2013年 06月 09日
読響は大人のオーケストラ |
2013年6月9日(日)
今朝、先日放映された読響の演奏ビデオを見る。演目はブルックナーの交響曲第5番。正指揮者下野竜也の読響とのお別れ公演で、彼の一番好きなシンフォニーを6年間生活を共にしてきた仲間たちとの演奏で最後にやってみたい、ということで実現した。
この5番にはこんな話がある。1894年にフランツ・シャルクの指揮で初演されたが、その時にブルックナーのスコアに大幅な改訂を施した。第3楽章や第4楽章を大きくカットし、第4楽章には金管やシンバル、トライアングルを補強したりしている。こういったシャルクの改訂は、長大で難解なこの交響曲を普及させるために行ったという「好意的」な見方もあれば、ブルックナー本人の意図したものと異なり、音楽性が損なわれるとした批判もある。僕はどう考えても後者の方の考えだ。このときブルックナーは会場に来ておらず、本人がこの事を事前に知らされていたかどうかは不明だが、シャルクの勝手なお世話で、作曲者に対しても失礼であろう。シャルクによる改訂版はのちにハース校訂による版が出るまで唯一のスコアとして演奏されていたという。今ではほとんど使われなくなった。
この第5番は何と云っても最終楽章が聞きもので、フィナーレの力強さは第8番と比肩される。この日の演奏もまさにそういった演奏であった。
冒頭のインタヴューで指揮者下野が語っていた。「初対面の11年前の読響の印象は?」
「最初、怖いというのを聞いていた。でも怖いけど楽しかった。確かに厳しい雰囲気はあったけれど、あなたはどうしたい? 僕はこうしたい、そしたらやろうじゃないか、といった雰囲気で・・、大人のオーケストラだなあ、大きなオーケストラを振らしていただくんだなといった印象を持った」
民放でこの1時間20分の長大な曲をやるのは珍しいが、CMなしでぶっ通しで流すのかと思ったらやはりそれは無理だった。3楽章に入る前に、けったいな動物が出て来て、自動車保険を”見直そう~見直そう~”のメロディーが流れるのには参った、興ざめである。
ブルックナー:交響曲第5番変ロ長調
読売日本交響楽団
下野竜也(指揮)
2013年2月18日
サントリーホール
今朝、先日放映された読響の演奏ビデオを見る。演目はブルックナーの交響曲第5番。正指揮者下野竜也の読響とのお別れ公演で、彼の一番好きなシンフォニーを6年間生活を共にしてきた仲間たちとの演奏で最後にやってみたい、ということで実現した。
この5番にはこんな話がある。1894年にフランツ・シャルクの指揮で初演されたが、その時にブルックナーのスコアに大幅な改訂を施した。第3楽章や第4楽章を大きくカットし、第4楽章には金管やシンバル、トライアングルを補強したりしている。こういったシャルクの改訂は、長大で難解なこの交響曲を普及させるために行ったという「好意的」な見方もあれば、ブルックナー本人の意図したものと異なり、音楽性が損なわれるとした批判もある。僕はどう考えても後者の方の考えだ。このときブルックナーは会場に来ておらず、本人がこの事を事前に知らされていたかどうかは不明だが、シャルクの勝手なお世話で、作曲者に対しても失礼であろう。シャルクによる改訂版はのちにハース校訂による版が出るまで唯一のスコアとして演奏されていたという。今ではほとんど使われなくなった。
この第5番は何と云っても最終楽章が聞きもので、フィナーレの力強さは第8番と比肩される。この日の演奏もまさにそういった演奏であった。
冒頭のインタヴューで指揮者下野が語っていた。「初対面の11年前の読響の印象は?」
「最初、怖いというのを聞いていた。でも怖いけど楽しかった。確かに厳しい雰囲気はあったけれど、あなたはどうしたい? 僕はこうしたい、そしたらやろうじゃないか、といった雰囲気で・・、大人のオーケストラだなあ、大きなオーケストラを振らしていただくんだなといった印象を持った」
民放でこの1時間20分の長大な曲をやるのは珍しいが、CMなしでぶっ通しで流すのかと思ったらやはりそれは無理だった。3楽章に入る前に、けったいな動物が出て来て、自動車保険を”見直そう~見直そう~”のメロディーが流れるのには参った、興ざめである。
ブルックナー:交響曲第5番変ロ長調
読売日本交響楽団
下野竜也(指揮)
2013年2月18日
サントリーホール
by kirakuossan
| 2013-06-09 07:02
| クラシック
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