2011年 09月 06日
我が家のコロー |
2011年9月6日(火)
「美の旅人 フランス編Ⅱ」(伊集院静著:小学館刊)で著者はジャン・バティスト・カミュー・コロー(1796~1875)についても触れている。
ルーヴル美術館のフランス絵画を鑑賞して回ると、最後の部屋へ辿り着いた時に出逢うのが、ジャン・バティスト・カミュー・コローである。
--コローの絵画には、安堵がある。・・・<略>・・・
「真珠の女」と題されたコローの代表作のひとつである。肖像画というより、ひとりの若い女性を描くことでコローは女性の持つ、やわらかなぬくもりを表現している。やや斜めに構え、閉じた固い唇の初々しさからは若い女性にしかない恥じらいが伝わってくる・・・ と。
彼は19世紀から次世代の印象派との橋渡しをした画家。人物画に傑作があるが、森や湖の風景画でも知られる。イタリア絵画の明るい光と色彩に影響を受け、イタリアやフランス各地のありふれた風景を詩情ゆたかに描き出す手法はのちの印象派の画家たちにも影響を与えたとされる。
我が家のコロー
2008年秋、神戸市立博物館でコロー展が催された。その時、家内が、随分気に入って博物館でコローのオリジナル版画を買ってきた。
コロー自身の制作によるオリジナル版画▽
1818年ころに最初の石版画を手掛けてから、最晩年に至るまで、コロー自身が制作した版画は100点を数える。その内訳はエッチング14点、リトグラフ20点、クリシェ・ヴェール66点となっている。
コローは、柔らかい線描で微妙な明暗の諧調が表現できるクリシェ・ヴェールの技法を好み、円熟期の50代から60代にかけて精力的に制作に取り組んだ。生前、これらの版画はあまり市場で受け入れられなかったため、制作された枚数は極めて少ない。コローの没後、印象派の興隆により、コローの再評価が高まる中、15点のコロー作品を含む40点のクリシェ・ヴェール版画集がモーリス・ル・ガレックによって、1921年に150部限定で出版された。
現在、それぞれの原版は、この最後の刷りのあと、フランス国立図書館やルーヴル美術館を始め、ボストン美術館など海外の美術館で保管されている。
・・・・・・・・・・・・・・
作品▽
ジャン・バティスト・カミュー・コロー(1796~1875)
「幼い羊飼い(第二版)」 1855年制作
オリジナル・クリシェ・ヴェール(下部左にコローの版上サイン) 1921年刷り
この作品はこの展覧会に出品され、展覧会図録に掲載されており、国立西洋美術館所蔵のコレクションである。また今回販売されたこの作品も同年に出版されたものである。
(パリの古版画鑑定人:ディディエ・マルティネス氏の鑑定書つき)
http://collection.nmwa.go.jp/G.1993-0090.html
コローは大気の微妙な揺らぎを伝えることが出来るこの技法を気に入り、様々な技法的可能性を追求した。ニードル仕上げ、タンポナージュ(ブラシなどで皮膜に細かい傷をつける)、顔料を原版に厚く塗りつけたり掻き落としたりする技法・・・など。
この作品は”くぎ”のようなもので掻き落としたような技法だ。
素朴で、幻想的な作品だ。
「美の旅人 フランス編Ⅱ」(伊集院静著:小学館刊)で著者はジャン・バティスト・カミュー・コロー(1796~1875)についても触れている。
ルーヴル美術館のフランス絵画を鑑賞して回ると、最後の部屋へ辿り着いた時に出逢うのが、ジャン・バティスト・カミュー・コローである。
--コローの絵画には、安堵がある。・・・<略>・・・
「真珠の女」と題されたコローの代表作のひとつである。肖像画というより、ひとりの若い女性を描くことでコローは女性の持つ、やわらかなぬくもりを表現している。やや斜めに構え、閉じた固い唇の初々しさからは若い女性にしかない恥じらいが伝わってくる・・・ と。
彼は19世紀から次世代の印象派との橋渡しをした画家。人物画に傑作があるが、森や湖の風景画でも知られる。イタリア絵画の明るい光と色彩に影響を受け、イタリアやフランス各地のありふれた風景を詩情ゆたかに描き出す手法はのちの印象派の画家たちにも影響を与えたとされる。
我が家のコロー
2008年秋、神戸市立博物館でコロー展が催された。その時、家内が、随分気に入って博物館でコローのオリジナル版画を買ってきた。
コロー自身の制作によるオリジナル版画▽
1818年ころに最初の石版画を手掛けてから、最晩年に至るまで、コロー自身が制作した版画は100点を数える。その内訳はエッチング14点、リトグラフ20点、クリシェ・ヴェール66点となっている。
コローは、柔らかい線描で微妙な明暗の諧調が表現できるクリシェ・ヴェールの技法を好み、円熟期の50代から60代にかけて精力的に制作に取り組んだ。生前、これらの版画はあまり市場で受け入れられなかったため、制作された枚数は極めて少ない。コローの没後、印象派の興隆により、コローの再評価が高まる中、15点のコロー作品を含む40点のクリシェ・ヴェール版画集がモーリス・ル・ガレックによって、1921年に150部限定で出版された。
現在、それぞれの原版は、この最後の刷りのあと、フランス国立図書館やルーヴル美術館を始め、ボストン美術館など海外の美術館で保管されている。
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作品▽
ジャン・バティスト・カミュー・コロー(1796~1875)
「幼い羊飼い(第二版)」 1855年制作
オリジナル・クリシェ・ヴェール(下部左にコローの版上サイン) 1921年刷り
この作品はこの展覧会に出品され、展覧会図録に掲載されており、国立西洋美術館所蔵のコレクションである。また今回販売されたこの作品も同年に出版されたものである。
(パリの古版画鑑定人:ディディエ・マルティネス氏の鑑定書つき)
http://collection.nmwa.go.jp/G.1993-0090.html
コローは大気の微妙な揺らぎを伝えることが出来るこの技法を気に入り、様々な技法的可能性を追求した。ニードル仕上げ、タンポナージュ(ブラシなどで皮膜に細かい傷をつける)、顔料を原版に厚く塗りつけたり掻き落としたりする技法・・・など。
この作品は”くぎ”のようなもので掻き落としたような技法だ。
素朴で、幻想的な作品だ。
by kirakuossan
| 2011-09-06 20:13
| 美術
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