2011年 05月 08日
指揮者100選☆16 アンチェル |
2011年5月8日(日)
カレル・アンチェル (Karel Ančerl, チェコ、 1908/4/11~ 1973/7/3)
南ボヘミア地方の出身。ターリヒに指揮を学び、後にヘルマン・シェルヘンの指導も受け、1933年にプラハ交響楽団の音楽監督に就任する。
1939年にチェコがナチス・ドイツの支配下に入ると、ユダヤ系だったアンチェルはプラハ響を追われ、家族全員が1942年にテレジーンの強制収容所に送られ、1944年にはアウシュビッツに移送、収容所で家族は虐殺され、アンチェルのみが生き残った。
戦後楽壇へ復活を果たし、プラハ歌劇場、チェコ放送交響楽団の指揮者を経て、1950年にはクーベリックの後任としてチェコ・フィルハーモニー管弦楽団の常任指揮者に就任する。低迷状態に陥っていたチェコ・フィルを立て直すことに尽力、順調に活動を続けるなか、チェコ・フィルはターリヒ時代の栄光を取り戻すことになる。
あの伊勢湾台風が襲来した1959年、チェコ・フィルを帯同して来日公演を行ったが、偶然同時に来日していた同年生まれのカラヤンとウィーン・フィルの演奏に勝るとも劣らぬ演奏を披露し彼の実力を証明した。
その後1968年の「プラハの春」事件を境に彼は亡命の道を選び、チェコ・フィルの常任指揮者をも辞任するに至る。
翌年、小澤征爾の後任としてカナダのトロント交響楽団の常任指揮者に就任するも、そのわずか4年後に亡くなる。享年 65歳、波乱万丈の生涯であった。
人物的には実直な人でチェコ・フィルを立て直すために練習を徹底的に行い、奏者の技術向上へ多大な貢献をもたらしたといわれる。彼の弟子には、ズデニェク・コシュラー、イルジー・コウト等がいる。
☆演奏スタイルは・・・
演奏は引き締まった中にもその音楽の持つ”香り”や”情感”に満ちあふれた演奏をした。そういったところは手兵チェコ・フィルの音色に共通点があったと言える。レパートリーは幅広く、古典から現代曲まで網羅し、水準はいずれも高かった。
☆残した録音は・・・
チェコの名門スプラフォンとの間で残した作品は数多い。ドボルザーク、スメタナ、ショスタコヴィッチ、ブラームス、ベートーヴェン、マーラー、ストランヴィンスキー、ヤナーチェク、バルトークと云ったところ。
ここで気がついたが、彼の「新世界」の演奏を持っていなかった。20種類はゆうに越えるほど所有している「新世界」なのにアンチェル盤がないとは意外だった。1961年12月のチェコとの名盤を買う事にする。
ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」、序曲『自然の王国で』、『謝肉祭』
カレル・アンチェル(指揮)チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
(録音:1961年)
☆私見・・・
私生活においては政治に翻弄された生涯を送った。そのことが音楽にどのように影響したかは定かではないが、”不屈の精神”で苦難を乗り越えてきた力は、何事も超越したもののはずで、聴いているものに”ギラギラ”と映るものでは決してないと思う。奥に秘めた強い精神からにじみ出る音楽は、ごく自然な姿で表わされるものであって、それこそが”香り”や”情感”に満ちあふれた真の音楽なんだと思う。
☆Myライブラリーより・・・
レパートリーの広さから云って、彼は結構器用な人だったように思う。彼の洗練された技量を遺憾なく発揮した序曲集が良い。”歌うようなオケの音色”のチェコ・フィルとアンチェルの”情感”がうまくかみ合い、選曲がまた素晴らしく、ほかに例を見ない名曲アルバムに仕上がっている。冒頭のウェーバーの「舞踏への勧誘」を聴くだけで何かしらウキウキしてくる。
『名序曲集』
①ウェーバー:舞踏への勧誘
②ショスタコーヴィチ:祝典序曲
③モーツァルト:『魔笛』序曲
④ベートーヴェン:序曲『レオノーレ』第3番
⑤ワーグナー:ローエングリン第1幕への前奏曲
⑥スメタナ:『売られた花嫁』序曲、⑦グリンカ:『ルスランとリュドミラ』序曲、
⑧ベルリオーズ:『ローマの謝肉祭』序曲、⑨ロッシーニ:『ウィリアム・テル』序曲
カレル・アンチェル(指揮)チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
カレル・アンチェル (Karel Ančerl, チェコ、 1908/4/11~ 1973/7/3)
南ボヘミア地方の出身。ターリヒに指揮を学び、後にヘルマン・シェルヘンの指導も受け、1933年にプラハ交響楽団の音楽監督に就任する。
1939年にチェコがナチス・ドイツの支配下に入ると、ユダヤ系だったアンチェルはプラハ響を追われ、家族全員が1942年にテレジーンの強制収容所に送られ、1944年にはアウシュビッツに移送、収容所で家族は虐殺され、アンチェルのみが生き残った。
戦後楽壇へ復活を果たし、プラハ歌劇場、チェコ放送交響楽団の指揮者を経て、1950年にはクーベリックの後任としてチェコ・フィルハーモニー管弦楽団の常任指揮者に就任する。低迷状態に陥っていたチェコ・フィルを立て直すことに尽力、順調に活動を続けるなか、チェコ・フィルはターリヒ時代の栄光を取り戻すことになる。
あの伊勢湾台風が襲来した1959年、チェコ・フィルを帯同して来日公演を行ったが、偶然同時に来日していた同年生まれのカラヤンとウィーン・フィルの演奏に勝るとも劣らぬ演奏を披露し彼の実力を証明した。
その後1968年の「プラハの春」事件を境に彼は亡命の道を選び、チェコ・フィルの常任指揮者をも辞任するに至る。
翌年、小澤征爾の後任としてカナダのトロント交響楽団の常任指揮者に就任するも、そのわずか4年後に亡くなる。享年 65歳、波乱万丈の生涯であった。
人物的には実直な人でチェコ・フィルを立て直すために練習を徹底的に行い、奏者の技術向上へ多大な貢献をもたらしたといわれる。彼の弟子には、ズデニェク・コシュラー、イルジー・コウト等がいる。
☆演奏スタイルは・・・
演奏は引き締まった中にもその音楽の持つ”香り”や”情感”に満ちあふれた演奏をした。そういったところは手兵チェコ・フィルの音色に共通点があったと言える。レパートリーは幅広く、古典から現代曲まで網羅し、水準はいずれも高かった。
☆残した録音は・・・
チェコの名門スプラフォンとの間で残した作品は数多い。ドボルザーク、スメタナ、ショスタコヴィッチ、ブラームス、ベートーヴェン、マーラー、ストランヴィンスキー、ヤナーチェク、バルトークと云ったところ。
ここで気がついたが、彼の「新世界」の演奏を持っていなかった。20種類はゆうに越えるほど所有している「新世界」なのにアンチェル盤がないとは意外だった。1961年12月のチェコとの名盤を買う事にする。
ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」、序曲『自然の王国で』、『謝肉祭』
カレル・アンチェル(指揮)チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
(録音:1961年)
☆私見・・・
私生活においては政治に翻弄された生涯を送った。そのことが音楽にどのように影響したかは定かではないが、”不屈の精神”で苦難を乗り越えてきた力は、何事も超越したもののはずで、聴いているものに”ギラギラ”と映るものでは決してないと思う。奥に秘めた強い精神からにじみ出る音楽は、ごく自然な姿で表わされるものであって、それこそが”香り”や”情感”に満ちあふれた真の音楽なんだと思う。
☆Myライブラリーより・・・
レパートリーの広さから云って、彼は結構器用な人だったように思う。彼の洗練された技量を遺憾なく発揮した序曲集が良い。”歌うようなオケの音色”のチェコ・フィルとアンチェルの”情感”がうまくかみ合い、選曲がまた素晴らしく、ほかに例を見ない名曲アルバムに仕上がっている。冒頭のウェーバーの「舞踏への勧誘」を聴くだけで何かしらウキウキしてくる。
『名序曲集』
①ウェーバー:舞踏への勧誘
②ショスタコーヴィチ:祝典序曲
③モーツァルト:『魔笛』序曲
④ベートーヴェン:序曲『レオノーレ』第3番
⑤ワーグナー:ローエングリン第1幕への前奏曲
⑥スメタナ:『売られた花嫁』序曲、⑦グリンカ:『ルスランとリュドミラ』序曲、
⑧ベルリオーズ:『ローマの謝肉祭』序曲、⑨ロッシーニ:『ウィリアム・テル』序曲
カレル・アンチェル(指揮)チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
by kirakuossan
| 2011-05-08 20:30
| 指揮者100選(完)
|
Trackback