2011年 08月 25日
ドラクロワとショパンの出逢い |
2011年8月25日(木)
「美の旅人 フランス編Ⅱ」(伊集院静著:小学館刊)
この書物では芸術的な代表的作品のカラー写真がふんだんに登場する。やはり美術書は視覚抜きでは興味が半減する。しかもこの書のカラー写真は”絹目調”で手触りがよく、見た目も落ち着いた感じで、読み続けても疲れない。
フランス絵画の歴史は、イタリア絵画の影響を受け、イタリアから学び、模倣し、そして独自の作品を生み出し、自分たちの世界を作り上げていった。バロック、ロココ、新古典主義とその流れは続いたが、19世紀を迎え、ロマン主義といった新時代の絵画が登場してきた。その代表者がウジェーヌ・ドラクロワ(1798~1863)である。著者は、”ロマン主義の先駆者”としてテオドール・ジェリコー(1791~1824)をとりあげたあと、”ロマン主義の巨匠”としてこのドラクロワについて40ページ近くをさいている。
なかでも興味を惹いたのはフレデリック・ショパンとの一説である。
左が「ジョルジュ・サンドの肖像」(オードロップゴー美術館:コペンハーゲン)、右が「ショパンの肖像」(ルーヴル美術館)
とくにこのショパンの絵は有名で、ショパンを紹介する時、必ず出てくる絵。
この2枚の絵はもともと1枚の絵であったとされる。その証拠に二人を描いたスケッチが残っている。ふたりは現実には別離したが、絵画においても別れる運命にあったのか。
ショパンとドラクロワに関する箇所を引用すると・・・
「ドラクロワとショパンが知り合ったのはパリの上流社会で毎夜くりひろげられていた宴であるが、その宴の中にひとりの魅力的な作家がいた。しかもその作家は女性であった。女流作家の存在は当時珍しかった。ジョルジュ・サンドである。・・・<中略>・・・ドラクロワはショパンの印象を友人への手紙の中で、”私は大好きなショパンと顔を突き合わせてこころ行くまで語り合った。ショパンは稀に見る洗練された人物だ。彼こそ真の芸術家と呼ぶにふさわしい、数少ない人のひとりだ”と絶賛している。・・・<中略>・・・・サンドはショパンにひと目惚れし、2人は恋に堕ちる。たちまち2人の仲はパリの社交界の噂になり、2人は地中海のマヨルカ島に恋の逃避行をする。ドラクロワは2人の良き理解者であった。10年余りの激しい恋愛の末、2人は不仲になり別離している」
このように、音楽界と美術界の大物同志が交わる歴史的な瞬間があったことには興味が尽きない。
「美の旅人 フランス編Ⅱ」(伊集院静著:小学館刊)
この書物では芸術的な代表的作品のカラー写真がふんだんに登場する。やはり美術書は視覚抜きでは興味が半減する。しかもこの書のカラー写真は”絹目調”で手触りがよく、見た目も落ち着いた感じで、読み続けても疲れない。
フランス絵画の歴史は、イタリア絵画の影響を受け、イタリアから学び、模倣し、そして独自の作品を生み出し、自分たちの世界を作り上げていった。バロック、ロココ、新古典主義とその流れは続いたが、19世紀を迎え、ロマン主義といった新時代の絵画が登場してきた。その代表者がウジェーヌ・ドラクロワ(1798~1863)である。著者は、”ロマン主義の先駆者”としてテオドール・ジェリコー(1791~1824)をとりあげたあと、”ロマン主義の巨匠”としてこのドラクロワについて40ページ近くをさいている。
なかでも興味を惹いたのはフレデリック・ショパンとの一説である。
左が「ジョルジュ・サンドの肖像」(オードロップゴー美術館:コペンハーゲン)、右が「ショパンの肖像」(ルーヴル美術館)
とくにこのショパンの絵は有名で、ショパンを紹介する時、必ず出てくる絵。
この2枚の絵はもともと1枚の絵であったとされる。その証拠に二人を描いたスケッチが残っている。ふたりは現実には別離したが、絵画においても別れる運命にあったのか。
ショパンとドラクロワに関する箇所を引用すると・・・
「ドラクロワとショパンが知り合ったのはパリの上流社会で毎夜くりひろげられていた宴であるが、その宴の中にひとりの魅力的な作家がいた。しかもその作家は女性であった。女流作家の存在は当時珍しかった。ジョルジュ・サンドである。・・・<中略>・・・ドラクロワはショパンの印象を友人への手紙の中で、”私は大好きなショパンと顔を突き合わせてこころ行くまで語り合った。ショパンは稀に見る洗練された人物だ。彼こそ真の芸術家と呼ぶにふさわしい、数少ない人のひとりだ”と絶賛している。・・・<中略>・・・・サンドはショパンにひと目惚れし、2人は恋に堕ちる。たちまち2人の仲はパリの社交界の噂になり、2人は地中海のマヨルカ島に恋の逃避行をする。ドラクロワは2人の良き理解者であった。10年余りの激しい恋愛の末、2人は不仲になり別離している」
このように、音楽界と美術界の大物同志が交わる歴史的な瞬間があったことには興味が尽きない。
by kirakuossan
| 2011-08-25 21:04
| 美術
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