いたようなあどけないしぐさで指揮者やオーケストラの方を見たりする。少なくとも聴く者、見る者にとっては退屈しない。
終演後のサイン会での表情を見ても屈託のない爽やかな女性の感じで、「どうも今日はありがとうございました」と綺麗な日本語で声をかけられ、ますます彼女のピアノから目が離せなくなった。今度は是非、リサイタルでベートーヴェンとモーツァルトか、ブラームスもしくはシューマンを聴きたいものだ。
プログラム後半の幻想交響曲は、最初おとなしく推移した。チョン・ミョンフン独特の解釈だろう。持っているCDのパリ・バスティーユ管弦楽団との演奏もそうだが、美しくて毒気のない、さらっととした印象だ。卑近な例でいうと、ミュンシュをはじめ多くの指揮者がこってりの”とんこつ味”なら、彼のは、最初は”うす塩味”で、仕上げは”濃い口醤油味”といった風だ。あとは好き好きの問題で、少々こってりが食傷気味な曲だけに、あっさりの上品な「幻想」もいいかも知れない。
演奏途中でオーボエ奏者が一人席を立つ。気分でも悪いのか?そうだそうだ、実演で見るのは初めてだが、舞台の裏に入って舞台上のオーボエ奏者とやりとりするところがある。そうこうしているうちに今度は、パーカッションの大男が舞台の袖から出て来て、ティンパニーを三人で叩きだした。出番が終わると引っ込み、今度は、断頭台の箇所が来れば、反対の袖から出て来て小太鼓を叩き、最後は舞台裏から鐘を叩くといった具合で大活躍。見ていて、いつもの幻想交響曲では目にしないので、珍しくもあり、結構楽しめた。それにしても、ティンパニーの三人打ちは呼吸もピッタリ合っていてなかなか見ごたえがあった。
フランス放送フィルハーモニーの印象は、全般的におとなしい演奏をする。決してがなり散らしたりはしない。上品な音を出す。さすがフランスのオケといった印象だ。音のきらびやかさはそうでもなかった。席の位置加減か、チェロの音色が凄く美しく耳に入って来た。
ベルリオーズ:序曲「ローマの謝肉祭」Op.9
ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調
ベルリオーズ:幻想交響曲 Op.14
チョン・ミョンフン指揮
フランス国立放送フィルハーモニー管弦楽団
ピアノ/アリス=紗良・オット
意外であったのは一階席にかなりの空席が目立ったこと。外国のオケが来て、こんな状態を見るのは珍しい。決まった一角がごそっと空いているということはチケットの販売方法に問題があるのではないかと思う。
追記:
CD表面のサイン。
実は、何をどう思ったのか、中の写真をはずしてケースを彼女に差し出したため上の方にサインしてしまった。あとから写真を戻すと美しい顔が隠れてしまい、敢て写真を上下逆に挿入したもの。つまりこのサインは逆になっているということ。
終演後のサイン会での表情を見ても屈託のない爽やかな女性の感じで、「どうも今日はありがとうございました」と綺麗な日本語で声をかけられ、ますます彼女のピアノから目が離せなくなった。今度は是非、リサイタルでベートーヴェンとモーツァルトか、ブラームスもしくはシューマンを聴きたいものだ。
プログラム後半の幻想交響曲は、最初おとなしく推移した。チョン・ミョンフン独特の解釈だろう。持っているCDのパリ・バスティーユ管弦楽団との演奏もそうだが、美しくて毒気のない、さらっととした印象だ。卑近な例でいうと、ミュンシュをはじめ多くの指揮者がこってりの”とんこつ味”なら、彼のは、最初は”うす塩味”で、仕上げは”濃い口醤油味”といった風だ。あとは好き好きの問題で、少々こってりが食傷気味な曲だけに、あっさりの上品な「幻想」もいいかも知れない。
演奏途中でオーボエ奏者が一人席を立つ。気分でも悪いのか?そうだそうだ、実演で見るのは初めてだが、舞台の裏に入って舞台上のオーボエ奏者とやりとりするところがある。そうこうしているうちに今度は、パーカッションの大男が舞台の袖から出て来て、ティンパニーを三人で叩きだした。出番が終わると引っ込み、今度は、断頭台の箇所が来れば、反対の袖から出て来て小太鼓を叩き、最後は舞台裏から鐘を叩くといった具合で大活躍。見ていて、いつもの幻想交響曲では目にしないので、珍しくもあり、結構楽しめた。それにしても、ティンパニーの三人打ちは呼吸もピッタリ合っていてなかなか見ごたえがあった。
フランス放送フィルハーモニーの印象は、全般的におとなしい演奏をする。決してがなり散らしたりはしない。上品な音を出す。さすがフランスのオケといった印象だ。音のきらびやかさはそうでもなかった。席の位置加減か、チェロの音色が凄く美しく耳に入って来た。
ベルリオーズ:序曲「ローマの謝肉祭」Op.9
ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調
ベルリオーズ:幻想交響曲 Op.14
チョン・ミョンフン指揮
フランス国立放送フィルハーモニー管弦楽団
ピアノ/アリス=紗良・オット
意外であったのは一階席にかなりの空席が目立ったこと。外国のオケが来て、こんな状態を見るのは珍しい。決まった一角がごそっと空いているということはチケットの販売方法に問題があるのではないかと思う。
追記:
CD表面のサイン。
実は、何をどう思ったのか、中の写真をはずしてケースを彼女に差し出したため上の方にサインしてしまった。あとから写真を戻すと美しい顔が隠れてしまい、敢て写真を上下逆に挿入したもの。つまりこのサインは逆になっているということ。
by kirakuossan
| 2013-10-01 23:47
| クラシック
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