2012年 08月 23日
偏見版『倶楽シック音楽全集』-25① ドヴォルザーク |
2012年8月23日(木)
【第54巻】ボヘミアの大作曲家
ドヴォルザーク:Ⅰ 1841~1904 (チェコ)
アントニン・レオポルト・ドヴォルザーク、大好きな作曲家のひとりだ。多分日本人の誰もがが好む作曲家の第1位ではないか?、音楽そのものが日本人の心奥深くに響き、強く訴えるものがある。ブラームスに見出され、「スラヴ舞曲」で一躍名が知れ渡り、ボヘミアの生んだ大作曲家となる。そして彼はチェコ国民楽派、後期ロマン派を代表する作曲家というにとどまらず、クラシック音楽史上屈指の人気作曲家まで登りつめた。
彼の転機は米国に渡り、ネイティブ・アメリカンの音楽や黒人霊歌を吸収し、自身の作品に反映させたことに始まる。珠玉の名作群はこの米国で作曲したもので、弦楽セレナード、交響曲第8番、交響曲第9番『新世界より』、スラヴ舞曲集、チェロ協奏曲、弦楽四重奏曲第12番など・・・。
”巨人・大鵬・卵焼き”ではないが、”運命・未完成・新世界”と謳われる。僕流にいえば、”合唱・ブラ1番・新世界”だろう。これは曲の優劣ではなくて、いちばんレコード針をおとした、いちばんCDを多く回転させた曲目ということになる。だからそれだけ愛着も深いということだ。
そもそも初めて音楽を聴きだす者にとってそのきっかけとなるのは曲に付された”題・愛称”にある。その点どうしてもブラームスの4曲の交響曲にはいずれも題が付いていないため後回しになる。ベートーヴェンにしてもドヴォルザークにしても本人が付けたか否かは別として、やはり”愛称”で呼ばれる曲の方が広く知れ渡り有利であるといえる。チャイコフスキーの”悲愴”だって、メンデルスゾーンの”イタリア”だって、モーツアルトの”ジュピター”、ハイドンの”告別”・・・みなそうである。そしてだんだん聴きこんでくると、今度はかえって題のついた曲目がダサく感じられ、遠のいてしまう。それより、題が付いていない方が通らしくてカッコよく思えてくる。事実素晴らしい曲目に多く出逢い、好きになっていく。ブラームスに始まり、シベリウス第2番を知り、チャイコフスキーの第5番を知り、やがてベートヴェン第7番、マーラー第3番~6番、ブルックナー第7番~9番へと展開して行く。
交響曲第9番ホ短調作品95『新世界より』
黒人の音楽が故郷ボヘミアの音楽に似ていることに刺激を受け「新世界から」故郷ボヘミアへ向けて作られた作品だと言われている。
この40分~45分の音楽を耳にして、何も感じない、感動しない、心に響かないとしたら、クラシック音楽とは将来にわたり”無縁”の人生をたどるしかないだろう。一見、泥臭い、冴えないと感じることもあるかもしれないが、それはすぐに間違いであることに気付く。これだけの素晴らしいメロディがちりばめられて、強弱、緩急の波が繰り広げられ、ドラマティックに展開し、聴く者を決して飽きさせないシンフォニーは他にはないだろう。色んな遍歴を繰り返そうが、やはり交響曲への第一歩はこの曲になるだろう。
余談だが・・・
黒澤明が「七人の侍」を撮る際、自宅でこの曲のレコードを擦り切れるまで聴き、この曲の構成を意識して製作したと語っている。
【第54巻】ボヘミアの大作曲家
ドヴォルザーク:Ⅰ 1841~1904 (チェコ)
彼の転機は米国に渡り、ネイティブ・アメリカンの音楽や黒人霊歌を吸収し、自身の作品に反映させたことに始まる。珠玉の名作群はこの米国で作曲したもので、弦楽セレナード、交響曲第8番、交響曲第9番『新世界より』、スラヴ舞曲集、チェロ協奏曲、弦楽四重奏曲第12番など・・・。
”巨人・大鵬・卵焼き”ではないが、”運命・未完成・新世界”と謳われる。僕流にいえば、”合唱・ブラ1番・新世界”だろう。これは曲の優劣ではなくて、いちばんレコード針をおとした、いちばんCDを多く回転させた曲目ということになる。だからそれだけ愛着も深いということだ。
そもそも初めて音楽を聴きだす者にとってそのきっかけとなるのは曲に付された”題・愛称”にある。その点どうしてもブラームスの4曲の交響曲にはいずれも題が付いていないため後回しになる。ベートーヴェンにしてもドヴォルザークにしても本人が付けたか否かは別として、やはり”愛称”で呼ばれる曲の方が広く知れ渡り有利であるといえる。チャイコフスキーの”悲愴”だって、メンデルスゾーンの”イタリア”だって、モーツアルトの”ジュピター”、ハイドンの”告別”・・・みなそうである。そしてだんだん聴きこんでくると、今度はかえって題のついた曲目がダサく感じられ、遠のいてしまう。それより、題が付いていない方が通らしくてカッコよく思えてくる。事実素晴らしい曲目に多く出逢い、好きになっていく。ブラームスに始まり、シベリウス第2番を知り、チャイコフスキーの第5番を知り、やがてベートヴェン第7番、マーラー第3番~6番、ブルックナー第7番~9番へと展開して行く。
交響曲第9番ホ短調作品95『新世界より』
黒人の音楽が故郷ボヘミアの音楽に似ていることに刺激を受け「新世界から」故郷ボヘミアへ向けて作られた作品だと言われている。
この40分~45分の音楽を耳にして、何も感じない、感動しない、心に響かないとしたら、クラシック音楽とは将来にわたり”無縁”の人生をたどるしかないだろう。一見、泥臭い、冴えないと感じることもあるかもしれないが、それはすぐに間違いであることに気付く。これだけの素晴らしいメロディがちりばめられて、強弱、緩急の波が繰り広げられ、ドラマティックに展開し、聴く者を決して飽きさせないシンフォニーは他にはないだろう。色んな遍歴を繰り返そうが、やはり交響曲への第一歩はこの曲になるだろう。
余談だが・・・
黒澤明が「七人の侍」を撮る際、自宅でこの曲のレコードを擦り切れるまで聴き、この曲の構成を意識して製作したと語っている。
by kirakuossan
| 2012-08-23 08:49
| 偏見版「倶楽シック全集」(完)
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