2011年 04月 03日
カルロス・クライバーはヤッパリ恰好いいわ! |
2011年4月3日(日)
カルロス・クライバーは何と言っても恰好いい。指揮台の後の手すりに左手を添いながら、激しく、そしてしなやかに指揮する姿は、ホント、絵になる。
昨夜、新たになったばかりのBSプレミアムで彼の演奏が放映された。久々に興奮して臨場感に酔いしれた。
前半は、1986年5月19日の日本公演の全プログラム。それが、ベートーヴェンの4番と7番。それにアンコールが「こうもり序曲」とは、よだれが出そうな演目ではないか。
彼56歳の時の来日。指揮ぶりは持ち前の非常にエネルギッシュなもので、然もよほど気分が良かったのか、思い通りの演奏ができたのか、表情に余裕があり明るい。見ていてこちらまでが微笑みたくなる。
彼はもともと日本びいきで知られており、日本の熱狂するファンと相性が良いのだろう。
この演奏、どちらも抑揚がよく聞き、強弱のメリハリは申し分なく、25年前の演奏とは言え、ライブの迫力満点の迫真の演奏であった。それに会場の人見記念講堂の音響も良好だ。
後半の収録は、ミュンヘンでのブラームス4番。彼が66歳と日本公演から10年後のもので年の衰えは顕著であった。全体に硬く、苦虫をつぶした表情にも精彩がない印象をもった。
オーケストラはどちらもバイエルン国立管弦楽団。
<画像:BSプレミアム・日本公演より>
演奏に先立ち、番組の最初に放映された彼のドキュメンタリーがとても良かった。生前より何かと噂やトラブルの多かった指揮者だけに当時、彼と接触のあった様々な人達の証言が生々しいもので、彼の人物像を知る上で大いに参考になった。
「テクニックを駆使する指揮者の動きは真似ることができますが、本能でふる指揮者の動きは真似できない」(ムーティ)
・・・・・・・
「彼の問題点は父親から己を解き放たず、他のレパートリーを学ぼうとしなかったことです。父親の残したものに最後までとらわれ続けた。実に残念です」
・・・・・・・
「彼のレパートリーは実は膨大でした。初めて彼と話した時には、オペラ60曲がレパートリーでした。でも晩年に指揮したのは決まり切った演目だけです」
・・・・・・・
「常に言っていました。”せっかくの曲の完璧さが演奏することで損なわれる”と」(ムーティ)
・・・・・・・
「晩年の彼は、まさに世から姿を消した状態でした。天才は本当に世を去る前に自ら世を離れるのでしょう」
・・・・・・・
「彼の亡くなる五日前の手紙にこうありました。”妻を亡くして寂しい””妻はサムライだったが、私は意気地なしだ”」
・・・・・・
「クライバーは音楽の世界で神と人間をつなぐ完璧な仲介者でした」
興味深かったのは、彼が活躍した70~80年代、目立たなかったがバイエルン国立管弦楽団の音楽監督の地位にあったヴォルフガング・サヴァリッシュが、面白くないのか、「彼の”バラの騎士”は素晴しかった」と褒めたぐらいで、あとは批判的な論調に推移した。
吐いて棄てるような口調で・・・「彼は、独裁者だ!」って、
偉大な指揮者って、みな”独裁者”だろう。
*サヴァリッシュは今も健在だが、学者が指揮棒を振っているようで、全然面白みのない演奏をする。
/////////////////////////
カルロス・クライバー(1930~2004 ドイツ)20世紀後半を代表するカリスマ的指揮者。
エーリヒ・クライバー(1890~1956年 オーストリア)20世紀前半を代表する指揮者のひとりで、カルロスの父。
カルロス・クライバーは何と言っても恰好いい。指揮台の後の手すりに左手を添いながら、激しく、そしてしなやかに指揮する姿は、ホント、絵になる。
昨夜、新たになったばかりのBSプレミアムで彼の演奏が放映された。久々に興奮して臨場感に酔いしれた。
前半は、1986年5月19日の日本公演の全プログラム。それが、ベートーヴェンの4番と7番。それにアンコールが「こうもり序曲」とは、よだれが出そうな演目ではないか。
彼56歳の時の来日。指揮ぶりは持ち前の非常にエネルギッシュなもので、然もよほど気分が良かったのか、思い通りの演奏ができたのか、表情に余裕があり明るい。見ていてこちらまでが微笑みたくなる。
彼はもともと日本びいきで知られており、日本の熱狂するファンと相性が良いのだろう。
この演奏、どちらも抑揚がよく聞き、強弱のメリハリは申し分なく、25年前の演奏とは言え、ライブの迫力満点の迫真の演奏であった。それに会場の人見記念講堂の音響も良好だ。
後半の収録は、ミュンヘンでのブラームス4番。彼が66歳と日本公演から10年後のもので年の衰えは顕著であった。全体に硬く、苦虫をつぶした表情にも精彩がない印象をもった。
オーケストラはどちらもバイエルン国立管弦楽団。
<画像:BSプレミアム・日本公演より>
演奏に先立ち、番組の最初に放映された彼のドキュメンタリーがとても良かった。生前より何かと噂やトラブルの多かった指揮者だけに当時、彼と接触のあった様々な人達の証言が生々しいもので、彼の人物像を知る上で大いに参考になった。
「テクニックを駆使する指揮者の動きは真似ることができますが、本能でふる指揮者の動きは真似できない」(ムーティ)
・・・・・・・
「彼の問題点は父親から己を解き放たず、他のレパートリーを学ぼうとしなかったことです。父親の残したものに最後までとらわれ続けた。実に残念です」
・・・・・・・
「彼のレパートリーは実は膨大でした。初めて彼と話した時には、オペラ60曲がレパートリーでした。でも晩年に指揮したのは決まり切った演目だけです」
・・・・・・・
「常に言っていました。”せっかくの曲の完璧さが演奏することで損なわれる”と」(ムーティ)
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「晩年の彼は、まさに世から姿を消した状態でした。天才は本当に世を去る前に自ら世を離れるのでしょう」
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「彼の亡くなる五日前の手紙にこうありました。”妻を亡くして寂しい””妻はサムライだったが、私は意気地なしだ”」
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「クライバーは音楽の世界で神と人間をつなぐ完璧な仲介者でした」
興味深かったのは、彼が活躍した70~80年代、目立たなかったがバイエルン国立管弦楽団の音楽監督の地位にあったヴォルフガング・サヴァリッシュが、面白くないのか、「彼の”バラの騎士”は素晴しかった」と褒めたぐらいで、あとは批判的な論調に推移した。
吐いて棄てるような口調で・・・「彼は、独裁者だ!」って、
偉大な指揮者って、みな”独裁者”だろう。
*サヴァリッシュは今も健在だが、学者が指揮棒を振っているようで、全然面白みのない演奏をする。
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カルロス・クライバー(1930~2004 ドイツ)20世紀後半を代表するカリスマ的指揮者。
エーリヒ・クライバー(1890~1956年 オーストリア)20世紀前半を代表する指揮者のひとりで、カルロスの父。
by kirakuossan
| 2011-04-03 01:58
| クラシック
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